個人の力でヘイト候補の当選を防ぐ方法とは?(中野区長選振り返り)

2018年6月10日に行われた中野区長選挙において、「ヘイト候補」こと吉田康一郎氏が落選しました。情報の拡散にご協力くださった皆さま、本当にありがとうございました。

吉田康一郎氏は3位落選。しかし課題は「出馬できてしまうこと」

吉田康一郎氏は落選とはいえ14,534票を獲得。トップ当選に2.5倍もの差があったものの、最下位ではありませんでした。

選挙結果は中野区公式サイトより

出口調査では「自民離れが明らかな傾向となり、既存政党の推薦を受けた候補を避けて、『元民主党』の肩書により吉田康一郎氏に投票した無党派層も多かったのでは」と分析されていました。実際にこの分析の通り、吉田氏の経歴やヘイト発言を知らずに投票した人がいるとすれば、非常におそろしいことです。

吉田氏が行ってきたヘイトスピーチは違法です。

2016年6月3日に施行された法律、いわゆる「ヘイトスピーチ解消法」の条文にも、法務省による啓蒙活動でも、「してはならない」と明言されています。

ヘイトスピーチの定義(「本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消に向けた取組の推進に関する法律」第二条より)
この法律において「本邦外出身者に対する不当な差別的言動(注ヘイトスピーチ)」とは、専ら本邦の域外にある国若しくは地域の出身である者又はその子孫であって適法に居住するもの(以下この条において「本邦外出身者」という。)に対する差別的意識を助長し又は誘発する目的で公然とその生命、身体、自由、名誉若しくは財産に危害を加える旨を告知し又は本邦外出身者を著しく侮蔑するなど、本邦の域外にある国又は地域の出身であることを理由として、本邦外出身者を地域社会から排除することを煽動する不当な差別的言動をいう。

外国人や他国にルーツを持つ人や少数民族への差別・排斥発言・行動をはっきり行なっていても、出馬はできてしまうのが私たちの国・日本の問題だと、今回思い知りました。

落選の日、池袋のヘイトデモでわかった差別排外主義団体の動き

折しも区長選投票日の6月10日、東京・池袋でヘイトデモが開催され、このデモを主催した極右活動家が、暴行を行った容疑により、翌日逮捕されました。この活動家と吉田氏とは、ともに人種民族差別を扇動する桜井誠氏(元「在特会」会長/現「日本第一党」党首)と密接な関係を持つという共通点を見つけました。

※写真は某講演会にて、吉田康一郎氏(左)と写真に納まる活動家

私たちは、この活動家への支援を呼びかける「募金」がTwitter上ですぐに展開されたことを確認しました。発信元をたどると元在特会会長の桜井誠氏が運営するブログ、そして桜井氏が党首を務める「日本第一党」の立候補予定者・「堀切笹美」氏による発信でした。

この募金は、日本第一党と同じく桜井誠氏が代表を務めている任意団体「行動する保守運動」の口座へ振り込まれる仕組みになっていました。

元「在特会」/現「日本第一党」および「行動する保守運動」と吉田康一郎氏のつながりを、改めて実感した出来事でした。

2019年統一地方選挙で続々と立候補するヘイト候補

来年2019年には、全国各地で統一地方選挙が行われます。調べてみると「日本第一党」からだけでもこれだけ多くの立候補予定者が既にいることがわかり、改めて震撼しています。

逮捕されたヘイトデモ扇動者支援の募金を呼び掛けた堀切笹美氏(日本第一党員/行動する保守運動関東隊長!)も、新宿区議選に立候補予定だとわかりました。一昨年2016年の東京都知事選に立候補し、惨敗した代表の桜井誠氏は、公職についた経歴は一切ないそうです。しかし政治団体の党首という形で差別扇動をする人間を世に送る活動を続けているのです。

組織を持たない個人に何ができる?「落選運動は合法だった!」

差別排外主義団体に所属する候補を当選させないために、私たちのような力のない一区民がどうすればいいのか。

今回私たち女性だけの有志グループは組織を持たず、ただTwitterという細いつながりで出会い、吉田康一郎氏の「落選運動」をすることになりました。恐る恐る何のノウハウもない中でしたが、調べてみると、落選運動はきちんと法に認められた活動だったのです(今回最大の発見!)。

総務省サイトPDF「改正公職選挙法(インターネット選挙運動解禁)へ」

ヘイトは許さない。差別排外主義団体の候補は落選させよう

ギリギリで発信を始めた私たち「中野区民有志」が吉田氏の落選にどれだけ貢献できたかはわかりません。もっと早い段階で気づけば…とも反省しています。しかし2人3人でも「差別は許さない」という意思を持つ人たちが集まれば、何かしらの発信はできる!協力してくれる人はいる!と実感できました。

私たちが危機感に追われて行動した記録が、少しでも皆さまの記憶に残り、次のヘイト候補の出現を阻む上で何かのきっかけになれば幸いです。日常生活においても社会に「差別主義者を許さない」という目を向けていきましょう(私やうちの子の友達を差別する奴らが政治家になるなんて、このオカンが許さないよ!)。

発信に協力してくださった皆さま、改めて感謝申し上げます。

【活動の記録】

中野区長選:人種民族差別主義者・吉田康一郎候補を推薦した「商店街連合会」への抗議と回答

路上インタビュー:人種民族差別主義者・吉田康一郎候補に発言の真意を聞いた件(中野区長選)

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