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LTADまとめ①  第1部:長期アスリート育成の手引き 序章

思考整理としてまとめます

書籍『long-term athlete development』について、思考整理的意味も含めて、noteにまとめます。とりあえず1章ずつまとめ、その章の内容について「中学校の部活動に応用できることは?」という観点から考えていこうと思います。

第1部 長期アスリート育成の手引き

書籍『long-term athlete development』は
第1部 『長期アスリート育成の手引き』
第2部 『長期アスリート育成のキーファクター』
第3部 『長期アスリート育成の各ステージ』
の三部構成となっています。

また、第1部は
第1章 『長期アスリート育成モデル』
第2章 『障がい者のスポーツ』
の2つの章から構成されてます。

第1部の第1章『長期アスリート育成モデル』ではLTADの概要が説明され、
第2章『障がい者のスポーツ』では障がい者のLTADモデルについて紹介されます。

この1部では1章が始まる前に、序章的な感じで
LTADの意義やその限界について語られます。
今回は、その序章についてまとめます。

LTADの意義

多くの先進国では、子どもの肥満や健康問題が国家的な問題となっている中、
我が子がオリンピックやプロでの成功を夢を見る親は、
子どもたちを早くから専門的なプログラムに参加させる一方で、
ゲームやバーチャルスポーツが盛況となっています。

このような社会状況において、
全ての子どもたちが生涯にわたって健康な生活を送ると同時に、
意欲と才能のある子どもたちが成功することができるよう、
個々のアスリートを計画的、系統的、段階的に育成することが必要となります。
その解決策として考案されたのがLTADです。

また、スポーツ組織は従来からバラバラで、
子どもの最適な成長を確保するためには、これらスポーツ組織の連携が必要性であるとも書かれており、LTADが選手を育てるということだけでなく、社会におけるスポーツシステムを変革するという意義についても言及されています。

LTADの長所

LTADの長所は3つの確実な基盤に基づいていることです。
その3つの基盤とは
1.人間の成長・発達の段階について明らかなこと
2.子どもや青少年のための身体能力向上に関する学術的・科学的情報
3.育成年代のコーチたちが効果的と認めたもの
です。

スポーツ科学における研究成果だけではなく、実際の現場の反応も重要視する。
そんな理論と実践を一つのモデルにまとめていることが大きな長所と言えます。

LTADの短所

LTADの短所は、「従来からの古い選手育成方法よりも優れている」という確証が何もない点です。
このことに対して、著者はLTADが正しいかどうかよりも、古い育成モデルが「本当に理にかなっているか?」と考えることが必要だと述べています。

LTADは「細部において正確で正しい理論」ではなく、現時点では「古いモデルよりは理にかなっている理論」だということでしょう。

LTADの限界

理論的には古い選手育成モデルよりも優れていると考えられるLTADですが、その理論がまだ証明されていないことに、その限界があるようです。

しかしながら、LTADを導入している多くのスポーツ団体や組織の取り組みと、
その成果や課題がエビデンスとして増えることで、LTADそのものが継続的に改善されていくことが可能となります。

つまり、LTADは今後進化を続ける育成モデルと考えることが出来そうです。

まとめ

中学校の部活にLTADを応用するためには
その長所の根幹である
「子どもの発育・発達についての知識」
「今までの科学全般(特にスポーツや身体)についての研究成果」
についての基本的情報をコーチが把握していることがまず重要であると思います。

また、その内容については、いかに科学的に明確であっても、
「現場のコーチがその取り組みに意義があると感じるか?」
「現場のコーチが実際に行えるか?」
ということを検討し、実践しなければ机上の空論ともなりかねません。

今後、LTADを部活に応用するにあたっては
「科学的エビデンスに基づき、現場の反応を見つつ、改善していく」
という過程を繰り返す必要があることをこの序章で学びました。



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