見出し画像

戦略コンサル7年とリクルート6年を経て、駆け出しのベンチャー社長を始めた話

初めまして。中野慧(なかのけい)と申します。
4月1日から、soeasyという会社の代表取締役社長をしています。

新卒で戦略コンサル会社に7年間プロマネとして在籍し、その後リクルートマーケティングパートナーズに転職、新規事業開発の責任者の後、4月1日から、共同創業した株式会社soeasyの社長として経営を行っています。

経歴だけ見るとギラギラしていますが、全然そんなことはなく、そもそも高校も中退だし、ニートの期間も挟んでいるし、本当に色々と人生に悩みながらたまに道も踏み外しながらの意思決定でした。

せっかくなので、自分がこれまでに培った経験をオープンにして、関連する状況に置かれた人に参考にしてもらえればと思いますし、少しでも新しいチャレンジを応援してもらえればありがたいと思っています。

戦略コンサル時代

「ファクト」と「ロジック」が絶対の業界に入社: 
ベインアンドカンパニーという会社に入社しましたが、東大京大卒業が殆どで、さらにそこからMBAのトップスクールに留学してやっと当たり前。さらに、発注額の高さも相まって、大手企業の社長/経営陣直轄のプロジェクトや、ファンドが入って全社の経営戦略を変えるといった大きな仕立てで仕事をすることが多いです。
この環境の中で、外部の会社の業界経験も社会人経験も短い若手コンサルタントが納得解を導き出すためには、「ファクトに基づいて」「ロジック(=共通言語)で納得できる」ことが強烈に求められるために、ここへのこだわりはとにかく強くなります。ちなみに、この本は当時のコンサルにとってはバイブルで入社後の一年間本当に何回もめくりました。

特にプレッシャーと学びの大きい、ファンドとの仕事が多かった:
いわゆるファンドと仕事をすることが特に多く、デューデリや事業再生プロジェクトに携わった期間が長かったです。
特徴としては、短い期間でプロ経営者を相手に、大きな意思決定を促す提案を繰り返すために、心理的なプレッシャーや労働時間が他のプロジェクトに比べて大きく/長くなりがちな傾向があります。
この、いわば虎の穴的環境の中で、「憂鬱でなければ仕事でない」を地でいくようなプレッシャーと成長を繰り返す仕事を7年間続けていました。

ビジネススキルは圧倒的に育てられた: 
成長の糧となった修羅場は、数え切れず、辛い経験ももちろんあります。
2年目でクライアント様の社運がかかった戦略変更の提案の機会を頂き、20名を超えるクライアントチームと協働。あまりの未熟さから総スカンをくらい、プレッシャーで数日眠れずに作った資料が社長プレゼンで3分で強制終了、ゴミ箱行き。文字通り、悔しさで本当に枕を濡らす。
こんな痺れる大失敗と挽回のためのもがき苦しみの場をいくつもいただけたことは、身を削ってる辛さはありましたが、ビジネスパーソンとして成長するまたとない機会でした。
この7年間で得た経験から、仕事を回す力は圧倒的に高くなり、転職してから仕事のスキル面で困ったことはあまりないのでは、というくらいのベースがここで身につきました。先輩方には本当に感謝しかなく、今でもお付き合いのある方、応援してくださっている方が何名もいらっしゃいます。

あらゆる機会が溢れているからこそ、人生の優先順位がシャープになった
ここでの仕事の中で、色々な機会を与えていただきました。
優秀な仲間と仕事をすること、お金を稼ぐこと、所謂大きい仕事をすること、様々な業界の様々なテーマで仕事をすること。
機会があるからこそ、自分の、仕事や人生における優先順位をどうするのか、という問いが良い意味で何度も何度も繰り返し突きつけられます
私は、新卒から29歳まで働いて退職したのですが、その際に、「30代は新しい価値を世の中に生み出す仕事がしたい」と次のチャレンジの軸を納得感を持って決めることができました。

リクルート時代について


次のチャレンジの場として選んだのはリクルートでした。リクルートについては、各所でその特異性と素晴らしさが語られているので、詳細は割愛しますが、有名な「お前は何がしたいのだ」が常に問われ続ける環境というのは、本当にそのとおりです。
これが会社の文化として、現場の隅々にまで浸透していることこそが、現場のクリエイティブが求められる今の時代で、またとない競争優位性になっていると思います。

望んでいた「新しい価値を生み出す機会」をいただいた:
リクルートマーケティングパートナーズというゼクシィやカーセンサーを持つ事業体で、スタディサプリの小・中学生領域のプロデューサーの機会をいただいた後に、事業開発部の責任者として、新しい領域で取り組む事業の検討と立ち上げ支援を行っていました。
「30代は新しい価値を世の中に生み出す仕事がしたい」と思って門戸を叩いた自分にとっては、願った通りのありがたい機会をいただきました。

組織を創り、リードしていく上でのエッセンスを学んだ: 
コンサルから転職してきた直後、環境の変化に適応することに苦労しました。これまでは、2-3ヶ月の短いプロジェクト期間で、明確に同じ目的意識(=会社の業績改善)をもった同士たちと、論理に基づいて仕事を前に進めることが強く求められていたために、大変だけど世界はシンプルでした。
環境が変わり、長い時間、人生の優先順位や仕事において大事にしたいことが異なる人たちとチームを組んで過ごし、結果を上げることが必要になりました。
リクルートは大企業ではありながら意志を持ったリーダーの登場を促す文化です。リーダーシップを育成する機会が様々な場で提供されます。
その中でも個人的に強烈だった学びは2つでした。フリーランスの方や士業の方など、私と近い環境にいる人には参考になることかもしれません。

① 異能のチームの力
リクルートに入って最初に入ったプロジェクトでの会議での1コマを強烈に覚えています。
コンサル会社での会議は論理的な正しさ、という基準軸が明確にあったので、良くも悪くもスキル豊富な上長が、メンバーの考えを整理し導くための場でした。
一方、リクルートのその会議はカオス。ほんとうに突拍子もないことを言いだす人とかが登場し、「コンサルなら激詰めされるよ笑」、という感じだったのですが、それでも一ヶ月後とかにその突拍子もない意見が正しかったこと、その議論から生まれた仮説が証明されるのです。
自分が、(自分の依って立つものである)論理の軸でしか判断していなかったことを猛省し、価値そのものについて考えはじめるありがたい機会が何度もありました。

② ビジョンの力
ワクワクして「思わずついていきたくなるような」未来を描き、伝えること。リクルートのリーダーにはこれに長けている人が非常に多くいます。人が集まり自信を持って同じ方向に進んでいくためには、その指針となるようなビジョンが必要です。
Hard Thingsが次から次へと起こり、誰もが自信を失いかけたとき、強いビジョンがあれば、それでも前に進み次のチャンスを掴むことができます。リクルートでは、ビジョンの素案を作りメンバー全員が参加してそれを議論し、咀嚼して腹落ちするところまで、相当な時間とお金を投資します。逆に言えば、そうするだけの価値がある投資だと認識しているのです。
スタディサプリが強いビジョンとメッセージによって急成長する姿をすぐ側で見られたことは、自分が創業するうえで大きな学びになりました。

自己責任だからこそ許されるスピード感で、本気で価値を感じる事業に、最高の仲間とチャレンジしたくなった: 
リクルートは本当に素晴らしい環境で、手を挙げればチャンスをあたえてくれるし、自由だし、周りにいる人は優秀でやる気に満ち溢れている人たちで、提示される条件も十分に満足のできるものでした。仮にもう一度社会人をゼロからやり直すとしても、リクルートに入社することをきっと選ぶと思います。

それでも、外に出て、新しいチャレンジをスタートすることを選びました。

一つは、リクルートで仕事をする中で、やりたいことがよりシャープになってきたからです。元々、学校を中退したあと教育効果について自問することが多くなり、一念発起して教育学部に入学し、スタディサプリに関わっていたくらい、「学び」そのものに興味があります。
学校教育や畏まった学習ではなく、社会人になった後、組織に所属した後、手軽に、かつ生活や仕事がリアルに変わる学びを提供することを手がけたくなりました。

2つめの理由は、一緒にチャレンジしたい仲間が見つかったからです。自分一人では背負い切れなかった新しいチャレンジへの不安を分け合い、ちょっとした成功を一緒に喜び合える仲間が横にいました。
新しく事業を始めることは、もちろん楽しいこともいっぱいあるのですが、ヒリつくような不安を感じることだって当然あります。今自分の横に、今いるチームがおらずにこうした不安を一人で抱えていたら、と考えるとゾッとします。

最後に、自分でリスクを背負った自己責任だからこそ買えるスピード感が、この事業とチームの中では魅力的だったからです。個人的にも、子どもが生まれたばかりのタイミングなので、安定した会社での立場や給与を捨てて、資産も投じてチャレンジすることにヒリヒリする感情を持つことは嘘ではないですが、それでも、この機会を掴みたいと思いました。

soeasyについて

これまでの経験を経て手がけたいと思った、「シェア」により学びが指数関数的に拡大するサービス: 

手軽にモチベーション高く高め合うことを支援するような仕事を手がけたい、と上述しました。
小・中学生の学習について研究していた際に、学習継続のために必要な要素は、古今東西色々語られているが、①成果の可視化、②成果への報酬、③協働 or 競争、であることが語られています。これは、大人にとっても同じだと思います。
ただ、子どもの学びと大人の学びには大きく2つの異なる点があります。
一つは、カリキュラムや答えとして決まっているものがなく、無限の学びが求められること。もう一つは、個人戦ではなしにチーム戦であること。

この大人の学びの特性を踏まえて、学習継続/効率化の要素を付け加えるとすると、僕は「シェア」だと思います。
個々人が学びを持ち寄り、それを試し、発見を付け加えていくことができると、学びや知恵は指数関数的に拡大していくことができる。
売れる営業トークを隠し持つのではなくて、シェアして、みんなが試し、より良い発見が各現場でどんどん足されていくと、一気に知恵の爆発が起こります。参加する人の数だけ学びは深くなっていくのです。

だから、soeasyのコンセプトは、「あなたにとっての当たり前が、世界をちょっと幸せにする」。
困ったときの生活の知恵を一般ユーザーがグローバルでシェアしあう、soeasyと、組織の中のノウハウをスタッフがシェアしあい蓄積する、soeasy buddyの2つのサービスで事業を展開しています。

折しも、人手不足倒産といったキャッチーなキーワードが有名になり、また、4/1の入管法改正で多くの外国人材が日本での生活について不安や悩みを感じている昨今、様々なクライアント様に活用いただき、複数のメディアでご紹介いただいています。

終わりに

非常に長い文章になってしまいました。。
もし、サービスに興味ある/会社に興味ある/とにかく話を聞いてみたい、という方がいらっしゃいましたら、ぜひご一報くださいませ。最高のチームで最高のプロダクトを届けたいと思っています。サービスについて知っていただけるだけでも嬉しいです!


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?