見出し画像

より良い関係性の構築の仕方

「人間の悩みは全て対人関係の悩みである」
          引用:アドラー心理学入門(岸見一郎 著)

 アドラーの有名な言葉です。このことは、実際に自分自身のことと向き合うと、ひとつひとつのことに、何かしら人との関係性が関わっているのは誰もが実感してることでしょう。

「コミュニケーション」という言葉から陥る錯覚

 仕事の場合で考えると、よく「コミュニケーションが大事」というキーワードが出てきます。公務員人材開発研究会の中でもよく出てきます。

 1日の中で、それこそ家族以上に一緒の時間を過ごす職場のチームやパートナー、他部署の同僚、業務で関係するカウンターパートナーとは、常にコミュニケーションが課題となることが、どんな歴史でも社会でも共通した悩みであり、変わらない課題であるわけですが、そこには関わる人と人が、それぞれが歩んできて積み上げてきた人生と人間性、培った価値観、支えられている関係性があります。

 一言でコミュニケーションと表現しても、関わる人と人で、生まれる課題は全く異なるわけです。でも、我々はなるべくわかりやすく考えるために、共通言語である「コミュニケーション」という言葉で語り合うことで、わかったような錯覚に陥り、結果として何も解決につながらないことが多いのではないでしょうか。
 だからこそ、本屋には、「コミュニケーション」や「会話力」などの本が並ぶのだなと改めて思います。そして、コミュニケーションの勉強が必要なんだと感じます。

関係性に関する3冊の本

 数多くの名著があります。私はまだまだ勉強不足で本を読めていません。その前提として、この記事はお読みいただきたいと思います。
 最近読んだ2冊の本と、以前読んだ1冊の本が、読んでいてつながりを感じ、このつながりを深めていくことが、解決方法のひとつになるのだなと感じています。

 組織マネジメントにおける関係性の重要性と対話の重要性を示された本でご存じの方も多いですよね。私もこの本に衝撃を受けました。
 課題となるものは、技術的な課題に比べて、正解のない適応課題が多く、その解決策として「対話」が必要である。なぜなら、組織とは「関係性」だからである。「対話」のプロセスとして、
①お互いのナラティブ(物語を生み出す解釈の枠組み)である溝に気づき、
②溝の向こうを眺めて相手の視界をイメージし、
③溝を渡る橋を設計して、
④橋をかけること
といった内容が記載されています。

・自分を欺いているときには、箱の中にいる。
・自分のいいたいことを箱の中から伝えたことで、仕事に対する熱意や創造性を掻き立てることはできない。
・箱の中にいると相手を手ひどく扱い、互いに自分を正当化する。
・箱の外側にあるものに抵抗するのをやめた瞬間、相手に逆らうのをやめた瞬間に自分が変わり始める。
・自分を正当化しようという考えや感情から解き放たれる。
       引用:自分の小さな「箱」から脱出する方法
           (アービンジャー インスティチュート 著)

 箱に入って他責にしていないか、自分を正当化して箱に入っていないか、その箱の中に入って相手を見ていては関係性が構築できないことを示されています。 

「謙虚に問いかける」は、相手の警戒心を解くことができる手法であり、自分では答えが見いだせないことについて質問する技術であり、その人のことを理解したいという純粋な気持ちを持って関係を築いていくための流儀である。
引用:問いかける技術ー確かな人間関係と優れた組織をつくる
   (エドガー・H・シャイン著)

 引用文は全てを包括したものですが、その内容は複雑化していくこれからの時代において、人々は依存し合い、文化が多様化していく中、良好な関係性を生み出すために「謙虚に問いかける」の重要性が示されていますが、相手を思いやる気持ち、誠実な問い、課題解決に価値観を置く文化に対してどう取り組むのか、様々な自己との向き合い方、自分自身のマインドフル、発想力など考えなければならないことは多岐にわたります。

3冊の本を読んで感じたつながり

 「問いかける技術」を読んでいたときに、「謙虚な問いかけ」をするときに、「対話」におけるナラティブアプローチと、自分が「箱」の中にいないかという自身の在り方がつながってきた感覚が生まれました。

 例えば、チームにおいて、メンバーに対して仕事の話を進めるにあたって、謙虚に問いかけにより橋をかける。そのとき相手のナラティブをつかみ、理解して誠実に問いかける。
 関係性を作ることを重視して相手を思いやる気持ち、純粋な好奇心や会話の質を高めたい気持ちが自分にあるかによって、その謙虚な問いかけは別物になってしまう。自分のマインドが、箱の中からしっかりと飛び出ていなければならない。ここにはアドラー心理学でいうフラットな横の関係の構築にも通じますね。

 謙虚な問いかけにも、誠実な気持ちとともに、自己のあり方や多様性など多くの要素が必要とのことで、その感性の部分も自分は足りないなと感じています。
 あと、自分の中で誤解してはならないなと感じているのは、これらはテクニックではないなということです。あるべき姿を言語化されているものであり、我々は本来の理想をわかっていながらできていないので、どの本も示されているように感じます。

実践と振り返り

 今、仕事の中で、チームや関連する仕事のカウンターパートナーに対しても、自分なりの意識で実践してみています。チームでは、より良い意見や主体的な行動につながっていることも実感しています。ちょっと難しい相手とのやりとりでも、落ち着いた話もできているようにも感じます。
 これらの本で記されていることについて、難しい課題を難しく追及するところから始めると、悩みが深くなるだけかもしれません。ちょっとしたことから変えていけると、その経験が次の展開に活かせるようになってくるのだろうと思います。
 また、フィードバックや日常からの見る意識でも重要になってくるんだと思います。
 まずは実践の継続、年度の区切りぐらいで一度振り返ってみようかなと思います。

この記事が参加している募集

最近の学び

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?