若い男の人と女の人と赤ちゃんがバス停にいる。多様性という言葉をよく聞く時代、この３人がお父さんとお母さんと子供ではないかもしれないけれど、私にはそのように見えたので、ここでは一応家族という体裁で書く。

お父さんが抱っこ紐にくるんだ3〜4か月の赤ちゃんを胸に抱いている。私の子育て時代にはあまり見かけなかった光景なので、近頃のお父さんはこういうことにも慣れているんだな、お母さんにとっては頼りになるんだろうなと思いながら見ていた。
お母さんは大きなリュックを背負っている。体の前にもリュックを抱えている。足元には、これまた大きなスーツケース1つ。
バスが来た。お父さんと赤ちゃんは、さっさと乗り込む。お母さんは重そうなスーツケースをバスのステップ階段へよっこらしょと上げて、ようやっとバスに乗り込んだ。お父さんは振り向きもせず、抱っこ紐の赤ちゃんと空いている席にさっと座った。まだほかにも空いている席はあるのに、お母さんはお父さんが座った席のそばで、スーツケースが動かないように支えながら立っている。リュックも前と後ろに持って。
この家族はこれでいいということで、こうなっているんだと思うけど、私から見たら、あのスーツケース、とっても重そうでしたよ。バスの乗り降りのとき、赤ちゃんの抱っこと荷物の上げ下ろしの役割を交代すればと思ったのでした。お母さんは中肉中背、特別に力持ちという感じではなかったので、ついその姿を追ってしまいました。