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明るい未来社会を創る人財育成プロジェクト「SDPs」が目指す未来

2030年までに達成すべき持続可能な開発目標であるSDGs。日頃からよく耳にするワードですが、名大に「SDPs」なる講義を発見。SDGsの間違いでは?と思うなかれ。「Super Degree Programs(スーパー学位プログラム)」の略称で、明るい未来社会を創る人財を育成するプロジェクトとのこと。どのような取り組みなのか、講義を覗いてきました。

分野を越えた意欲的な学生が集まる

1月下旬、ES総合館の講義室で開かれた2023年度秋学期の最終講義。この日は学生が「2050年のエネルギー・社会問題」について展望を語る発表会でした。
ある学生は「カーボンニュートラルの達成に向けて必要なこと」を発表。日本では原子力発電が欠かせないとの持論を述べ、「社会的信頼を得るために、放射線に対する正しい知識の普及が不可欠」と報告しました。
別の学生は「大学生アルバイトの労働環境」について発表。“ブラックバイト”問題などの改善に向け「労働組合の加入推進への法整備が必要」と問題提起しました。
「学生時におけるキャリア教育」について発表した佐伯拓海さん(経済学部4年)は、「異なる専攻の学生と一緒に学べる点に魅力を感じて受講しましたが、経済学の授業では聞けない話題も多く刺激になりました」と、自身の視野が広がったことを実感しています。
発表会では学生が次々と、独自の目線から多種多様な課題とその改善策のアイデアを発表。質疑応答は途切れることがないほどの活況で、学外講師として発表を聞いていた谷口恭彦さん(米国日立ヘルスケア 元CEO、名大経済学部卒)は「時間があればずっと議論しているような学生が多い」と、その前向きな姿勢に感心します。

「学生時におけるキャリア教育」をテーマに発表する佐伯さん
受講生やティーチングアシスタント、講師陣から質問が飛び交う最終発表会の様子

名大独自の人財育成プログラムで主体的に学び、
実社会で活躍できる力を育む

SDGsは2030年までに達成すべき17の目標を指しますが、「SDPs」は、SDGsの先に続く未来(2050年)に起こりうるエネルギー・社会問題を見通せる人材の育成を目的としたプログラム。複雑化する社会の中で、企業から必要とされる学生の育成を目指し、2022年度にスタートしました。
 
講義では、様々な分野の第一線で活躍されている学内外の講師らが話題を提供し、学生らはそれを受けてグループワークを実施。2050年に予測される社会問題に対してどのような解決策があるか、学生同士でディスカッションしてグループごとに発表します。
プログラムの狙いは、学生がひとつの学術分野だけでなくあらゆる分野の知を結集して、課題解決を図る能力を身に付けていくこと。立ち上げから携わっているSDPs運営委員の尾上順教授(工学研究科・副研究科長)は「もし、工学博士がMBA(経営学修士)も持っていたら、企業側としてはぜひ採用したいですよね」と狙いを説明します。

SDPs受講生とサポート教員のみなさん
講師による話題提供は、環境・エネルギー問題から経済、ICTなど多岐に渡る
特別講演会に登壇したクラレノリタケデンタル株式会社の顧問を務める坂清子さん。
起業を成功に導くための必要条件を伝授

SDPsが思い描く未来像

2050年にどうなっているのか、現時点で見通せないことも多い。ただ、今のうちから問題意識を持っておくことは重要で、尾上教授は「他分野への理解が少しでもあれば、先入観なく色々なことに挑戦できる。プログラムが学生たちにとって刺激になれば」と意義を語ります。

3年目となる2024年度も春・秋学期とも開講予定。受講対象は工学研究科の学生、法学、経済学の学部生と大学院生ですが「対象以外の学生も聴講は大歓迎」(尾上教授)。(詳細はSDPsパンフレットをご覧ください)
尾上教授は「ゆくゆくは名大の全学部を対象にしたいです。学生を育成する取り組みの一つとして他の大学にも広がっていくことを期待しています」と、“持続可能な”人財育成プログラムになることを目標に掲げています。

2024年度 春・秋学期の講義詳細

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