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心にぽっかりと空いた穴を埋めるために末広亭に行ってみた話

本当なら今日は宙組バウ『夢千鳥』遠征のはずだった。
心にぽっかりと空いた穴、いったいどうしたら埋めることができるのか??

と、そこでふと思い付いた。
「社会生活の維持に必要なこと」を今日もやり続けている場所に行ってみようじゃないか。
そう、新宿の寄席「末広亭」である。

ちなみに私、上野の鈴本には2回、池袋演芸場には1度だけ行ったことある。
だが、いずれも知人と一緒。そんな程度の寄席初心者だ。
そういえば、かねてから末広亭には行ってみたいとは思っていたんだった。
それに、ちょっと話題になっている今の末広亭がどんな様子かにも興味がある。

よし、今日こそその日!
ひとり寄席デビューをすることに決めた。
ドキドキしながら入り口で3000円の入場券を買い求め、客席に入ると・・・

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前の方におじさんが数名。
どうやら顔見知りの常連らしく、ラクビーの五郎丸の話をしている。やっぱり佐賀工業出身で語学ができないからダメなんだと。
そしておじさんは言った。

「せめてオレぐらい語学ができればなぁ〜」

・・・始まる前からすでに面白かった。

昼の部の開始時の客席は18人。うち女子は私含め2人。
しかし、だんだん人が増えてきて、仲入りの頃には9割くらいは埋まっていた印象。
といっても、1席おきにしているから、事実上は5割だ。
「お仲入りって何?」「休憩のことだよ」とか会話して初心者風を吹かせるカップルも見かけたから、きっと今日の客席は私を含めた一元さんの割合もいつもよりは多かったに違いない。

そういえば、昨年5月の緊急事態宣言の最中には、春風亭一之輔さんがはじめたYouTubeでのライブ配信を聴く(見る)のが毎日の楽しみだったなあと、ふと思い出した。
あの頃に比べたら、少なくとも今は生で見られている。
そのことに、胸を打たれた。あれから約1年、皆さんの試行錯誤のおかげだ。
末広亭でも客席に飛沫が飛ばぬよう舞台上の噺家さんの前に透明な仕切りが置いてある。そして、換気のため常時窓を全開にしてあるので、はっきりいって寒い。
寄席名物の客席での飲食・飲酒も今は禁止だ。

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一之輔さんのYouTubeライブ配信で登場していた色物の人たちを生で見られたのも感動だった。
紙切りの林家正楽さんと曲独楽の三増紋之助さん。
YouTubeで見たときもすごい芸だとは思ったけど、人間味溢れる空気感や「上手くいきますように!」という手に汗握る緊張感、やはり生だと伝わってくるものが全然違う。
とりわけ紋之助さん、今日は特に調子が良かったらしく「今日はすごく上手くできた!!」と大興奮。こっちまで嬉しくなっちゃった。
こういう感じはやっぱりライブじゃないと伝わってこないよなぁ。

寄席ならではのほのぼのエピソードもあった。
本日、お休みの予定だったはずなのに間違って来ちゃった林家 彦いちさん。慌てて帰ろうとしたところを「せっかく来たのだから」と席亭らに引き止められたとのことで、代演の駒治さんの前に少しだけお話していかれた。
なんというユルさ。いいなあ寄席。

そして、お待ちかねの一之輔さん、今日のマクラはひときわキレッキレで最高だった!!
「緊急事態宣言が出てからお客さんが増えるってどういうこと?」にはじまり、
「末広亭を閉じても別に人流は止まらない。そこは伊勢丹とは違う」
「窓を開けて換気をしているが、元々すきま風が入るので換気は十分」
などなど、愛あるディスりも絶好調だった。

帰宅した今、なんとなく心の穴は埋まった気がする。
でも、励まされたとか元気をチャージされたとか、そういう感じじゃないな。
まーいいや、どうにかなるさ。
なんだか脱力して、気持ちがほぐれた感じ、かな。

ありがとう末広亭。
心が荒んだときにはふらっと出かけられる場所が、ひとつできました。


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