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【和訳】Big Sean - Overtime -

ビッグショーン、ついに動き出しました。DJキャレドのアルバムでも素晴らしいラップを披露していましたが、この曲もとんでもなくかっこよいです。自分の失恋や鬱状態で苦しんでいた最近の心境をラップしていますが、その中にも自分の成し遂げてきたことに対する誇りや自信、そして将来の展望まで語っていて。いよいよアルバムに向けて準備万端、といった感じでしょうか。

曲そのものに目を向けてみても、途中でビートがスイッチして一気にドラマチックな展開になったり、圧倒的なライミングスキルを誇示していたりとクオリティ的にちょっと次元が違う気がします。(ライミングはぜひ歌詞を見ながら聴いて体感してください。韻の置く位置や踏み方が異次元です。これぞラップ、という感じ。)この曲はアルバムに入るというより、フリースタイル的な位置づけだと思いますが、それでこのクオリティ…恐ろしい技術です。

Geniusのfor the recordでもホストのRobが「関係者筋からは、今年出てくるショーンのアルバムが2019年を制圧するってもっぱらの噂だ」と語っていましたが、どうなることやら…


[Verse]


The universe been throwing me all the signs except stop it
この世界は俺に様々なサイン(指標、兆候、指示など)を投げつけてきた。「止まれ!(辞めろ!)」を除いてね。*

*色んな事が起こったけど、辞めることだけはしなかったってことですかね。。自信なし。

Niggas been plotting on me, but here's the plot twist
俺を使って何か企んでるやつらがいる。だが、今から話の続きをするよ

I can't throw fits no more unless it's profits
何か得るものがない限りは、俺はもう癇癪を起したりしない

Lord, why you keep boxing me in, 'cause I'm God's gift?
あぁ、なんでお前らは俺を取り囲むんだ(箱に閉じ込めるんだ)?、俺が神からの贈り物だからか? *

*批評に晒され、取り囲まれることを「Box me in(箱に入れる)」と表現することで、次の「God's Gift(神の贈り物=特別な才能がある)」につなげています。良いラインです。

I might set my mic back up in the closet, though
マイクをクローゼットの中にセットするかな。

Just to give myself that same feeling from '04
また、2004年の頃と同じ感覚に戻すためにさ。*

*2004年、まだ売れてなかった頃の気持ちを取り戻すために家のクローゼットにマイクをセットして曲を録ろうか、ということだと思います。

When my hunger was more, advice to you and yours
俺がもっと飢えていたときだよ。お前らに向けたアドバイス

They say it's over for you, that's when you go overboard, okay?
他人がお前はもう終わったと言ってきたとしてもな、そのときこそアツくなるときなんだ、わかるか? *

*go overboardの意味間違えてたので修正しました。すみません。

Shit, I didn't take a break, my nigga, I broke
クソ、俺は休息をとらなかった、なぁ、俺は傷ついた

Broke my heart, broke my soul, don't cry for me though
俺は失恋して心を痛めたんだ、魂まで傷ついた、でも俺は自分自身のことで泣いたりはしないんだ*

*このラインは彼女だったJhené Aikoと別れた時、彼女の方はとても傷ついていることをSNSでもアピールしていましたが、ショーンの方は特にそうした気配を出していなかったと。なので世間はショーンは彼女を振って、ハッピーで余裕綽々と受け取ったみたいです。それに対して、ショーンは「いや、俺も傷ついてたけど泣き言をいうのは嫌だった」と返しているわけですね。

If you don't break nothing down then it's no room to grow
もしなにも壊れなければ、成長の余地なんてものは残されていないんだ*

*壊れたもの(傷ついた心)は再生するときにもっと強くなる、みたいなニュアンスだと思います。

One mental block lead to another, shit it's dominos
一度メンタルブロックを引き起こすと次から次へと怒ってくるんだ。クソッ、まるでドミノだ。

Mixtape Sean, but I'm in album mode, ooh
ミックステープのショーン、だが今の俺はアルバムモードだぜ *

*Big Seanはスタジオアルバム4枚、ミックステープを4枚出していて、ミックステープの方が評価が高い。自分自身でそれを揶揄して「Mixtape Sean」と言ってるみたいです。但し、今はアルバムモードだ、と。内容的に充実した本当のマスターピースを作ってやる、という意気込みなのでしょう。

She give me praise, I love her angel face
彼女は俺に喜びを与えてくれる。俺は彼女の天使の笑顔を愛してるんだ

Ass so fat she could work at TSA (Damn)
マジでいいケツしてるんだ、だからTSAで働くことだってできるかもな

I went to school at Cass, Aaliyah went to DSA a mile away
俺はCassにある学校に通ってた時、アリーヤはすぐ近くのDSA(デトロイト芸術学校)に通ってた

Just letting you know the types of kings and queens my city make and I probably need a parade
俺の町(=デトロイト)がどんなタイプのキングやクイーンを輩出したかわかったろ? 俺は行列行進(パレード)をするに値する。*

*アリーヤとショーンの通ってた学校はかなり近い位置にあるみたいです。そんな「本物のアーティスト」を輩出している町がデトロイトだ、と誇ってるわけですね。

All the soldiers with me, this shit like green beret
俺の周りにいるソルジャー(=仲間)たち、奴らはグリーンベーレー並みだぜ*

*グリーンベーレーはアメリカ軍の中でも特別なエリート部隊を指す愛称のようです。緑の帽を被っている事に由来。それぐらい自分を囲む仲間たちは優秀だと言っている。

So legendary, I'ma probably need a day (June 29th)
マジで伝説に残るレベルさ、俺は記念日になるのに値するはずだぜ(6月29日!)

Forgot I already got one, be dammed if I'm not one
忘れてた、既に俺はなってたんだ、そうならなきゃおかしいぜ。*

*デトロイト州はビッグショーンの日として、6月29日を設定したとか。なので、「俺は記念日として設定されるレベルの偉業を成し遂げてるだろ」からの「あ、既に記念日になってたか」という流れみたいですね。

You talking 'bout the hottest in the city, most influential rappin' ass niggas and I'm the top one
お前らはこの街で誰が一番アツくて、影響力のあるラッパーか話しあってるが、俺が頂点さ。

Me and Em' knocked down doors for y'all that was locked once
俺とエミネムは、お前らのために、一度は閉ざされた扉をぶち壊したんだ*

*ショーンは自分とエミネムをデトロイト出身のラッパーのパイオニア的な存在として誇っていますね。自分とエミネムが成功してデトロイト出身のラッパーの扉を開いた、と。ショーンとエミネムはお互いにリスペクトしあっている仲。アツい。

I know they may never get me, I still put on for the city like the Lions first round picked me
俺は今でもこの町(デトロイト)を代表して、支援し続けるんだ。ライオンズが俺を選んでくれたみたいにさ *

*Lionsはデトロイトに本拠地を置くNFLのチーム。2015年にショーンはライオンズの試合前?にライブをさせてもらったことがあるようです。ショーン自身もライオンズのファンだとか。

I ain't been fucking I been too busy, I got two phones they both business, I got fake ones tryin' to end me
ただ俺が表に出てこなかったのは、俺が忙しすぎたんだ。俺はビジネス用の携帯を二つ持ってた。そしてフェイクな奴らが俺を終わらせようとしてきた。*

*多分ここでも忙しすぎたから彼女と別れた時もあまり表立った発言をしなかった、ということを言ってるのだと思います。

I got real ones gon' defend me like a fucking co-defendant
だが俺を守ってくれる本物の仲間たちが俺にはいたんだ。まるで共同被告人ってぐらいにね。

I got Don Life on my pendant, I’m conditioned to do the distance
俺は自分の(ネックレスの)ペンダントに「Don Life」の文字を入れた。そこまで行けるくらい、俺の準備は整ったんだ。 *

*Don LifeはSeanが新たに立ち上げたレーベル。最初に名前を出したのはキャレドの客演曲ですね。この曲も僕のブログで訳しているので良ければ見てみてください。

And I just set up the pensions, family set like my intentions
そして俺は資金をセットして、俺の意思通りの仲間たちが集まった(自信なし)

Been balancing trying to keep my company with the girls who wanna keep me company
ずっと俺の周りにいる奴を、俺のことが好きな女の子たちと付き合わせるよう、バランスを取ろうとしてきた*

*ココも自信ないです。前半はもしかしたら会社経営のことを言ってるのかもしれません。自分と付き合いたい女の子たち(との関係性構築)と会社経営を平行してやっていくことにトライしてたと。

You know the ones who claim they over me but would much rather be under me
俺を超えたって言ってる輩がいるだろ?でもそいつらは寧ろ俺の下についているのさ

Is confident and been through too much just to be done with me
そいつらは自信満々だが、俺にくっついてきただけなのに、色々と経験しすぎちまったんだろう

And you know that shit gets stressful right?
そいつがどれだけストレスフルか、なぁ、わかるだろ?

Shit taxing, the same thing that got Wesley Snipes
精神的にも肉体的にも本当にキツいことなのさ(重い税が課せられるのさ)、ウェズリー・スナイプスと同じ状況だぜ

*Wesley Snipesは映画「ブレイド」で主演した俳優。脱税で服役してたみたいです。「taxing」文字通り「税がかかる」的な意味でウェズリーと掛かっていて、裏に「精神的にも肉体的にも負荷がかかってる、キツい」という意味が隠れています。つまり、脱税で罪を負ったウェズリーと同じぐらい、ショーンには多大なるプレッシャーや負荷がかかっていた、と。

And you know how I'm rocking, rocking Elvis Presley white
おれが(ヒップホップゲームの中で)どれほどロックしてきたかわかるだろ?俺はロックし続けてる、まるでエルビスプレスリーみたいに。

You know highlight reelin'
人生のハイライト(=過去に成し遂げた重要な瞬間・出来事みたいなニュアンス)が回想されるとき

All highlights like we sitting on top of museum ceilings
全ての人生のハイライトはまるで美術館の天井に座っているかのようだ*

*ここもちょっとしたワードプレーで、highlight(ハイライト)とhigh light(輝度の高いライト)が掛かっています。自分の人生で成し遂げてきたことは、美術館に設置されている輝度の高いライトと同じくらいに光り輝いている、と。

No more resisting
もう我慢しなきゃいけないことなんて何もない。

If you ain't on my frequency, you out of tune and not tuned in
もしお前が俺に共鳴できないなら、お前は調子外れだし、そもそも周波数があってねえよ。

To break the unbreakable, escape the unescapable
破られることのないもの(記録とか常識?)を破って、逃れられないところ(ストリートのしがらみとか?)から逃れるんだ

'Til you push your fucking limits, you don't even know what's capable
限界を押し上げてみないことには、自分の能力が何かにすら知ることができないのさ

Fuck that shit that you believe in, I believe in me
お前が信じてるものなんてくそくらえだ、俺は俺自身を信じてる。

Talkin' on they phones and PC like they off that PCP
あいつらは電話やPCを使って、PCP(ドラッグのこと?)が切れちまったみたいに喋ってやがる

Bitch, I spit that Eazy-E, face to face, Smack DVD
ビッチ、俺はEazy Eみたいにスピットする。面と向かってさ・Smack DVDみたいにな。*

Smack DVDはバトルやそれにまつわるインタビューなどを収録したSmack Magazineが出しているDVDのこと。Eazy Eは言わずとしれたレジェンドですね。他のフェイクな奴らはPCや携帯でぺちゃくちゃ言ってるけど俺は面と向かってスピットするぜ、と言っています。

I don't got no time for hanging out and all that E-T-C
俺は遊びに出かけてる時間なんてなんだ、そしてその他諸々(etc.)についてもやってる暇なんてない

Just cut the check, C-T-C, Godbody my physique
ただただ、小切手を振り出す(=CTC:Cut the Check)のさ、俺のこの肉体、神の体だぜ

I can look inside your eyes and know exactly what you mean
お前の目の奥をのぞき込めば、お前が何を考えてるかはっきりとわかるぜ

Fuck you mean? Energy the first language that I speak
お前らなんかくそくらえだ。「エナジー」それこそが俺の発する最初の言葉だぜ

No facade, I belong in the Palace of Versailles with a queen by my side
みせかけなんかじゃない。俺は女王とともにベルサイユ宮殿に属してる

In this hot girl summer, I'm just trying to find a wife
Hot Girl Summerの中から、俺は奥さんを探し出そうとしてるんだよ *

*Hot Girl Summerは「女子たちの夏満喫」みたいな意味でしょうか。Freshman2019にも選出されたMeganが作った言葉?みたいですね。

Visualizing from every island that's on Hawaii
島々にいながらイメージを思い描いてる。それはハワイでのことさ。

With my team on each side, like ha-ha-ha-ha-ha
仲間たち(チームメイト)を両脇に携えて、ハハハハー!!って

With the last laugh like Kawhi
カワイ・レナードみたいに、俺が最後に勝利の笑みを浮かべるのさ*

NBAプレーヤーのカワイ・レナードがインタビューの時にした有名な笑い声を引用してるわけですね。詳しくは調べてみてください。

And you know that you that one when you beat all the other odds
そして他の馬鹿な奴ら(賭けのオッズも掛かってる?)をケチらしたとき、人は本物になるのさ。

I keep one foot planted at home and the other one on a swivel though
俺は一本の足を家にしっかりと置きながら、もう一方の足をスイベル(回転軸、猿環)に乗せてるんだ

Gotta keep 'em both 'cause this shit get way too pivotal
どっちもそうし続けないといけない。そいつはとてつもなく重要(ピボット)だからさ*

*レナード引用からのNBAつなぎで、ピボットの動きを比喩として使ってしっかりと軸足を置く(ブレない)ことと、動き続けること双方の重要性を説いているのかと。Pivotalはバスケのピボットの動きで、「回転する」という意味の他に「中枢=コアで重要なもの」という意味もあり、ちょっとしたワードプレーになっているかと思います。

All the work is analog, all the payment digital
全ての制作物はアナログで、支払いは全部デジタル

When tempers tend to flare up, I'm the one to be cool since preschool
世の中の風潮はすぐに燃え上がりがちだが、俺は保育園の頃から落ち着き払ってる男だぜ

I know which ones that's been rocking with me, dawg, since the prequel
俺は誰が俺と一緒にロックし続けてるかわかってるぜ、過去からずっと一緒にな。

Just be cool
まぁ落ち着け

I know your favorite one, dawg, I'm 'bout to drop the sequel
お前らが好きなのがどれかはわかってるよ、俺はその後編を近々ドロップするからよ!

Nigga, this just the preview
こいつはただの序章(プレビュ)にすぎないぜ

Don
ドン*

*多分Doneも掛かってると思います。これで終わりだぜ!的なのと、自分のレーベル「Don」

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