加工イラスト_カワウソ

「絶滅」した人気動物の再発見と日本酒の話【読み出し無料】~「長崎県対馬において、カワウソを発見!」(琉球大学)ほか~

1.最近、日本でカワウソが人気に!

昨今、日本では家庭でペットとして、イヌやネコ、ハムスターやウサギと同様に、ペットとして飼育される機会が増えた動物がいます。それは、ネコ目イタチ科に分類されるカワウソです。同じイタチ科の仲間にはフェレットがいて、こちらもペット屋さんで見かけることがありますね。

野生において、カワウソは集団で暮らし、社会性は高いと言われています。簡単な芸やトイレのしつけなら覚えられ、また人懐っこい性格の個体も多いとされて、日本では一部でペットとして非常に親しまれています(*1)。現在、日本で飼われているカワウソは、主に東南アジアから中国南西部の河川に生息しているコツメカワウソという種類だそうです。主食がカニや魚などで、地域によっては、コツメカワウソを使った漁業もあったとか。

テレビ番組で私が見たコツメカワウソは、夏休み、飼い主の準備したカナダライで水浴びし、その姿は愛らしかったです。川で遊ぶ姿は、テレビ東京系のアニメで、今年の1~3月の深夜、および8月の朝と2回も放送された、人気作『けものフレンズ』第2話でも見られます。第2話で、主人公たちが出会った擬人化動物「フレンズ」の中に、コツメカワウソがいました。彼女は、川で壊れた橋を滑り台のようにして遊び、「たーのしー!」と水に向かう。その姿に、ハートをワシヅカミにされた視聴者の方も少なからずいらっしゃったのではないでしょうか。

*1:「カワウソはペットとして飼える?カワウソの値段から飼い方まで徹底解説 」(https://petpedia.net/article/70/otter)。


2.二ホンカワウソ発見か?~「長崎県対馬において、カワウソを発見!」(琉球大学)を中心に~

 2-1.「絶滅」した二ホンカワウソが再発見された?

今でこそ、愛玩用にコツメカワウソが輸入されていますが、もともと、日本には固有種とされる二ホンカワウソが、近代までは北海道から九州の全国レベルで生息していました。しかし、乱獲や開発による生活環境の変化によって、二ホンカワウソの生息数は激減。2012年、環境省は「レッドリスト」の改訂にともない、二ホンカワウソの絶滅を正式に宣言しました(*2)。

時は流れ、二ホンカワウソが日本国で絶滅したとされて、5年が経ちました。ちょうど今年8月になり、琉球大学が長崎県・対馬での生態調査をしていたら、カワウソについて発見があったと発表しました:
「長崎県対馬において、カワウソを発見!」(2017.8.17、琉球大学)

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