コンビニ

彼はコンビニの長い列に辟易していた。そもそもコンビニとはコンビニエンスの略である。コンビニエンスとは便利という意味である。この長い列が便利であるとはおよそ彼には思えなかった。長い列が出来ている理由は顧客に対して会計するスタッフが不足しているためだった。そしてそれは会計をするレジスターというシステムに問題があるように感じられた。会計を行うのはスタッフに限られていた。そしてそのスタッフが3名に限られている以上、列は3列しかできず、その時、そのコンビニには少なくとも30人ほどの人群れがいたため、1列10人程度並んでいるという具合だった。自分の買いたい商品が単に炭酸水1本だったということも彼の焦れる気持ちを後押ししていた。たかが100円程度のものを買いたいがために9人の会計を待たなければならない。それが便利なことだとは到底思えなかった。その長い列に並んで自分の番を待ちながら彼はそのコンビニがコンビニという名前の通り、便利さを回復するために必要なシステム的な変更点を空想していた。まずは、行列を解消するための方法を考えなければならないと思った。そして、そのコンビニの方法に対してスーパーで採用されている機械決済の仕組みを適応すれば良いのではないか?と思った。技術的には十分に可能であるはずだ。しかし、機械決済の設備を導入するにはなにがしかの金が必要であるという極めて経営的な事情も絡んでいる。そして、機械決済を導入することでその導入にかかる費用を超えて利益が見込めなければ導入されることはないだろう。

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