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【最強の写真学習】これで基礎を固める  第6章. 色をあつかう

おはようございます。
アラスカの中島たかしです。

先週まで厳冬期アラスカで撮影をしていて投稿が遅れました。白銀世界の極地でも、よく観察すると、さまざまな色が自然の中にあることがわかります。今日は、自然光、つまり自然が作り出す色のお話です。

ところで、オオヤマネコの動画撮影に成功しました!といってもほんの短いシーンですが、会うだけでもかなり大変な動物、動画が撮れて本当に良かったです。さっそくホームページのトップ背景に使っています。よろしければ御覧ください。⇒ 中島たかしホームページ


さて、今日も米国で写真学習しつづけている僕が、欧米の情報をベースに、日本語で解説をしてゆきます。

10回にわたって行っているのは、海外の写真参考書 Creative Nature & Outdoor Photography という最強の写真教科書についての解説です。

この第6章でも、著者ブレンダの本書のゴール「撮影の前に感動のワケを考え、それを伝える術を学び、いま読んでいるあなたがそれを習慣にすること」を見据えて、、、

☆いま学んでいる基礎的要素は、表現にどうつながるのか

ということを、【表現ポイント】という形式で、記事の中でハッキリわかるようにしていきます。


【まえおき】

この6章では、「色についての気づき」を皆さんにお伝えしてゆきます。色は、感情に訴えかける要素として、写真の中ではとても重要です。朝焼けを想像してみてください。どこのロケーションでも構いませんが、太陽が緩やかに登りながら、大地を温めてゆく。じっさいにそのオレンジ色の光が肌に触れると、その温かみを肉体に、あなたの血潮にその温度は伝わってゆきます。われわれ人間の体には、想像を絶する長い長い時を、オレンジ色は温かい色だと記憶しています。それは遺伝子にまで記憶されている、深い深いレベルでの話なのです。

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さて、そして、写真のなかで良い色のバランスを作るためのゴールは、「色の関係性と心理的に与えてくる印象」です。

では、さっそく、、、

【今日の結論】

「色が与える印象と補色の関係を知り、意識して写真の中に配置する」ということになります。

お話する内容は、写真の中で扱う色の要素を分解したものになります。

blog 目次用の枠 第六章

【記事ジャンプ用】


では1つ目から行きましょう。

今日の内容1
【原色(黄・赤・青)の役割とは】

まず原色とは、作り出せない色のことです。原色ですので、それぞれの原色の純粋な色が写真の中にあると、強烈な重きが写真に加わります。

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アリューシャン列島に多く生息するツノメドリ


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 黄色は、色の中でいちばん明るい色です。すべての色を同じ露出で撮影してみたときに、もっとも「明るいと感じる」色なのですね。この色が暗めの色の中にあると、ひときわ目立ちます。また、とても活発な色で、やや攻撃的な印象、注意をうながす要素、も同時に備えています。このような性格の黄色なので、写真のなかにあると、それが少しの部分を占めるにすぎなかったとしても、とても重きが加わる色になります。

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 赤は、重厚で力強く、情熱やバイタリティを感じさせる色であるとともに、危険を表示する色でもあります。血は赤いですよね。赤は太古の昔から変わらず我々人間に根付いているイメージの代表格です。黄色と同様に、とても注意を引く色です。

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 青は、静けさ・平静を表す色です。原色ですが黄色と赤にくらべて軽い色なのです。それが真っ青であっても、重さで言えば、黄色と赤より軽いという意味です。話がそれるようですが、ちなみに僕は育ちが静岡県です。静岡県を色で表す時、イメージされる色は何色ですか?僕は子供の頃から青のイメージを持っています。熊本、鹿児島は茶色、新潟、北海道は白、東京は灰色、広島はなぜか赤、というように。青森は青という字が入っていながら、深緑色のイメージを持っています。余談でしたが、けっこう重要なことなんです。

▶補足
また、ここでお話している色は透過光ではなく、反射光での色の三原色です。それが赤・青・黄です。なのでデジタル画像を扱うときには、物からの反射の色ではなく、光っているその光源をそのまま見る透過光ことになり、黄色ではなく、緑、つまり、R赤G緑B青になります。紙媒体のときには、シアン、マゼンタ、イエローにブラックを加えた、CMYKという反射光で色を考えることになります。

☆表現ポイント
原色の赤と黄色は、目を引く色になるので、特に注意が必要。四角いフレームの中に入っていないかどうかをチェックし、入れるのであれば、その色の位置と大きさに配慮する。青は全体的に広がると落ち着いた印象を与える写真になりやすい。


今日の内容2
【二次色(紫・橙・緑)の役割とは】

二次色とは、先程の原色を混ぜるとできる色のことです。絵を描いている方がいれば、特にここには敏感でしょうね。青と赤を混ぜると紫、赤と黄色を混ぜると橙、黄色と青を混ぜると緑になります。

「二次」なので、原色よりもインパクトは落ちますが、それでもこの3色は、独立した主張をもっています。すこし色彩心理について見てみましょう。

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 緑は、安定や「調和」を表す色と言われます。心が落ち着く色としても使われますね。人類が長い年月にわたって見続けてきた草木の色ですね。

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 紫は、神秘や不安を表す色と言われています。また、高貴なイメージを与える反面、使い方によっては品のない色合いになるという難しい色とされているようですね。

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 橙は、温かみを感じる、元気さや明るさを表す色で、万人受けする色とされています。僕のいちばん好きな色ですが、この色が嫌いという人はいないのでは?

☆表現ポイント
自然風景の中において写真を撮るとき、まずはある一つの色にフォーカスをして、その色の与える印象と、自分の伝えたい印象を比べるといったように、風景や動物の中の色を分解してとらえてみると、写真表現の幅が広がりますね。


今日の内容3
【色のハーモニーを考える】

突然、格言のようなことを言うようですが、写真はバランスです。この6章までに、いろいろなことを学んできましたが、極論、バランスが良い写真が、良い写真なんです。左右非対称(アシンメトリー)であっても、色やラインなどの他の要素でバランスが取れていると、調和や平衡(ハーモニー)が出ます。

調和とは、今の時代のキーワードでもあります。人と自然の再調和などの巨大な課題から、私的な夫婦関係においても、調和=ハーモニーこそが究極の目標となりえますよね。これは幸福の象徴とも言えるキーワードかも知れません。

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写真でも同じことです。

では、色のハーモニーを考えてみましょう。バランスをとるときに重要なのが、補色です。

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補色とは、色相環(上図)のなかで、正反対にある色同士のことです。ぼくは大学で学習していたとき、これを覚えるときに、Ovbygred (オビグレッド)というワードを自分で勝手につくって覚えました。OvのOはオレンジで、その反対にある色はVバイオレットです。同様にbyのbがブルー、その反対がyイエロー、greenグリーンの反対がredレッドとなっていて、この3つの関係だけ抑えておけば、現場で役に立ちます。

では、この補色をどう使うかというと、簡単にいってしまえば、補色関係にある色は、なるべく一緒に使わない。しかし、対象を強調したい場合はつかえます。前方に赤、その補色の緑を背景に持ってくると、赤が際立つのは、二次色の緑より原色である赤のほうが重い色だからです。この補色の関係で、同じ量だと原色が圧倒的に勝ちます。

では、表現ポントでまとめてみましょう。

☆表現ポイント
色の補色関係を写真の中で使うときは意識してつかう。それぞれの色の重さと量で主張を引き出す。

言葉より写真を見たほうがわかりやすいので見てみましょう。たとえば、この写真で解説してみます。

今日の内容4
【本書から学んだ僕の作例】

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森を背景にした、セイヨウオダマキの花が撮影の対象物(subject matter)です。また、西洋絵画の基本構図、前景・中景・背景を意識した教科書的な写真でもあります。

ここで大きく主張のある色は、空のやや青みを帯びた白、前景(うす緑)から背景(深緑)にわたって広がる全体的な緑色、そして、緑色の捕色となっているオダマキの赤です。しべの黄色もある程度の主張がありますね。

この写真を撮るとき、もちろん色の関係を気にして撮っていますが、特にオダマキの花が、空に出てしまわないよう、緑色の上に乗るように配置できるアングルを探しました。

こぼれ話ですが、アラスカでは6月が初夏にあたり、オダマキの花が咲き乱れます。この花の構造を見てわかるように、蜜腺は花弁の奥の方へと追いやられています。これをみて、アラスカにハチドリが来るの!?と、もし感じられた方は鋭い感覚の持ち主ですね。そう、アラスカにまでハチドリは毎年飛来します。そして、このオダマキの花に口を突っ込んで蜜を摂ります。

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以上になります。

この記事をここまで読み進めてくれた方は、おそらく写真の作品づくりを考えられている方だと思います。

これからも英語圏の教材をベースに、ハイクオリティな写真を制作するための内容を少しづつ記事にしていく予定です。

ぜひコメント・ご指摘くだされば幸いです!

                            中島たかし
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