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「心のこもった家計簿」「リアルなドキュメンタリー」...先週のDearMedia Newsletter [2020.1.14〜1.17]

こんにちは、ディアメディアの味岡です。

ディアメディアでは、私が毎朝目にしている約1,000記事の中から、「ちょっと気になる情報」「最近話題のニュース」「面白いできごと」をピックアップして毎朝お届けしています。

このnoteでは、DearMedia Newsletterの一部をご紹介していきます。

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心のこもった家計簿

今日ピックアップするニュースで初めて知ったのですが、「家計簿」の概念は、日本の初めての女性ジャーナリストである羽仁もと子氏が、1904年に考案したものだそうです。

海外には家計簿の概念があまりないため、日本の家計簿は、節約や資産管理の概念とマインドフルネスの概念をかけ合わせたものとして、いま少しずつ浸透しているようです。

記事タイトルが「art of saving money」とあるように、海外から見ると、アートの域にまで達している家計簿とは、どんな風に捉えられているのでしょうか。


ライターであり文学エージェントのSarah Harvey氏は、2017年に東京に住んでおり、家計簿の存在を知りました。

家計簿は“kah-keh-boh”と発音し(なぜ?)、お金を節約するための日本の昔からの方法で、過去116年間に渡り、賢明な家庭における財務上の意思決定をサポートすると、紹介されています。

また、すべての予算編成システム同様、入金と出金を記していくことでお金との関係性を理解できるようにしますが、家計簿が際立っているのは、特別なシステムやエクセル表が必要ではなく、紙とペンだけあれば始められる点です。

バレットジャーナルという、ただ書き留めるだけの手帳術同様、家計簿は、実際に書き留めていくことの重要性を強調します。

これは支出を観察するための、瞑想のような役割を果たします。

支出の習慣は、日常のルーティーンに深く絡んでおり、感情を切り離せないものも含まれています。

家計簿の方法によれば、必要のないアイテムを購入するときに、以下の質問を自分に聞いてみる必要があります。

・このアイテムなしで生活できますか?
・財務状況的に、それを買う余裕はありますか?
・ほんとうに使いますか?
・置くスペースはありますか?
・どうやってそのアイテムを知ったのですか?
・今日の私の感情状態はどうですか?(落ち着いてる?ストレス?お祝い気分?落ち込んでる?)
・購入についてどう感じますか(幸せ?興奮?無関心?そしてそれはどのくらい続く?)

Harvey氏は家計簿をつけることによって財務状況の把握に効果的だったのみならず、購入の動機を考えることで、ニーズとウォンツについて正直になることへの怖さを克服できたそうです。

その結果、特定のことにお金を使うかどうかについて、より早く、賢く、論理的な意思決定ができるようになりました。

心のこもった支出と節約は相互に関係しており、大切なことは、家計簿は人生から喜びすべてをカットするようには、できていないということです。

あなたが何かについて、もやもやしているなら、お花を買うことは、自分を元気づけるための安価な方法になリます。

徹底的に支出を抑えるのではなく、マインドフルネスと加速する変化を通じて、悪い習慣を変えることが目的です。

そして、貯蓄を進めるためには、既出の適切な質問を購入前にすることが大切ですが、Harvey氏は、より心のこもった生活にするために簡単なさらなる戦略を、紹介してくれています。


(1)24時間購入を待つ
翌日もまだそのアイテムのことを考えているなら購入してください。さらに高い満足感が得られます。

(2)セールや特価品に惑わされない
このアイテムが正規の値段だったら購入するかどうかを、自問してみてください。

(3)定期的に銀行残高を確認
残高を確認すると、自分がどのくらいお金を使うべきかが明確になります。

(4)現金を使う
物理的に現金を使うことで、何に使っているかをより意識するようになります。

(5)リマインダーを財布に入れる
クレジットカードに「本当に必要ですか」のステッカーを貼るなど、購入前に一歩後退するよう促すツールを使います。

(6)支出の原因の環境を変える
ブランドから送られてくるメールや暇つぶしにショッピングに行ってしまうような、支出を促す行動を変えます。

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アメリカの習慣と日本の習慣の違いもありますが、家計簿をつけることがマインドフルネスのように捉えられていることがとても興味深いです。

私のお金の使い方の基本コンセプトは、
「買う理由が金額(つまり安いから)なら買わない、諦める理由が金額(つまり高いから)なら買う」
です。

・・・以下、省略・・・

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アフリカ文化を広める

あなたの好きなアフリカ料理は何ですか?
こう聞かれた時、私はひとつも料理名が思い浮かびませんでした。

食べログで調べたところ、日本全国の「アフリカ料理」として登録されているのは81軒。

これに対し、メキシコやブラジルなど「中南米料理」は1165軒、インドやパキスタンなどの「南アジア料理」は5273軒でした。

アフリカの食文化に対しては、欧米の人々も同様に、好きなアジア料理はいくつも出てくるのに、アフリカ料理は思いつかないそうです。

これはアフリカが、その豊かで歴史ある文化を世界に発信することが、うまくできていないということです。 

そして、そのロールモデルとして日本食を取り上げている記事を、今日はピックアップします。

社会起業家であるNdidi Nwuneli氏は、個人的な調査として、ヨーロッパとアメリカで「あなたの好きなアフリカ料理は何ですか?」と聞いて回りました。

多くの場合、聞かれた人はきょとんとした表情を浮かべるだけでしたが、アジア料理について聞くと、寿司、パッタイ、サモサなどの多種多様な料理が挙げられました。

また、多くの人々は、食品産業におけるアフリカの役割を知りません。

カカオの70%が西アフリカで調達されていること、ルイボスが南アフリカで栽培されていること、カシューナッツやコーヒー、紅茶やモリンガなどもアフリカが重要な役割を担っています。

これは、世界がアフリカの多様な食を楽しむ機会を逃しているだけなく、アフリカが、その豊かで歴史ある文化を世界に発信することを、うまくできていないということだと、Nwuneli氏は述べます。

加えて、アフリカの起業家は、ブランディングとストーリーテリング、イノベーション、パートナーシップに投資して、アフリカの食品に対する幅広い認識を促進する必要があり、アフリカの政府は、その食文化を戦略的に発信していかなければならず、その際のお手本になるのが日本であると言います。

現在のエチオピア料理やセネガル料理と同じく、1960年代と70年代、
日本食に対する認識と感謝は海外でほとんどありませんでした。

食べ物が文化の架け橋を築く上で重要な役割を果たすと気づいた日本政府は、2003年、日本貿易振興機構の役割を拡大し、ブランド化、レストランや食材の証明、パブリック・リレーションズを含めました。

その結果、2006年には2万軒だった海外の日本食レストランは、2017年にはその5倍の12万軒になり、米国と英国の主要なスーパーでは寿司が売られるようになり、2013年には、日本食がユネスコの無形文化遺産となりました。

アフリカ各国の料理は、それぞれの地域や文化で独特のものがあり、日本食と同様に、健康的でもあります。

米国では、エチオピア料理のレストランも増えており、各国主要都市に高級レストランを展開するシェフも登場しています。

アフリカの食文化を広めていくことは、アフリカの農民の手による食物の需要を増やし、アフリカの人々が世界中で働けるようになることです。

その結果、ステレオタイプとバイアスがなくなり、人と人との結びつきが増えていく、そんな未来をNwuneli氏は提唱しています。

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ブランディングをしながらブームを作っていくというのは、実は一番難易度の高いゲームです。

この記事には詳細が書かれていませんでしたが、日本食の海外での流行は1976年頃、米国で健康志向が広まり、ヘルシーな食生活への関心が高まったことがきっかけでした。

金井紀年さんという方が、ロサンゼルスのリトルトーキョーで立ち食いの握り寿司バーを開き、日本食レストランで寿司を食べるというライフスタイルが最先端になりました。

・・・以下、省略・・・

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リアルなドキュメンタリー

一部の業界界隈で話題になっている、「さよならテレビ」という映画を観てきました。

舞台は東海テレビの報道部。

「テレビの今、をテーマにしたドキュメンタリーを撮りたい」
「そのため報道部内でカメラを回し、机にピンマイクも設置させてください」
という、お願いのシーンから始まります。

高度化された社会では、食料やお金と同じくらい大事なものになる”情報”を取り扱うプロフェッショナルたちの姿を描いたこの映画、
一体なぜ話題になっているのでしょうか。
(※ネタバレはありません。)

資本主義社会で最も成功したビジネスのひとつだったテレビは、いまやマスゴミと言われ、報道姿勢や取材手法がバッシングされたり、テレビを観ない若者も増えました。

マスメディアが持つ役割のひとつに、権力への監視があります。

しかし、いまやマスメディア自体が権力そのものと認識され、その闇は深くなるばかりと思っている方もいます。

予告編のムービーを是非観ていただきたいのですが、自分たちのドキュメンタリーを撮られることに対し、普段は「撮れ高(質)を気にしろ」と指示を出す側が「気になって仕事にならない」と怒るシーンがあります。

結果的に、部内の様々な意見を受け、2ヶ月間取材ができなくなりました。

公式HP: https://sayonara-tv.jp/

実はこの作品は、東海テレビ開局60周年の記念番組として制作されました。

テレビ業界的には、自分たちの恥部とも言える部分をさらけ出していると受け取った人も多かったようで、映画化がまだ決まっていなかった頃は、テレビで放送された番組録画を使って、NHKや東大で上映会が開催され、各所で紛糾したそうです。

この映画で主に描かれている問題提起を、思い出せるだけピックアップすると、

・視聴率主義
・ぜひネタ(関係のある会社の半分宣伝のネタ)
・非正規雇用者で支えられている体制
・スクープ狙いと働き方改革
・ジャーナリズムの在り方
・番組終了に繋がった炎上
・リスクを負った表現
・反省の姿勢と取り組み

もう一度観たら、まだまだ出せるかもしれません。

テレビ局が抱えるこれらの問題に対して、解決方法を考える余裕もないまま、日々の番組制作が続いていきます。

今日ピックアップした記事は、NHKエデュケーショナルの佐々木氏と、「さよならテレビ」のディレクター土方氏の、作品の裏話的な対談です。

普通は知ることができないテレビ(というか報道)の、どの部分を描いているか、という話はしておらず、見る人によって自分がテレビやメディアに対してどう考えているかが逆照射されてバレてしまう、合わせ鏡のような作品、ということが語られています。

メインの登場人物である3人に対しても、なぜこの3名だったのか、という点と共に、彼らの苦悩や仕事に対する姿勢を通して、そこから局全体への在り方も透けて見え、どこに共感し反発するのか、人によってだいぶ違うものになりそうです。

この記事でお二人が話されている
“テーマ主義の呪縛”
“伝えるって何?”
“報道するってどういうこと?”
“万事、誰からも批判がないように表現するのは無理” 
“ドキュメンタリーにも当然、演出はある” 
といった、本当の意味での裏の話が、非常に興味深い対談でした。

私の、個人的な感想としては
・報道を営利企業がやるのには無理がある
・今のテレビは、本気で「伝える」ことをしていない
という二点が主なものでした。 

・・・以下、省略・・・

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世界最高頭脳のシェア

スタンフォード大学の教授がオンラインで講義を提供し始めて、8年が経ちました。

その間、オンラインで受講できる講義は増え続け、MITやハーバード大学、GoogleやMicrosoftなど、教育機関や研究所、民間企業も「MOOC」と呼ばれるオープンな講義を提供するようになりました。

今や受講生は全世界で1億1000万人を超え、東大や京大も含む900を超える大学が、13,500以上のコースを提供しています。

今日ピックアップするのは、2020年、あなたをさらなる成功に導くオンラインコースを紹介する記事です。

一体、どんなテーマの講義が選ばれているのでしょうか。

Class Centralが今年も、人気のオンラインコースTop100を発表しました。

Class Centralは、「MOOC(Massive Open Online Courseの略、誰もがオンラインで受講できるオープンな講義のこと)」の検索サービスを提供しているサイトで、受講したい分野や大学名から講義を検索できます。

ライターのJessica Stillman氏は、Class Centralが発表したTop100の中から多くのビジネスマンにとって役立ちそうな、20コースをピックアップしました。

エクササイズからデータアナリティクスまで、生産性とモチベーションを高め、成功を収めることに役立つ講義の数々です。

学習テクニックの向上
効果的な学習スキルを開発します。
--Groningen大学

幸せな従業員と投資回収
幸福がいかにより成功に導くかを学びます。
--テキサス大学オースティン校

統計の基礎
データの洞察を最終的な決定に変える科学です。
--マサチューセッツ工科大学

健康のための運動ハック
これまで考えていたよりも短い時間で健康になるためのハックです。
--McMaster大学

人工知能(AI)の紹介
初心者向け入門講義です。
--IBM

デザインの言語
グラフィックデザインについて、より効果的に批評する語彙とフレームワークを学びます。
--カリフォルニア芸術大学

レトリック
説得力のある文章と、人前で話す技術を習得します。
--ハーバード大学

仕事の未来:混乱の準備
テクノロジーの変化を通じて考え、準備します。
--世界銀行

職場ストレスに対するマインドフルネスと回復力
ストレスに対する回復力を構築するための研究ベースの戦略を提供します。
--カリフォルニア大学バークレー校

人々のマネジメント
すべての人が最大限に活躍するための方法を得ます。
--レディング大学

交渉の成功:その戦略とスキル
--ミシガン大学

倫理的ハッキング
ハッカーのように考えることであなたの会社や情報を守ります。
--インド工科大学

データ分析
データについての初心者向け実践講義です。
--Microsoft

クリティカル・シンキング
複雑な世界で偏りなく考える方法を学びます。
--モンテレイ工科大学

アジャイルリーダーシップの原則
コマンド指示ではない、新しいリーダーシップを習得します。
--メリーランド大学

ニューロマーケティングの道具箱
ヒアリングという手法ではなく、脳の反応を利用したマーケティング手法です。
--コペンハーゲンビジネススクール

“ポスト真実”の世界でエンパワーメントする方法
--ニューヨーク州立大学

自己決定理論入門:動機、発達、健康へのアプローチ
質の高いモチベーションとウェルネスを促進する基本的な心理的ニーズに焦点を当てた理論です。
--ロチェスター大学

システムマインドセットの開発
他の専門家と効果的に対話する方法を学びます。
--コロラド大学ボルダー校

食事と気分
食事と栄養によりメンタルヘルスを改善します。
--ディーキン大学

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人間の知的好奇心というのは、どこまでもとどまるところを知らず、どんなにニッチな分野にも専門家が存在します。

そして、自分が学んできたものを惜しみなく世界にシェアしてくれている方々は、どんな徳を積んできたのかと、心から頭が下がります。

実は私、このニュースを見たとき77億人の人口のうち、1億人以上がこの豊かな恩恵をすでに享受しているというのに、その機会を手にしていなかったことに対し、少し焦ってしまいました。

99人に1人が、いまどこにいるかは関係なく、世界最高の頭脳から学び、さらにそれを発展させようとしている、その事実に嫉妬しました。

例えば、Class Centralで「ジャーナリズム」と検索すると、46コースヒットします。

・・・以下、省略・・・

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以上、先週のDearMedia Newsletterでした。

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