【2018年4月~6月】自作短歌まとめ

春から初夏にかけての歌をまとめました。出典はうたの日、うたらば、Twitter投稿、いちごつみなどです。

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駅で目が合えばすべてが色づいて巻頭カラーのような恋です

あの頃の無垢なわたしを引き連れて羊の群れは青空をゆく

車窓には一瞬桜 右肩に君のやさしい体温を乗せ

Bダッシュして死ぬときの迂闊さであなたのことを愛しています

ご迷惑おかけします、と迂回路でお辞儀している藤の花々

ネモフィラの地平はやがて滲み出し小高き丘のどこまでも空

30で死ぬはずだった 間の悪い君と分け合うポテトチップス

名を呼べば不思議そうに瞬くよ猫の目色の一等星は

結婚のマスで乗り込む青いピンずっとあなたに会いたかったよ

嘘でない証明になどならないと知りつつ増えてゆく感嘆符

百万円当たるといいね夜はまだ冷えるから手を繋いで帰る

最高の悪夢でしたね君と僕手を取り逃げて校舎爆発

あたたかい春雨でした亡き人を送るわたしに共鳴をして

ちゃんちゃん、で終わる喜劇の中にいてこの失恋は笑うとこだよ

正の字がふたつみっつと増えてゆき正義はきっとこうして決まる

胡蝶蘭ひとりぱちんと手を鳴らし飛んで逃げぬを確かめてをり

世界へと羽ばたくための窓となれデスクトップに小鳥を飛ばす

木造の駅舎に二人さよならを待つには白すぎる時刻表

鳶よ鳶東にゆるく傾いて風の形を知っているのか

透きとおるはちみつ漬けの夏だった午後三時まであなたと二度寝

廃村のポストは枯葉ばかり食べやがて言葉を忘れてしまう

新しい顔をくださいヒーローも泣きたい夜があるのですから

六月の日差しが僕を突き刺して見慣れた街の輪郭が夏

親族の背後にずっと「巻きで」ってカンペ出してる死神がいる

真っ当なことが苦手だぼくたちはロックンロールを食べて育った

ムーミンが妖精だって知った日のほんのすこしのカバのさみしさ

「好きだよ」の後に必ず「嘘だよ」と告げるあなたの嘘を愛する

やすやすと夏にのまれてわたくしが手を伸ばすものすべて群青

皆様にはお詫びの言葉もございません反省文を白紙にて出す

奥さんとファミレスに行く店員にピースサインを見せびらかして

コンソメを静かにすくう妹のお色直しを待ちわびながら

人生はドミノ 途中で倒れてもそれは大事な見せ場のひとつ

アメンボのわずかな浮力だいすきなねえさんはもう帰ってこない

遺影なら見つめ返せるあなたってそんな顔して笑うんだっけ

立ち漕ぎでゆけば激しくはためいてスカートは初夏のフラッグ

カーテンのない君がいた六畳間なんて明るいさよならだろう

澄んだ夜彗星さえも舞い歌う今燃え再生するよダンス(すんだよるすいせいさえもまいうたういまもえさいせいするよだんす)

長靴で立ち尽くすとき遠くから耳鳴りが来る わたしは墓標

真四角の部屋をまあるく掃く君の心の隅で暮らしています

あたたかいものを探して生きる ねこ 夜は黙って抱かせてほしい


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中條茜

コメント1件

夏よりも 夏の入口 初夏がいい そんな気持ちに なる四十歌
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