マイクロノベル集 179「文字球パンチ」
No.1133
ちこくちこくー。わたし「吾輩は猫である。」物語の冒頭にいなくちゃいけないのに寝坊しちゃった。ああん、「名前はまだない。」のヤツ、怒ってるだろうなあ。と思ったら、曲がり角でぶつかって混ざっちゃった。「ミケは激怒した。」そうはならんやろ。
No.1134
宇宙人からメッセージが来るんだ。ぼくへの秘密の指示さ。暗号だけど、一文目が必ず「ワレワレハ宇宙人ダ」になってるから解読できる。えっ、そのメッセージをお前も受け取ってる? でも一文目が「いまは昔、竹取の翁といふもの有けり。」それ別物じゃない?
No.1135
昼間にダサTを着てる人を見たの。正面に「そこそこ罪深いです」って書いてあって笑っちゃったんだけど、背中は「罪深き者番付」でさ。後をつけて「ドアを開けて閉めぬ者」まで読めたところで、飲み屋に入っちゃった。あいつ昼間から罪深いわ。
No.1136
どうも、早く読める文字列です。人類は読んだ文章を脳内でバラバラにして、知っている文章に組み替えている。だから文字がたくさん書かれたチラシで変な読み間違えをするんだ。読みやすさと理解は関係ない。なんの話をしてたか覚えてる? そういうとこやぞ。
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