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亡き妻を想う歌

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泣きたくても泣けない時、涙の代わりに言葉を流します。
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記事一覧

ある日曜日

一日のうち六時間は眠ってて二時間はただ空を見ていた

一人夜

コンビニの弁当でもいい自分のために誰かが作ったご飯が食べたい

看病

めずらしく助け合う子ら見られればたまの病も良きことのあれ

覆水

何度でも元に戻せるルービックキューブに思うことは無けれど

もういらない

ただの一度も使われぬまま永久に欠番となるユアマイナンバー

セキラララ

お話なら「そして四年が過ぎ去った」とただ一文で時は経つのに
死にたいと願うわけではないけれど生きる理由も見つけれてない
秒針が午前零時を通り過ぎ今日がふたたび繰り返される
頑張っているねと褒められ返答に困ってしまう怠け者の僕
やり切ると誓ったことを反故にするそんな自分がとても嫌いだ
漆黒の水面にかかる細い綱をふらふら歩む先は見えねど
「助けて!」と誰に叫べば届くのか世間は優しい他人で満ちてる
もし

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アンバランス

塞翁が馬というけど君の死と釣り合う幸などあるはずもなく

題「味」

後味の悪いケンカをした君が手の届かない場所へ旅立つ

「NHK短歌」投稿作品

似顔絵

イライラと怒ってばかりのパパの顔を娘はいつも笑顔に描く

悲嘆のプロセスを歩む

救命医の「これ以上は…」という問いに「はい…」と答えて君が 死んだ
繰り返し繰り返し見る亡き人に出会う映画を自分に重ねて
春が来るたびに歳の差縮まりぬ横顔ようよう亡き母に似る
サンタには逢えると信じる末っ子もママにはもう逢えないって知ってる
子とともに手つなぎ歩くよ途中まで君と歩んだ未来への道

「短歌往来7月号」掲載作品

テーマ「記念日」

いかに死が二人の間を分けたとて七月六日は結婚記念日「NHK短歌」投稿作品

テーマ「肉料理」

もうずっとミートローフを食べていない何かが君をさらった日から「NHK短歌」投稿作品

シュガー定理

コーヒーに入れる砂糖と日々積もるストレスは比例関係にある

生活の知恵

子の靴を脱水してから軒に干すこれも君から教わったこと