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つなぐもの

文章を書いている仲間と話していると、「描写をつなげてシーンを書けるのが一番いいよね」という内容がよく出る。作文のように、「こんなことがありました。こう思いました」ではなく、さりげない描写の中に人物の心理などを描いていくことを指している。

映画監督・川瀬直美さんのコラムを読んだ。
(毎日新聞・川瀬直美のたたなづく「わかるはずない心伝えるために」)
https://mainichi.jp/articles/20190701/ddm/013/070/008000c

その中に映画の作り方が書いてあった。外国人のスタッフと、片言の英語で話しながら編集したのだという。通訳を入れてきっちりと意味を理解するよりも、言語を超えた映像の世界を通じて分かり合えたらしい。
映画のカットをつなぐときに、意味をつないでいるのではない。感情をつないでいるのだ、と川瀬監督は書いている。

描写を書いている中に、私は登場人物の感情を込めていたか。私なりの哲学を表現できていたか。
第161回芥川賞・直木賞の発表の日に、そんなことを思う。

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