ベナンのバレンタインはガーナチョコのようには甘くなかった。
もう一度、手作りチョコをもらえるかどうかの、あのドキドキが欲しい。
今年もバレンタインが終わってしまったようだ。
思えば、この日で緊張感を持った最後の年って、高校3年生のときが最後だったと思う。
こういった恋愛が絡んだイベントで感情が高ぶるのは、ぼくの経験上「毎日強制的に出会う集団がいるか」だと結論づけている。
義務教育の学校は最高の舞台だったのだ。
大学ではその機会が一気になくなるから、もうそんな想いは抱かなかった。
会社員時代、毎日会う人はいたけれど、大人になっちゃって、社交辞令的なチョコをあげる風習が根付いていたから、それじゃない感がありまくり。
ぼくは今、アフリカのベナンで会社とNPOを経営している。
強制的に会うのは、社員たちだけである。
みてくれ。
うちにはこんな素敵な美人スタッフがいるのだ。
社内恋愛は禁止ではないから、もしかしたらもしかするかもしれない。
と、無理やり気持ちを高ぶらせてみたりした。
バレンタイン、数日前。
「ベナンのバレンタインはどんな文化なの?」
「お互いにお菓子や人形を大切な人にプレゼントするのよ」
と言うわけで、美人スタッフに大量のチョコを送ることにした。
バレンタイン、当日。
「(車で移動中)はい、バレンタインのプレゼントだよ」
「え!わたしにくれるの?ありがとう!」
「いつも仕事を頑張ってくれている感謝の気持ちだよ」
「もらえるなんて思っていなかったからお返ししないと」
「気持ちだけで十分だよ。お金は使わなくていいから」
「え・・・。わかったわ」
ぼくは「せっかく仕事をがんばって得たお金は自分のために使って欲しい」という意味合いで言ったのだ。読んでくれてる皆さんも感じましたよね?
でも、
「え・・・。わかったわ」
には、なにか違うように捉えているように感じた。
ふと、とある仕事の案件を思い出す。
「そうそう、あの取引先から連絡きてる?」
「いえ、まだよ。明日また連絡してみるわ」
そんな会話をしていたら、さっきの違和感は忘れてしまった。
仕事がひと段落した夜。
「さあ、今日も仕事がんばったな〜。解散!」
「内藤、今夜はどうするの?」
「今夜?帰ってタイヤで筋トレしてシャワー浴びてウンコして寝るよ」
「え?バレンタインのお返しはどうするの?」
「ん?気持ちだけで良いっていったじゃん」
「え?アレを望んでいるんじゃなかったの?」
「ちゃうわ!!!」
ここで彼女がぼくに性的なことを要求されていると勘違いしてることに気づいた。
これは完全にぼくが原因で、
仕事中のぼくがあまりにも厳しい態度なため、
少しでもそれ以外の自分のイメージをフランクにしようと思い、
女の子が大好きな人ブランディングをしていたのだ。
バレンタインのドキドキを楽しみたかっただけなのに。
自分のイメージを戦略的に考えている時点で、
もうそんな機会を神様は与えてくれないのだろう。
ずるい大人の人生は、チョコのようには甘くない。
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