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「睾」という漢字について調べてみた

おむあんこ~!(高貴な挨拶)
公序良俗遵守系健全ふたなりVTuberのなかだちちゃんで~す♡
この記事は「漢字イメージアップ大作戦!睾の巻」の続きになってるから,まだの人は先にそっちを観てほしいな~(観てなくても大丈夫だけど><)

睾丸」以外で見たことない「」っていう漢字の新たな使い道を探そう!って企画だったんだけど,本編で語り尽くせなかったところをこっちで話しちゃおうと思いま~す!

読みと意味

最初に基本的な情報を確認しておこ~!
漢字の読みとか意味について調べる時,なかだちちゃんは基本的に下の4つくらいのソースを参照するかな~

  1. 『漢辞海』(三省堂)- 最新は第4版だけどなかだちちゃんのは第2版💦

  2. 漢典(睾的解释|睾的意思|汉典“睾”字的基本解释
    https://www.zdic.net/hans/%E7%9D%BE)

  3. 睾 - Wiktionary
    https://en.wiktionary.org/wiki/%E7%9D%BE

  4. 睾 - ウィクショナリー日本語版
    https://ja.wiktionary.org/wiki/%E7%9D%BE

Wiktionaryは基本的には内容が充実しててちゃんと出典が書いてある英語版の方が信頼できるかな~
でも大抵は最初の2つで事足りることが多いかも~🤔
漢典」は中国のサイトだから中国語が読める人向けになっちゃうんだけど,『説文解字(&段注)』とか『康煕字典』の説明も見れちゃうし,甲骨・金文・篆書の字形の変遷もわかるから最強って感じ!!

で,上の4つのソースの最大公約数を取ると,「睾」は元々「皋(皐)gāo」の異体字で「さわ(沢)」とか「高い」っていう意味を表していたみたいだね~
だから動画でも言ったけど,今後は堂々と「サワガニ」を「睾蟹」って書いたり「高枝切りバサミ」を「睾枝切りバサミ」って書いたりしていいってわけだね~✨
ただ,康煕字典が引用する『霊枢経(黄帝内経霊枢)』には「腰脊控睾而痛。」って書いてあって「睾,隂丸。」っていう注がついてるから,漢の時代にはもう「睾」が「おきんたま」として使われてたかもね~(注1)

他にも日本語版ウィクショナリーには「さつき」とか「おお」っていう訓が書かれていて,やっぱり典拠は示されてないんだけど,前者は「皋」,後者は「皞」の異体字として使う時の読み方だろうね〜

ごちゃごちゃな使い分け

調べてわかったんだけど,今みたいに「睾」が「おきんたま」だけに使われるようになる前は,「睾」,「皋(皐)」,「睪」(,「皞」)あたりが混同されまくってたみたいだね~~💦
漢典が引用する康熙字典にはこんなふうに書いてあるんだけど・・・

又正韻七陌睾字兩見,音亦者,訓伺視。音宅者,與澤同。十三爻皋亦作睾。睾註引列子釋文音臯,蓋未詳考臯卽皋字,臯之同睾,睾之音澤,皆轉寫錯互相承不改。睾譌从血,猶皋譌从丰。凡經傳子史作睾臯者,皆譌文也。干祿字書亦云:睾,俗皋字。

(私訳)また,『正韻』の入声第七韻母「陌」に「睾」の字は2回出てくる。音が「エキ」の方は「伺い見る」という意味で,音が「タク」の方は「澤」と同じである。平声第十三韻母「爻」の「皋」は「睾」とも書く。「睾」の注で引用されている『列子』の釈文には「音は皐」とあり,「臯」が「皋」かどうかはまだ詳しく考察できていないが,「臯」が「睾」と同じで「睾」の音が「タク」というのは(注2),全部転写した時の誤りをそのまま受け継いで修正しなかったせいだ。「睾」の部首が「血」であるという間違い(注3)は,「皋」の部首が「丰」だという間違いと同じである。経伝子史で「睾」や「皐」で書いているのは,全て誤字である。『干禄字書』も「『睾』は『皋』の俗字である」と言っている。

でも,ここで言われてる『正韻』の入声第七韻母「陌」の「睾」って「睪」の間違いだと思うんだよね〜(注4)
間違いを指摘してる人ですら間違ってるってとこを見ても,この辺の字がごっちゃごちゃになってるのがよくわかるね〜><

今回の動画で紹介したところで言うと,「睾睾(広大なさま)」は「皞」の意味で使ってるし,「睾牢(言いくるめる,丸め込む)」は『漢辞海』だと「皋牢」で載ってるし,「睾鼓(昔の楽器の名前)」も「皋鼓」とか「鼛鼓」とか書いてたみたいだし・・・ま~この辺は音が近いからすぐ通用されちゃうんだろうね~(注5)

「睾」を使った苗字!?

ここからはちょっと余談になるけど,動画編集のために「睾」の画像をGoogleで探してたら,「釆睾(わけびき,わけみ)」っていう苗字を見つけたんだ〜❗️

釆睾さんの名字の由来や読み方、全国人数・順位|名字検索No.1/名字由来net|日本人の苗字・姓氏99%を掲載!!

苗字に「睾」が入ってるなんてすごい! と思ってdigってみたら,「釋(釈)」の字を分割して作られたっていう由来までわかったんだ〜

「釆睾」(わけびき / わけみ)さんの名字の由来、語源、分布。 - 日本姓氏語源辞典・人名力

・・・あれ? 「釋」を分割したんだったら「釆睪」になるんじゃないの?
実際に「釆睾」さんをネットで探したら何人かヒットするんだけど,ちゃんとしたソースで見るとみんな「釆睪」さんなんだよね〜

釆睪 晃 教授 Wakemi, Akira | 大谷大学
教員情報 釆睪 真澄 中部大学
釆睪, 徹 - Web NDL Authorities (国立国会図書館典拠データ検索・提供サービス)

多分だけど,「睪」が変換候補に出てこないから似てる「睾」で代用したか,見間違いかのどっちかなんじゃないかな〜?
「睾」は「睾丸」として医学や生物学の分野でまあまあ使われるからJISの第二水準に入ってるんだけど,「睪」は第四水準だからパソコンによっては変換できないことがありそうなんだよね〜
とはいえよりにもよって人の名前を「睾丸」の「睾」に間違えるってだいぶ失礼な気がしなくもないけど・・・まあね! 「睾」は「高い」とか「沢」って意味だからね! 全然失礼じゃないんだけどね!
でもこの辺どう思ってるか本人に訊いてみたいな〜〜〜🥺

JIS第4水準漢字一覧表【全2436字】(JIS X 0213:2004) - fragment.database.

おわりに

「釆睪(睾)」さんについて動画内で触れられなかったのは残念だけど,色々調べたおかげで「睾」についてだいぶ詳しくなれた気がするよ〜!
この企画は今後も続けていこうと思ってるから,次回も楽しみにしててね〜
おし漫湖〜💗

注1:この注は明代に付けられたってことと,ここの「睾」は別のテクストでは「尻」になってるってことには注意が必要かもね~
参考:随訓釈訳 黄帝内経霊枢序説 - Google ブックス
注2:ここの訳はあんまり自信ないから間違ってたら教えて〜💦
注3:「血」部に見えるところが,「睾」が「おきんたま」を表す字になった一因かもね〜🤔
注4:↓で確認したよ〜
宅 - 小韻 - 洪武正韻牋 - 韻典網
繹 - 小韻 - 洪武正韻牋 - 韻典網
注5:ちなみに韻典網で調べると,「睾」,「皋」,「皐」,「鼛」は『正韻』では全部「高」と同じ小韻に分類されてたよ〜。「たかい」っていう意味もそこから来てそうだね〜
高 - 小韻 - 洪武正韻牋 - 韻典網
「皞」は小韻は違うけど,「高」と同じ「爻」の韻部に属してるから結構音が近そうだね〜
號 - 小韻 - 洪武正韻牋 - 韻典網

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