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マイクロノベル集/歌うもの 014

106(839)
わたしは歌うもの。すべてはあなたから授かりました。だからあなたのために歌い、踊りましょう。この喉はあなたの思い通りに声を作りましょう。この手はあなたが望むものに触れましょう。わたしはあなたのために歌うもの。いま、身体すべてをお返しします。


107(863)
あまいあまい、お菓子のようにあまい歌を作りたい。聴いた人間がどんどん肥え太る、そんな歌がいい。


108(868)
ぼくは正義のロボット。力がとっても強いんだ。そして歌うことが大好きだよ。え? つながりがわからない? うるさいな。特技と趣味は別なんだよ。ぼくは敵をぶん殴るより歌って暮らしたいんだ。それを妨げるヤツは力でねじ伏せる! ショウ・タイム!!


109(882)
これは歌う風鈴。風が吹くと歌います。「チリンチリン鳴ってるだけだが」歌っています。ほうら、風を受けた短冊が揺らす部分が舌で、お椀型の部分が口です。「無理がないか?」じゃああなたは誰と会話をしてるんですか?


110(890)
「ちいさいちいさいちいさいみつけた~」ダメか、この歌は流行らないか。一発当てられたらぼくは人気者になって、世界をすっかり変えられるのにな。よし、がんばるぞい。「ちいさい秋、ちいさい秋、ちいさい秋みぃつけた~」

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