アテンション その3 「雑誌DMで気をつけるべき5つの法則」

 雑誌DMはぜひお勧めしたい戦略なので、注意しておきたいことを5つの法則として整理しておきたいと思います。

 法則①は「ターゲットの趣味趣向と一致させる」ということ。
先ほど、お話ししたように、自社の見込み客とはどういう趣味趣向を持った人なのかを深く考える良い機会にもなると思います。そういう人たちに対して、商品やサービスを売るというのではなく、「役に立つ情報を発信する」という気持ちで作っていけば、その購読者があなたの商品やサービスのファンとなり、顧客との継続的な良い関係を築き、すなわちロイヤルユーザーを育てていくことになるのです。
 最近、DMを打つ目的として、集客やクロージングでなく、ブランディングのために使用するという企業も多く見受けられるようになりました。紙DMはネットとは違い手元に残る媒体です。例えば、この雑誌風DMを定期的に刊行すれば、いろいろな角度から自社の商品やサービスをアピールすることになり、そりだけ顧客にとって身近な存在へと変わっていくのです。
また、「趣味趣向とあった情報」は、「あなただけ感」を助長し、開封してもらえるという点でもメリットがあります。ちなみに、雑誌DMの場合は開封率を上げる意味でも、表紙がそのまま見える透明ビニール封筒の使用が良いと思います。

 法則②は「制作予算とのバランスを考える」ということ。
「ゆうメール」を使えばある程度、厚みのある雑誌も送れてしまいますが、ページ数が多くなればなるほど、当然、制作コストはアップしてしまいます。ひとつの目安は、P8と考えてみてください。印刷と綴じの関係を考慮し、P4 、P8、P12、P16がページ構成の目安になるでしょう。その中でも、P4だと結局、チラシの二つ折りという印象をぬぐい切れず、かといってP12以上になると最初は内容を考えるうえでも難しく感じるに違いありません。
 そこで、A4サイズP8をベースに当初は作ってみてください。
つまり、[タイトル(表紙)、テーマ・内容 (P1-2)、展開 (P3-4)、商品 (P5-6)、集客誘導(表4)]という感じで考えてみましょう。まず、表紙では一般雑誌などを参考にタイトルを上に大きく入れて、今回の雑誌のテーマを見出し風に入れていきます。デザインは一般雑誌を見れば検討は付くと思います。
P1-2では今回のテーマに即した内容になります。例えば、表紙で「クルマの未来はどうなるか?」というように疑問を提示しておいて、P1-2では「水素自動車へと、世界のクルマは走り出す」というようにこの雑誌のテーマを深く語る。そして、P3-4では「自動車メーカーが歩んできたハイブリッド、クリーンディーゼル、電気自動車という歴史」を語ってもいいですね。P5-6では、「BMWの先進技術の紹介」をしながら、今後、想定している未来のBMWのイメージをアピールします。表4(最後)では、「最新のBMWの紹介やショールームイベント情報など」を入れて、集客を図っていくという流れです。さらに挨拶状を封入し、今回の雑誌の趣旨とショールームイベントへの招待を簡潔に記載する必要もあるでしょう。
 もう一度、復習すると、表紙「タイトルと問いかけ」、P1-2「テーマを深く語る」、P3-4「テーマをさらに展開」、P5-6「その流れで自社の商品やサービスをアピール」、表4(最後)「イベントなどに誘導」という感じです。
 これはひとつの例ですので、試行錯誤しながらアイデアを出してみてください。

 法則③は「テーマは毎回変えて、購読を持続させる」ということです。
例えば、年4回出すというのなら、季節にからめて考えてもいいかもしれません。例えば、婦人服のメーカーさんなら、春はフォーマルなお出かけが多いことから、「フォーマルの春」をテーマに、フォーマルドレスの時代の流れをひも解いたり、「装いだけでなく、心もフォーマルに」などとフォーマルシーンでの作法指南もあるかもしれません。夏なら、「涼しく装う、夏のヒント」などと、衣服だけでなく、涼しく暮らすための工夫などを記事としてまとめると良いかもしれません。
アイデアの源水として考えられるのは、一般雑誌です。あなたの商品やサービスに関連する一般雑誌が、季節によってどうテーマを変えていくかを見ると、かなり参考になるのではないでしょうか。

 法則④は「商品チラシにならないように」です。
我が家に届くDMでも、チラシになってしまった残念な企業雑誌を見かけています。雑誌風のタイトルがあるにも関わらず、扉を開けた瞬間からチラシとなっているケースです。商品やサービスを売ることだけに一生懸命になり、読者を楽しませるという心遣いがまったくないのです。一度、こういう紙面を見てしまうと、次回からは封筒(ビニール封筒の場合は表紙)を見た瞬間にごみ箱入りとなってしまいます。
すなわち、読みたくなる紙面を考えてください。写真やイラストを多用し、細かい文字の羅列になることは絶対にさけることです。できれば、メインビジュアルはプロの撮った写真を使う方が雑誌全体のクオリティを高めてくれます。
プロといっても、著作権フリーの素材や、わずかな金額で使えるクオリティの高い写真をネットで検索して入手すればいいのです。イラストも同様に探すことができます。どうしてもオリジナルの写真が欲しい場合はクラウドワークスなどで募集するのもありです。ご自身で撮影する際は一眼レフなどを使用して、背景がボケらすとある程度のクオリティ感を持たせることができます。最近ではフリーの画像処理ソフトも出ていますので、トリーミングやコントラスト、明るさなども調整して、見た目の印象が上がるように努めてください。また、デザインも印刷業者にお任せではなく、クラウドワークスなどを上手に使って、グラフィックデザイナーに制作してもらうことをお勧めします。

 そして最後、法則⑤は「あくまでDMなので、集客へとしっかり誘導する」ことです。つまり、DMの本来の目的である、顧客に行動を喚起させることを忘れないようにしてください。

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