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不動産投資の典型的な失敗例3選

本日のテーマは、不動産投資の典型的な失敗例!
不動産投資の成功は、物件を売却しなければ確定せず一概に決まらないことが多いですが、失敗の回避は再現性が高いです。
どうしたら失敗せず物件売買を進めて資産形成していけるか?
そんな疑問にお役立ていただけましたら幸いです!
 
1、 失敗事例① 投資用の新築ワンルームマンション投資
 失敗要因ⅰ キャッシュフローとキャピタルゲインどちらも期待できない
 失敗要因ⅱ リスクが将来予測で反映されていない
2、 失敗事例② サブリース管理
 失敗要因ⅰ キャッシュフローが悪化する
 失敗要因ⅱ オーナーへの支払い家賃の改定があり、また解除もしづらい
3、 失敗事例③ 節税対策の物件
 失敗要因ⅰ 不動産投資の拡大とは相性が悪い
 失敗要因ⅱ 利益の先送り&年収圧縮の影響が長期的
 
1、失敗事例① 投資用の新築ワンルームマンション投資
投資用の新築ワンルームマンション投資は、1室単位で購入するので不動産投資の中では小口に投資でき、会社員の方が多く取り組む代表的な不動産投資手法の一つです。新築ワンルームマンションは、新築で年数が経過していないので金融機関からの融資も出やすく、不動産会社や営業から紹介される機会が多いです。年収500万以上から取り組める可能性が広がるため、

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などの広告の中身をよく見ると、新築ワンルームマンション投資であることが多いです。この投資のどこがまずいのでしょうか?

 失敗要因ⅰ キャッシュフローとキャピタルゲインどちらも期待できない
新築ワンルームマンションを購入してしまうと、物件を所有している間に得られる手残りのキャッシュフローも、売却時に最終利益となるキャピタルゲインどちらも期待できません。私は、不動産投資に取り組む目的は、上記のキャッシュフローかキャピタルゲインどちらかに設定した方がよいと考えています。具体的に、20~50代のこれから資産を形成していく方はローンが長期的に組みやすいのでキャッシュフローを、60代以降の今持つ資産を活用していく方はキャピタルゲインを目的に据えて取り組むと資産をうまく増やし、活用し、次世代につなげていくことができます。ただし、新築ワンルームマンションは、キャッシュフローとキャピタルゲインどちらも期待できません。

キャッシュフローに関して、新築ワンルームマンションを販売している会社の収支計算表を確認すると、数千万円の物件を購入しても最終利益のキャッシュフローがほとんど出ず、月々数千円ほどしか利益が出ていないことが多いです。その利益も、管理費や固定資産税など含まれていないことも多く、それらも差し引くと逆にマイナスになってしまう物件も散見されます。つまり、キャッシュフローが出ないということは物件を所持している間のメリットが全くないということと同義です。一方、私が普段投資家の方に売買サポートをする1棟の収益不動産は、キャッシュフロー目的の場合最終手残り金額を物件価格の2%を目標にします。物件価格が3000万円の場合、年間60万円、月5万円のキャッシュフローです。逆に、これくらいのキャッシュフローが出ないと、退去や思わぬ修繕が発生した時にオーナーが手出しをしないと対応できなくなります。

キャピタルゲインに関して、新築ワンルームマンションは前提として業者が土地を購入し、建物を建設し販売活動を行っているため、販売価格には業者の利益が当然乗っています。仮に新築ワンルームマンションを購入後に売却すると、ほぼ確実に売却額が購入額を下回ります。リーマンショック後など相場が冷え込み、不動産が売れないので市況として物件が安くせざるを得なかった時にたまたま新築ワンルームマンション購入し、今売却益が出るというのは稀有な例外です。また、その時期に新築ワンルームマンション以外の物件を購入されている方は、より物件の価値が上がっています(エリアによりバラつきがありますが、2010~12年比で現在のファミリータイプの区分マンション売却価格は1.5倍前後に上がっています)。購入時のラッキーな市況要因がない限り、新築ワンルームマンションは売却で利益が出ることはほとんどありません。実際に、新築ワンルームマンションを購入されている方の売却をお手伝いすることもあるのですが、偶然の市況要因が無い限りほとんど損切覚悟で売却をされている方が多く、皆さま

「高い授業料だった」

とお話しされていることが非常に多い、それが新築ワンルームマンション投資です。

よく、不動産営業マンが

「生命保険代わり」
「月支払いがマイナスでも、ローン完済後に不動産が残る」

と常套句のように言います。ただ、生命保険は保険に入ればいいですし、新築ワンルームマンションに投資した資金を使えばより多くのリターンを得られる投資は沢山あります。また、次の項で紹介する新築ワンルームマンションの収支計算も、業者の提示するものは将来リスクが考慮されておらず、購入後に収支が想像以上に厳しくなることが多いのが現状です。

 失敗要因ⅱ リスクが将来予測で反映されていない
不動産投資をする場合、様々なリスクが存在します。

空室・滞納リスク:入居している方が退去してしまう、入居者からの家賃が未払いになるリスク
災害リスク:地震や台風など天災に見舞われて被害を受けるリスク
修繕リスク:退去後に入居者の過ごし方次第で、修繕が高額になるリスク
家賃下落リスク:建物建設後の年数が経過し、家賃が下落するリスク
 
上記が代表的なリスクなのですが、新築ワンルームマンション業者の提示する収支計算は上記が加味されていないことがほとんどです。新築ワンルームマンションの場合災害リスクはあまり該当しませんが、そのほかのリスクは往々にして発生することは十分に考えられます。元々、甘い収支計算でよくて月々数千円の利益なので、上記リスクを加味するとすぐに赤字に転落します。私は、投資家の方に一棟物件を購入サポートする場合、最低4室以上ある物件をご提案していますが、部屋数が少ないと机上の表面利回りは退去の兼ね合いで成り立たなくなることが多いのです。

よって、キャッシュフローとキャピタルゲインどちらも期待できず、リスクが反映されていないことの多い新築ワンルームマンションへの投資は、極力避けることを推奨します。
 
2、失敗事例② サブリース管理
サブリース管理とは、不動産オーナーが専門の業者に建物や部屋を貸し出し、その業者が入居者を募集・管理することで、オーナーに安定した家賃収入を提供する仕組みです。退去が出たとしても、一定額の支払いを業者から獲得できます。一見すると良さそうなこの仕組みですが、何が問題点なのかをご紹介します。
 
 失敗要因ⅰ キャッシュフローが悪化する
サブリース管理を業者にお願いすると、サブリースを依頼する業者に実質的な費用を払う必要があり、その費用が単純に高いのです。サブリース管理をしなかった場合にもらえる家賃を100とすると、サブリース管理を通すとそれが85~90となり、実質的な管理費は10~15です。業者は退去時のリスクを負っているので一般管理よりも費用がかかるのは当然ですが、この10~15%というのはオーナー様にとっては非常に大きいのです。退去しても家賃が保証されるという心理的安全性は確かにありますが、購入時に優良物件を選んでさえいればサブリースで余計な費用を払う必要はないのです。一般的な管理は凡そ家賃の5%なので、空室時にオーナーが負担を負ってもサブリースを依頼するよりもキャッシュフローは得られます。また、そもそもの家賃100が維持されればまだよいのですが、それが維持されない場合も多いのがサブリースです。
 
 失敗要因ⅱ オーナーへの支払い家賃の改定があり、また解除もしづらい
サブリース会社の抱える物件の中でも、すぐに退去が発生し入居が安定しない物件は問題物件扱いとなり、オーナーとサブリース業者間で締結した管理委託契約に基づいてサブリース管理業者からオーナーに支払い家賃の改定の交渉があります。その場合、十中八九家賃は下がります。これが大きな問題となり、ニュースにも大きく取り上げられたのが大東建託やレオパレス21の対応で、長期にわたり保証すると謳っていた家賃が保証されなかったのです。

支払い家賃の改定に不満を抱え、もしくはサブリース契約を結ばなくても入居が見込めるのでオーナーがサブリース契約を解除しようとしても、簡単に解除もできません。特に、後者の入居が安定している物件はサブリース会社も優良物件とみなすので、中々管理を解除することに応じてくれません。サブリース会社からしても楽して売上になる管理物件は、管理を外されるのを勿論ブロックします。サブリース契約解除の際には、前出の管理委託契約に基づきオーナーとサブリース会社で交渉をするのですが、サブリース会社が戦略上契約書内に解除条件を記載していないことも多々あり、その場合交渉は難航します。解除の場合には、オーナーがサブリース会社に○か月前に通知を行い、それに違約すると違約した月分の家賃をオーナーが支払うのですが、ひどい場合は6か月分を負担することとなります。サブリースの管理物件売却を私もサポートしたことがあるのですが、解除の交渉は手間取ることが非常に多いので、基本的に管理形態としてサブリース契約は全くお勧めできません。

3、失敗事例③ 節税対策の物件
節税対策として、不動産投資に興味を持つ方も多くいらっしゃいます。節税対策として不動産投資を考慮する場合、ご自身の税金圧縮と払いすぎた税金の還付を受けられます。これは、建物の減価償却費をうまく利用することで実現が可能です。これの何が問題なのでしょうか。

 失敗要因ⅰ 不動産投資の拡大とは相性が悪い
節税目的の不動産投資それ自体は、ご自身の理想に沿うものであれば何も問題ありません。ただし、仮にご自身が不労収入を増やしていく=借入を拡大してキャッシュフローを増やしていくことを理想としている場合、この節税目的の不動産投資は相性がよくありません。
 
節税目的の投資は、簡単に言うと年収を下げて払いすぎた税金の還付を受けるものです。仮に、年収1000万円の人がいた場合、節税目的の物件は不動産でマイナス100万円の赤字計上をし、30万円還付を受けるようなものです。一方、キャッシュフロー目的の不動産投資は、年収1000万円のご自身の「枠」を使い物件を購入し、100万円余分に収入を得て30万円税金を多く納めるようなものです。不動産投資では、年収の○倍までの融資などのように、その方の年収という属性を評価の一つとして金融機関は最終的な融資額を決めていきます。仮に、キャッシュフロー目的の不動産投資を進めていきたい場合、節税目的の物件を所有していると既存の借り入れで金融機関からの評価がマイナス、ご自身の年収を圧縮したことで金融機関からの評価がマイナスとダブルパンチです。従って、投資の目的が節税か、はたまたキャッシュフロー拡大かは冷静に見極めましょう。あくまで私の個人的な意見ですが、年収3000万円以上の方であれば節税向き物件もよいと思いますが、そうでなければキャッシュフロー目的の投資で不労収入を増やされた方がよいのでは、と日々のご相談を通じて感じています。
 
 失敗要因ⅱ 利益の先送り&年収圧縮の影響が長期的
節税目的の投資は、ゴール=売却のことをよく理解していないと思わぬ税金がかかります。仮に、年収3000万円の方が1億円の築30年の木造物件(評価の内訳が土地5000万円、建物5000万円)を節税目的で購入したとします。木造物件は法定耐用年数が22年なので、22年より経過している物件は4年で減価償却でき、結果建物評価である5000万円の4分の1である1250万円ずつ年収を圧縮できます。従って、年収3000万円−1250万円=1750万円の属性評価となり、個人で払いすぎた税金の還付ができます。しかし、この物件の償却を4年で完了し5年後に8000万円で売却したとすると、かかった費用を一旦無視すると3000万円の利益が出たこととなり、そこに対して課税されます。これは、購入時は1億の物件でしたが償却を取ったことで5000万円の価値となった物件が8000万円で売れたことになり、利益は3000万円とみなされます。つまり、不動産投資で建物の償却を使った節税は、建物償却分を完全に除外して節税に利用することはできず、建物償却した一部を売却益で課税されるのでどうしても課税の先送りの面は拭えません。さらに、先の例のように節税で1250万円分年収を圧縮すると、その方の個人属性は3000万円の年収から1750万円の金融機関評価となってしまい、キャッシュフローを拡大していく際に金融機関の評価軸である年収「枠」に影響してしまいます。
 
話をまとめますと、節税対策の物件それ自体は悪いものではありませんが、ご自身の投資目的をまず考え、その上で目的達成の手段としての物件購入を進めていかないと、ゆくゆく自分の方向性に照らして購入方針を変更したくても簡単にできない可能性があるので、お気を付けください。
 
本日は、不動産投資の典型的な失敗例をご紹介しました。ただ、不動産投資はその方の属性や目的によりサポートできることが大きく変わりますので、具体的なご相談をご希望の場合は是非ご相談ください!
加えて、皆様からのご意見やadviceをもとに、記事の内容を考え、執筆した記事を修正していきます。お気軽にご意見をお聞かせくださいませ!
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