三日坊主

男は文章を書き続けることを自らに課しながらも、継続が途切れてしまったことをとても残念に感じていた。そして、その原因を見つけようとしていた。彼は小説家になることを志し、毎日、少しずつでも何がしかのものを書こうと決めていた。しかし、男は根からの三日坊主である。三日坊主というのも、彼はものぐさなのではない。彼は様々なことに関心を抱いており、手を広げすぎなのだ。そのことは彼自身自覚している。そして、そのことを少しずつであれ、手放していきたいと思っていた。彼は長くスポーツをしていた。もともと身体を動かすのは好きなのだ。しかし、彼はそのスポーツを長く続けていたけれど、大した成績は残せていなかった。彼自身はそのスポーツを愛しており楽しんでいた。そして、彼なりの課題を見つけそのことを探求し続けていた。その点から考えると彼は十分に幸福だった。ただ一点、結果を残せていないことを除いて。彼は自分が結果を残せていないことを疚しいことと感じていた。それは誰に言われたからでもなかった。もちろんプロのスポーツ選手は結果が全てであり、結果が出せない選手は注目されない。そこは勝負の厳しい世界である。その意識をそのまま引きずって考えている部分もないではなかった。そしてまた、数多くこなしてきた試合の中で、負けた時のあの惨めな気持ちは忘れられない。個人で戦う時は全て個人の責任だが、ペアを組んだりチームを組んだりする時はもっと悲惨だ。チームの他のメンバーは良いプレーをしているのに、自分ひとりがゲームをぶち壊しにしてしまう時などは目も当てられない。このまま、もうこのスポーツを辞めてしまおうと思ったことは挙げればきりがないほどだ。しかし、それでも未練たらしく細々と続けていた。もう辞めよう、辞めようと思いながら辞められなかったのはひとえに僕の決断力のなさのせいである。そのことに嫌気が差す。彼はそういう自分の性格に悩まされながら、もう仕方ないことだと半ば諦めていた。

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