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【描写】と【芝居】と【n題噺】(第4回・完結)

 いつもご覧いただきまして、誠にありがとうございます。中村尚裕です。

 私、このところ『【描写】の元となる【元現象】そのもの』の構築について、【考察】を巡らせております。
 と申しますのも、『いくら超絶技巧を駆使しようとも、【描写】すべき【元現象】が陳腐ならば、その陳腐さを【描写】で覆すことはできない』からで。例えば『【大根芝居】は、いかに凝って映し取ろうと【大根芝居】でしかない』わけですし、さらには『【芝居】にすらならない情報量なら、そこに【登場人物】に息遣いを宿すことにも無理が出る』わけですから。

 そう考える時、『【元現象】を作り込む意義』は相応に重くなることが予想されるわけです。もちろん【作風】にもよることでしょうけれど。

 そんなわけで『【元現象】を作り込む』、その方向性として『【芝居】型【表現】』と私が呼ぶものをご提案しております。同時に対比として『【要約】型【表現】』と呼ぶものも。

 前回は【芝居】の【利点】として、『【元現象】という現場が持つ【情報量】』を再現する方向性で【表現】を作り込める――という点を挙げました。もちろんこれは【行間】までも駆使してのことですが、これにより【臨場感】や【説得力】を備える【効能】も期待できますね。

 というわけで今回は、【我流】なりに【芝居】を組むための考え方をお伝えいたしましょう。よろしくお付き合いのほどを。

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 さて、ここで【芝居】を組み立てるに。
 例示させていただきました通り、『踏まえるべき【背景情報】』というものは多々存在するわけです。『前後のシーンあるいはカットと連動する【入り】や【引き】』はもちろん、【登場人物】の【人物像】や、その裏打ちとなる【経験】、あるいはシーンを支配する【前提条件】、さらには【作品世界】における【物理法則】などなど。
 この辺り、『【背景情報】を踏まえる』ということは『【登場人物】の【役作り】』にも通じていくことになりますね。ここでは『【役作り】の対象は、【登場人物】のみならず【元現象】に登場する【現象】全般』ということになりますが。いわば『広義の【役作り】』というわけです。

 さて、ここで。
 『踏まえるべき【背景情報】』を羅列しただけでは、もちろん【面白く】することは難しいわけです。例えば【描写】ではなく【説明】になってしまったり、あるいは『【要約】型【表現】』になってしまったり、という具合に。これを『【面白く】魅せる』には、もちろんそのための【工夫】が必要――と、【我流】では捉えております。

 ここで【持論】を。
 『【面白い】【描写】には、【物語】がある』。
 これの適用範囲は、実は【描写】に限りません。小は【登場人物】の一挙手一投足や科白の一つ一つ、果ては一文に至るまで。シーンももちろん例外ではなく、大はそれこそ章や【物語本編】全体に至るまで、あらゆるスケールの【表現】が当てはまります。つまりはこれ、【フラクタル】な入れ子構造で、あらゆるスケールで【面白く】する【工夫】が凝らされている――という状態です。

 これについては、反例をお出ししてみましょう。こうお考えいただいたら納得していただきやすいのではないでしょうか――もし『序章』と称して、全【登場人物】や全【世界背景】などといった【背景情報】がメリハリも意外性も関連性もなく書籍一冊分垂れ流されていたら、さてどうでしょうか。その後の展開がどうあろうと、私ならその前にページを閉じてしまうでしょうね。

 ゆえに、【元現象】を構築するに当たっては。
 『【入り】と【引き】や【背景情報】などを含め、そこに込めるべき【事実】の数々を【お題】として、【小物語】を構築する』という【工程】が、【我流】では極めて重い【意義】を持つわけです。
 これを【我流】では、【n題噺】と【認識】して極めて【重要視】しています。これは『n個の【背景情報】をn個の【お題】と【認識】し、これら【お題】から【三題噺】のように【小物語】を構築する』という捉え方。『【描写】すべきシーン』の中に、入れ子たる【小物語】を込めていくというわけです。

 では、その【n題噺】はどうやって構築するのか――というところに、興味をお寄せになる方もおいでであろうと推察します。

 実はここで、極めて【重要】なことをお伝えせねばなりません。
 私の【経験則】としては、『【n題噺】に明確な【攻略法】は存在しない』のです。事実、【三題噺】に関して『鉄板の【攻略法】』なるものについては、私は絶えて見聞きしたことがありません。
 つまりは『【n題噺】とは、【論理】に頼らない、ほぼ純粋な【発想】や【剥き出しの創造力】が要求される【工程】』ということです。これは私の知る限り『【創作】の【中核】』とも【表現】できる部分であり、その意味するところは『ひたすら【鍛錬】を積んでこそ、初めて【n題噺】においては【上達】を望み得る』ということになります。

 以上の【背景】から、【我流】で【描写】のために【重視】しているものは主に以下二点です。

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・『踏まえるべき【背景情報】』を揃え、そこから【お題】を【抽出】する【考察力】
・【抽出】した【お題】の数々から【n題噺】を構築する【物語構築能力】

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 この【n題噺】の有用性は、実は『シーン構築』だけに留まるものではありません。小は『【登場人物】の一挙手一投足』や『一文の【構成】』に至るまで、逆に大は『話単位、章単位、ひいては【物語】全体』に至るまで、極めて広範囲に及ぶものです。
 これは自然に存在する【フラクタル構造】に基づいた考え方で、よってあらゆるスケールで適用あるいは【応用】し得る、というのがポイントですね。

 言い方を変えれば、『【n題噺】は小スケールの【小物語】群で【鍛錬】した【経験】が、大スケールの【物語本編】においても【活用】し得る』ということでもあります。であれば『短い【小物語】の数々で【鍛錬】を積み、それを【物語本編】へと拡大する形で【応用】していく』という道筋も有効そうではありますね。

 何にせよ【我流】では、【描写】のやり方として『広義の【芝居】』を重んじますし、この【芝居】を組むに当たっては『【お題】の【抽出】』と『【抽出】した【お題】から構築する【n題噺】』を重んじます。【物語】を紡ぐからには、その【構成要素】もまた【物語】や【小物語】である方が『【現実(リアル)】に近しく』、それゆえに『【リアリティ】を醸しやすい』という【利点】が期待できる――というのが、その主たる【理由】ですね。
 もちろんそうやって積んだ【経験】が、【物語本編】を構築する【技量】にも反映されていく――という【目論見】もあります。

 と、このような【背景】から、【芝居】という切り口をお勧めしてみる私なのでありました。

 よろしければまたお付き合い下さいませ。

 それでは引き続き、よろしくお願いいたします。

(マガジン)


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