「ヤれる女子大学生RANKING」が同意のない性行為を助長する危険性があると考える理由

週刊SPA!の「ヤれる女子大学生RANKING」がネットで炎上しています。
「女性を軽視した出版を取り下げて謝って下さい」という署名キャンペーンが立ち上げられ、現在4万3000人の署名が集まっています。

一方で、以下のようなツイートが見受けられました。


これらの指摘はとても表面的で、本質的ではないように思います。そこで、以下のようなツイートしたところ、

「この記事が同意のない性行為を助長している」とするのは論理の飛躍だ、深読みしすぎだなどと意見をいただいたので、その理由を説明するためにこのnoteを書くにいたりました。
(まず言っておきますが、私は「この記事を読んだ男性が突然レイプをしはじめるに違いない」と言っているわけではありません。)

そもそも、「同意のない性行為」とはどういうことでしょうか。ここで、「性的同意」という概念を紹介したいと思います。

性的同意とは、性的な行為に参加するという積極的で個人的な選択のことで、同意をする人はその行為の性質や意味について理解している必要があります。行為に参加する両者が「やらなければいけない」からではなく、「やりたい」から行為に参加する必要があります。性的同意は推測、想定、威圧、そして搾取によって得られたものではなく、自由で、積極的で、そして個人的な選択です。(TEACHING ABOUT CONSENT IN PSHE EDUCATION AT KEY STAGE 3 AND 4 by PSHE Associationより引用、和訳)

つまり、性行為をする際には、相手方の積極的な同意を確認する必要があり、同意を想定・推測したり、威圧することはできない、ということです。
道端でいきなり知らない人に性行為を強要されることだけが「同意のない性行為」なのではありません。
「嫌とは言っていないから大丈夫だろう」「家に泊まりに来たからきっと性行為したいんだろう」「今日は露出度の高い服を着ているから性行為したいんだろう」と考えて特に何も聞かずにそのまま性行為をすることは「性的同意の推測」にあたりますので同意のない性行為です。
また、形式的には同意をとったとしても、「私達付き合っているんだからセックスするよね?」「セックスしたくないなんて変じゃない?」等、断りにくい雰囲気を醸し出すことによって得られた同意は無効ですから、これも同意のない性行為になります。

また、もう一点重要なポイントがあります。

同意が与えられ、基準を満たしていることを確認する責任があるのは、同意を求める側です。(TEACHING ABOUT CONSENT IN PSHE EDUCATION AT KEY STAGE 3 AND 4 by PSHE Associationより引用、和訳)

上述したような性的同意の推測や威圧がないこと、そして相手の積極的なYESがあることを確認する義務があるのは、誘う側なのです。

さて、ここで「ヤれる女子大学生RANKING」記事に戻ってみたいと思います。
下記の2つの要素が重なり、「同意のない性行為を助長する危険性がある」と私は考えます。
1.「ヤれる」という表現は、意思や主体性がなく、支配される側である「モノ」として女子大生を扱い、性的自己決定権を否定
2.「ギャラ飲み」という具体的な文脈を与えたうえで、実在する大学、服装や終電が早いなどの特徴や「ヤるためのスキル」を提示し、性的同意の推測を肯定

順に見ていきます。

1.「ヤれる」という表現は、意思や主体性がなく、支配される側である「モノ」として女子大生を扱い、性的自己決定権を否定

「ヤれる」とは、「性に奔放である」「主体的にセックスを楽しんでいる」といったポジティブなことを意味するのでしょうか?
「ヤれる」という表現は、「ヤる」男、「ヤられる」女という構図が前提になっています。(「ヤれる男」とは現状では言いませんよね)
女子大生側の性行為についての意思は無視されています。女子大生は客体であり、支配される側であり、「モノ」なのです。
その上で、一方的に「性交渉しやすい」と決めつける。
つまり、この表現は女性の性的自己決定権を否定(もしくは軽視)していると言えます。

2.「ギャラ飲み」という具体的な文脈を与えたうえで、実在する大学、服装や終電が早いなどの特徴や「ヤるためのスキル」を提示し、性的同意の推測を肯定

「ヤれる女子大生RANKING」炎上への反応において、「ただのファンタジーじゃないか」といった意見をいくつか見ました。
私はむしろ、「リアルで具体的」だと感じました。

「ヤれる女子大生RANKING」はギャラ飲み(男性が女性にお金を支払って開催する飲み会)についての記事の中で登場します。そして、ご丁寧にギャラ飲みに参加したかったらこの人に連絡しろ、とTwitterアカウント名が記載され、参加する手順まで解説されています。

そして記事中では、実在する大学名が5つ挙げられ、大学名の他にも「終電が早い」「肩を露出したオフショルダー」「男ウケの良さを磨いている」といった特徴を挙げ、「ヤれる」としています。
また、「最初は紳士に接して大人の余裕を見せたほうがいい」「就活相談で仲良くなれる」など「ヤるために必要なスキル」にまで言及しています。

皆さんがご存知の通り、世の中にはすでに「露出の高い服装は性行為OKのサイン」「女子大の女はすぐにヤれる」「二人きりのデートは性行為が前提になっている」「終電を逃したらセックスしたいという意味」といったステレオタイプや神話が存在します。

「リアルで具体的」な記事はそういったステレオタイプや神話を具体化し、強化している(そして、そういったステレオタイプや神話によって強化されている)のです。

そしてそれは、性的同意の推測や強制などを肯定しており、同意を求める側の義務を軽視しています。
以下のようなシナリオは想像できないでしょうか?
・記事中にある「◯◯大の学生は終電が早いからヤれる」「肩を露出したオフショルダーを着ている子はヤれる」など条件に当てはまる子に強引に迫る。
・「就活相談で仲良く」なり、エントリーシート見てあげるから、などと搾取する。
・「最初は紳士に接して大人の余裕を見せ」、断りにくい雰囲気を作った上で強引に誘う。

これらは全て、冒頭に説明した性的同意の条件を満たしていないため、同意のない性行為にあたります。

私はGenesisという団体の活動の中で様々な大学生にインタビューをしてきましたが、ステレオタイプや神話が原因で性的同意を推測され、同意のない性行為をしてしまい、その後長期にわたって精神的・身体的に苦しんできた学生を何人も目にしてきました
この記事の内容に近いような、「就活相談にのるから」「エントリーシートを見てあげるから」と言われて家に誘われ、性行為を強要された被害者も知っています。
また、以下の記事で指摘されているように、「彼女らはアタマが悪いから」などと理由をつけたレイプ事件は実際に起こっています。

以上の理由により、「ヤれる女子大生RANKING」が同意のない性行為を助長する危険性は十分にあるのです。
「性的同意」の概念がより認知され、このような記事がメディアから無くなることが必要です。

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ありがとうございます☺️
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なは

コメント4件

「ヤれる」は「ヤることができる」の意味であり、「ヤる」男、「ヤられる」女という構図が前提になっているとは必ずしも言えないと思います。
SEXは両者が「ヤる」ものでしょう。
「ヤれる男」で検索すればわかりますが、普通に用いられていますよ。
先にコメントしている人がいた^^;
しゃかいまなぶさんの「ヤれる」の解釈にほぼ同意ですね。
あくまで可能性を示唆する言葉でしかないと思います。
なはさんの論理は間が抜けまくりだと思います。

「ギャラ飲み」に関してのなはさんの指摘は疑問だらけですね。
私は、なはさんのツイに対して、この問題は主体がどこにあるかよりSPAの姿勢に問題があるとリプしました。
しかし「ギャラ飲み」に関しては主体がどこにあるかが問題になります。
「ギャラ飲み」に参加する時点で、参加女性は「無料で飲める=自分は払はなくて済む=男性が払う=男性は財布」と言う感情や構図が透けて見えると思うのですが、参加女性の全員ではないにしてもゼロである可能性は低いと思います。
この時点で参加女性も男性をモノとして見てはいないでしょうか?

文字数オーバーの為続きます
続き

「ヤれる」もそうですが、「ギャラ飲み」に関しては考察が甘いうえに結論への導き方が乱暴すぎます。

以前、なはさんの言葉遣いを指摘しましたが、そのツイが削除されて居ました。
多分自身で良くないと思われたから削除されたのでしょう。
そういった他人の指摘で、自分が省みなければ行けないと思った部分は素直に訂正し、反対意見に反対するばかりでなく、なぜ自分の意見と食い違うのかをもう少し考慮されてはいかがでしょうか?

素敵な活動をされていると思いますし、私等想像もつかない勉強量をこなし、様々なご苦労をされている思います。
少しだけ立ち止まって後を見る余裕を持たれてはいかがでしょうか。
批判的なコメントが多いですが、個人的には、なはさんの試み(=このnote記事でやりたかったこと)は成功していると思います。

有意義なnoteありがとうございます!
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