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プロ仕様のヴァイオリンとは?

音色、音量...演奏者を最高に熱い気持ちにさせてくれる楽器に大切なことは山ほどあるでしょう。隆起や材料、作り手の誠意...セットアップ、調整。

でも、基本があくまで大切です。硬い音色が魅力の楽器を無理やり柔らかい音にしたり、甘い音色の楽器を無理やり辛口の音色にするのは良いことだとは思えません。あくまでその楽器のすっぴんの音を健やかに出せるようにするのが調整だ、と弾き手である自分は考えています。

まず、周囲の同業者に比べて高価な楽器を所有しておりません。残念!でも、R34スカイラインを、R34GT-Rにするような努力をしていますし、楽器もそれに応えてくれています。大事なことは、どんな価格であろうと、ちゃんとした楽器であれば、一級品の名器と同じレベルで調整されるべきだということです。すべては紹介できませんが、一部をご紹介しましょう。

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テールガット...ここも振動が循環する大切な通り道です。カーボンにしています。ヒル脚と呼ばれる顎あての脚も音の効率には多少関わります。

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テールピース...ここも振動の通り道。弓と同じフェルナンブーコ。

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フランス製のテールピースですが、弦が駒からテールピースまで真っ直ぐです。これも振動の循環には大切なこと。こういうところに伝統があるんですね。

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テールピースのナットから駒までの距離は流派ごとに基準値があります。つまり、テールピースそのものの長さも実はとても大切なことです。

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ヴァイオリンはその全てが振動します。ここもフェルナンブーコ。

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駒の脚の高さも大きな違いになります。脚が吸盤のようにぴったり表板につく...とても大変な技術です。もっとも、本当はもう少し薄い方がいいのですが、そうすると維持や交換が大変なので、そういう面でバランスをとった厚さにしてもらっています。

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ネックの角度。弦の振動からボディの振動になるときに、弦の力を大きく左右するもの。これも大変な知識と経験を投入してもらっています。

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音には関係ありませんが、右肩にはテープが貼ってあります。ストラディヴァリとかにもよく貼ってあります。汗によるニスやボディの損傷を防ぐものです。

ここまでやっていると、失礼な言い方ですが、ちゃんと弾かないとコントロールできません。反応の速さが全く違うからです。しかし、言い方を変えれば、ちゃんと弾く一級の技術や感覚が欲しい人は、こういうセッティングが求められます。

まぁ、大変と思われたかもしれませんが、こういった調整一つで楽器を買い換えるのと同じくらい違います。「自分の楽器の本当の声」を導いてくれる調整をしましょう。それが自分の耳や腕を育ててくれます。


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