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LTADまとめ③ 第1部:長期アスリート育成の手引き 第2章:障がい者スポーツ

第2章:障がい者スポーツ

この章では、LTADを障がいを持つ人々に適用する方法が説明されています。
すべての人がスポーツを通して人生を豊かにするためのプロセスであるLTADに
おいて、障がい者スポーツは非常に重要な位置を占めています。

障害をもつアスリート

障害をもつアスリートには生まれつきの障がい(先天性障がい)を持つ人と
人生の途中で障がい(後天性障がい)を持つようになった人がいます。
この両者ではLTADのステージが異なります。

障がいをもつアスリートのLTADステージ

先天性障がい者は健常者と同じLTADのステージをたどります。

一方で後天性障がい者の場合は少し複雑なようで、障がいを持つようになった年齢が重要な要素になります。
人生の途中で障がいをもった人は、障がいをもった後の新しく変化した身体の能力を使って、LTADの初期段階を繰り返す必要があります。

また、後天性障がい者の人々はLTADの追加ステージを通過する必要があります。その追加ステージとは「認識」と「ファーストコンタクト」です。

追加のステージ「認識」と「ファーストコンタクト」

最初の追加ステージは「認識」です。
後天性障がいを持つ人々は、多くの場合障がいを持つ前は、障がい者スポーツについての知識に乏しく、幅広い身体活動の機会があることを知らないことが多いそうです。また、そのようなスポーツに参加することで生活の質が向上することも知らない場合が多いようです。
そのため、まずは障がい者スポーツの機会があるということを認識することが最初のステージになります。

もう一つの追加のステージは「ファーストコンタクト」です。
障がいをもつ人がスポーツの会場に来て「このスポーツを習いたい」というのはとても勇気のいることです。
そのため、障がい者とスポーツシステムとの出会いの瞬間は非常に重要です。
このファーストコンタクトのあり方でスポーツに参加するかどうかの可能性が変わってきます。

後天的に障がいをもった人々は、まず障がい者スポーツの機会を「認識」し、
次に、「ファーストコンタクト」で何らかの種目や競技と初めて出会います。
その後は、アクティブスタートのステージに入り、健常者と同じLTADのステージを進むこととなります。

障がいをもつアスリートの支援

障がいをもつアスリートは特別な支援を必要とします。
LTADではその具体例として以下の7つの支援を挙げています。

①トレーニングや競技のパートナー

障がい者スポーツにはトレーニングや競技のパートナーが必要となるものがある。この場合、アスリートが必要な時にいつでも相手をしてくれるパートナーを見つけることと、アスリートの競技力についていけるパートナーを見つけることの二つの問題がある。

②クラス分け

同程度の障がいをもつ他の選手と対戦するためには、障がいの程度によるクラス分けが基本となる。キャリアの初期には資格を持たない分類者によってクラス分けされてしまう可能性もあり、できるだけ早い段階で正確かつ恒久的なクラス分けを受けることが重要である。

③装具や器具

障がいをもつアスリートは車椅子や義足などの特殊な器具が必要な場合がある。
子ども用の器具が少ないこともあり、成人のアスリートよりも子どものアスリートにとって、装具や器具による支援は課題となっている。

④バリアフリー施設

障がいをもつアスリートが上達するには、施設にアクセスすることが必要となる。
利用する施設のエンタランスや更衣室、移動経路の床面、標識には障がい者への配慮がなされているか?また、その施設までの移動手段は?
障がいをもつアスリートにとって、施設の使いやすさや交通の便が大きな意味をもつ。

⑤知識豊富なコーチ

障がい者スポーツのコーチは障がいや身体活動の適応に関する知識だけでなく、
一般的なスポーツやコーチングに関する知識についても知っている必要がある。

⑥競技会のあり方

障がいをもつアスリートにとって意味のある競技会に参加することは、特に育成年代においては難しいかもしれない。その原因は、障がいの程度によるクラス分けと、同じ障がいをもつアスリートのコミュニティの少なさに起因している。
障がいをもつアスリートにとって意義のある競技会を開催をするには、障害のない人を車いすの選手として参加させたり、ハンディをつけたスタートをするなどの工夫をすることで支援をする必要がある。

⑦スポーツ科学

障がい者スポーツに関する研究はほとんど行われておらず、障がい者スポーツのプログラムは、健常者アスリートの研究成果をベースにしている。
障がいをもつアスリートが競技力を高めるためにも独自の研究を行う必要がある。

まとめ

障がい者スポーツも基本的には健常者と変わらないステージを進んでいくことがわかりました。ただし、障がいのある人が利用できる施設やスポーツプログラムの機会を「認知」してもらうことと障がいのあるアスリートとその種目、競技の「ファーストコンタクト」が良いものになるようにする必要があることを学びました。

この章の内容が、中学校の部活にどのように応用できるかについては、
現時点では明確に言語化できていません。今後の課題としたいと思います。

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