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vol.011 【レポート】中之島プロモーション DOMMUNE×クリエイティブアイランド中之島 宇川直宏ディレクション 「NAKANOSHIMA PERFORMING SCAPE」

開催日時:2022年2月3日(木)20:00~22:00
<登壇者>
宇川直宏(“現在美術家”/DOMMUNE主宰)
Salyu(ボーカリスト)
木ノ下智恵子(大阪大学21世紀懐徳堂准教授)

昨年2月、記念すべき「中之島プロモーション」第一弾は、アーティストの宇川直宏氏とボーカリストSalyu氏による三部作「NAKANOSHIMA PERFORMING SCAPE」を創作いただきました。中之島のシンボルと言える重要文化財の近代建築である大阪市中央公会堂の「Historical auditorium」、都市インフラを象徴するホテルのコンラッド大阪のラグジュアリーな空間と中之島の夜景の「Night Skyscraper」、そして船上から眺める中之島の風景そのものを舞台とした「Water City」は、配信アーカイブにてご覧いただけます。

今回は1年前に遡り、クリエイションの秘話と上映を交えたスペシャル鼎談を行いました。

実は大阪のなかでも「島」であることがあまり知られていない中之島。その地を陸路と水路の双方から周遊した宇川氏は、中之島は、伝統からポップカルチャーまで様々な文化が混交・交流する地であると言います。

江戸からつながる商業の意識と文化の交流、そしてそこで生まれてきた芸能が緑に囲まれた川の交流と分岐によって成り立っていると感じた。それが融合しているようなプロジェクトを実現したいと思った。
水質の中に潜んでいる微生物とか有機物の混交、そして、江戸から続く歴史と経済と文化の融合をミックスするような世界観を打ち出したかった。

「創造的な実験島」における都市プロモーションは、独創的なアイデアに基づく宇川ディレクションと唯一無二のSalyu氏のボーカルパフォーマンスによって、新たな可能性を切り拓きました。2021年1月、コロナ禍の緊急事態宣言の間際に制作された三部作は、いずれも観客のいない空間において、ロケハン、プラン、演奏・録音・撮影を半日で全て行う、インプロ的クリエイションであり、ある種のドキュメントであるとも言えます。そのような本作は、Salyuさんにとってもこれまでにない体験だったようです。

空間と音がコミュニケーションするような、そこにあり続けるもの(空間)に対して、今しかないもの(声)をコラージュしていくような感覚があった。
無観客の会場だったからこそ成立したパフォーマンスだった。

中之島を囲む2つ川の流れは、ひと時も同じではなく、しかしながら古代から近代、現代に脈付く時の流れを伝えています。時代ごとの文化や精神性が街の諸所に垣間見られる「創造的な実験島」と、Salyuさんの声のコミュニケーションの記録でもある「NAKANOSHIMA PERFORMING SCAPE」を通じて、新たな中之島に出会っていただければ幸いです。

レポート執筆:木ノ下智恵子(大阪大学21世紀懐徳堂)

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