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【人口500人の村、富山県利賀村で結婚式を挙げます】

このたび、学生時代からお世話になっている地域、富山県南砺市利賀村(なんとしとがむら)にて結婚式を挙げさせていただくことになりました。

なぜそんな村で結婚式を挙げることになったのか。そして利賀村とは一体どんな地域なのか、せっかくの機会なのでご紹介させていただければと思います…!

▼人口500人の限界集落利賀村

利賀村はJR富山駅から車で約1時間の距離にあります。富山県の南西部、岐阜県境に位置しており、人口500名の方が住む地域です。標高1,000mを越える山々に囲まれ、庄川の支流である利賀川、神通川の支流である百瀬川が縦断する自然豊かな集落です。

豊かな自然もさることながら、1970年後半に演出家鈴木忠志氏が率いる早稲田小劇場の拠点が利賀村に移ったことがきっかけで、演劇の村としても有名になりました。その他、蕎麦や赤カブ漬けなどの食べ物なども美味しく、山岳地帯を駆け抜けるレース『TOGA天空トレイルラン』などのイベントも開催し人気を博しています。

そんな利賀村ですが、一方でいわゆる限界集落と言われている地域でもあります。戦後間もない頃の利賀村の人口は4000名を超えていたと聞きますから、今の人口500名という数字がどれほど少ないかということは、想像に難くないでしょう。

限界集落:65歳以上の高齢者が集落人口の半数を超え、冠婚葬祭や田んぼ・生活道路の管理など、社会的な共同生活の維持が困難な状況にある集落のこと。(2016-10-13 朝日新聞 朝刊 岐阜全県・1地方)

そんな私の利賀村との出会いは2014年でした。大学時代に所属していたゼミが利賀村を拠点に活動しており、そのフィールドワークとして訪れたのがきっかけでした。(当初は"とがむら"を"りがむら"と読んでいたほど、私にとっては見聞きしたことのない場所でした。笑)

それからというもの、大学卒業までの2年間、毎月のように通い続けました。移動は基本的には夜行バスかレンタカー。レンタカーで通った際は、途中で仮眠を挟んだり仲間と運転を途中で交代しながら8時間ほどかけて向かったこともあります。(北陸新幹線が開通しても学生時代はお金もなかったので滅多に新幹線には乗れませんでした…。)

実家(福岡にある)の両親には、「利賀村ばかり行かずに、たまには実家にも帰って来い」と言われたほど。数えてみたら軽く20回以上は利賀村を訪れていたので、今考えると確かに両親の言う通りだなとしみじみ思います(笑)。

▼利賀村に惹かれた3つの理由

ではなぜそんな利賀村に足繁く通うようになったのか。当時はよく分かりませんでしたが今になって考えてみると大きく3つの理由があるような気がしています。

まず、その興味深さの一つは言うまでもなく立地と気候であります。富山県の南西部、標高は500~600メートルに位置する地域ですから、車で行くにも蛇のような道をゆっくりと進んでいかねばならず、そのような場所に位置するため、冬の積雪は半端じゃない。平常でも2メートル、多い時は4メートル近く積もるし、朝起きると数十センチ雪が増えていたなんてこともよくある。九州出身の私にとってみればそれだけで、新鮮な地域だったのです(村の人はこりごりだと感じているのかもしれないですが…)。

2つ目は文化です。春祭りに代表される伝統文化が今も深く根付いているという点も非常に興味深い。

村では毎年5月、ゴールデンウィークの時期になると「春祭り(春季祭礼)」が各集落で行われます。

五穀豊穣と家内安全を祈り各集落で獅子が舞うのですが、集落によって大きさや舞い方が全く異なり面白い。「盆正月には利賀村には帰らない若者も、この春祭りの時には帰省して獅子舞を盛り上げる」と村の方々が語ることからも、いかに村の方がこのお祭りに力を入れているかがお分かりになるのではないでしょうか。

最後に、この村の最大の素晴らしさは間違いなく、そのオープンなところにあります。よく村や田舎というと保守的・閉鎖的というイメージが挙げられますが、ここ利賀村では全くそんなことはない。

その所以は、利賀村は1972年に東京都武蔵野市と、1986年にデルフィ市(ギリシャ・フォキダ県)と姉妹都市提携を行なっていたり、1970年後半に演出家鈴木忠志氏が率いる早稲田小劇場の拠点が利賀村に移ったことがきっかけで多くの外部の人との交流があったからであろうと個人的には推測してたりしますが、いつも外部の人間を快く受け入れてくださるのです(行政や商工会の皆さんには非常にお世話になりました)。

先の獅子舞も基本的にかつては村の住人だけで行うものだったと聞いていますが、集落によっては私たちのような外部の人間を受け入れ、参加させていただけたということもありました。

▼学生時代におこなった2つの取り組み

そんな利賀村に通い続ける中で、いつしか「もっと多くの人に知ってほしい」と思うようになっていました。そんなきっかけから大学在学中には利賀村で2つの取り組みを行わせていただきました。

1つ目は利賀村の住民、そしてその村に関わる方々へのインタビュー動画の作成です。凄まじい勢いで人口が減っている利賀村の"今"を語る方の姿を動画に納めておきたかったのです。

そうすることで利賀村の魅力が国内外問わず多くの方に伝わると考えました。ただ、大事なのは伝えることだけではなく遺す(のこす)ことでもあるとも考えました。

(考えたくはないけど)仮に、利賀村が村として機能しなくなったとして、これまでの文化や人々の想いが世に残されることなく消えていくのはそれは寂しい。動画で遺すことで「当時こんなこと考えている人々がいたんだ」と後世の人に残せるだろうなと考えたことも動画の作成を決めた理由でもありました。

このプロジェクトは約1年間実施し、約40名の方のインタビュー動画をYoutubeにて公開することができました。今見るとクオリティも低く少々お恥ずかしいものもありますが(笑)、語っていらっしゃるみなさんの眼差しや言葉はリアルそのものです。ぜひご覧ください。

2つ目の取り組みは『利賀村のギフト』作成です。2040年までに消滅する可能性がある都市が、896にものぼるといわれている日本。ここ利賀村でも例外なくその危機を迎えています。

そんな危機の中、ただ傍観し地域の資源や魅力が失われてしまうことはもったいないことだと思いました。東京から富山まで毎月通う学生だからこそ感じる村の魅力を、多くの人に知っていただきたいという思いで作成することに決めました。

具体的には地元カンパニーさんの地元のギフトという仕組みを利用させていただきました。これは地元のギフトを作りたい団体がクラウドファンデイング形式で資金調達を行い、その資金を元手にカタログギフトを作成するという仕組みです。私たちは2015年7月からクラウドファンディングを行い、ありがたいことに一ヶ月で約80万円を調達し作成に漕ぎ着けることができました。

これは利賀村の住民の皆さんにカタログギフトのクラウドファンディングの説明会を行なった際の写真です。かなり緊張しました(笑)。(余談ですが、村の方に「クラウドファンディングとは」を説明するのは難しいなと思っていたんですが、「お寺を建てる際に寄付金を集めるのと似ています!」と説明したところ多くの方に理解いただけたのを思い出しました……。)

作成したカタログギフトには利賀村の食文化をたくさん詰め込みました。

例えば江尻さんの作るクロモジ茶。クロモジは木漏れ日の中で育つ小さな香木で、薬用酒などの原材料として利用されることはあるものの、なかなかそれ以外の活用方法が少ない。そんな中でうまく使える方法はないかと考えついた先に生まれたのがこのクロモジ茶でした。

続いてカタログギフトに盛り込んだのは利賀村にお住いの中西さんの造るどぶろく『まごたりん』。こだわりの農法で作った酒米と村の湧き水で仕込んだ濁酒は濃密でフルーティーな味わいが特徴です。構想を立ててから完成までなんと3年。ここ利賀村で自身でどぶろくを造りたいという強い想いから、自ら役所に掛け合い、どぶろく特区の認定を取得してまで自家製にこだわった、という話を聞くだけでも美味しさが伝わりますよね……。

他のギフトはこちらから。

▼お世話になった村の方へ感謝の気持ちを

と、そんな取り組みを2年間の学生生活中に行わせていただきました。「自然と文化と人づきあい」これが私がこの地域に惹かれた理由です。

大学卒業後、社会人になってからも折に触れ村へ訪れています。またそれだけではなく、都内で富山県の物産展が開催される際にはお手伝いに参加させていただいたりと利賀村だけではなく東京でもお世話になっています。

だからこそ、村でお世話になった皆さんにちゃんとお礼を言いたいと常々思っていました。

そんな時、ありがたいことに2019年の第15回南砺利賀そば祭りにて結婚式(スノーウエディング)を挙げさせていただくことが決まったのです。

そば祭りは毎年2月上旬に行われるお祭りで、利賀村名物のそばが食べられるだけではなく、大きな雪像や夜の花火が見もののイベント。毎年3日間の開催で1万5千人以上の方が訪れるというから驚きです。

500人の村に1万5千人のお客さん。この3日間は利賀村の人口密度が急に濃くなります。イベント終了後の会場から山を下る道は毎年大渋滞(笑)。

そんな大きなイベントの終盤で「スノーウエディング」を挙げさせていただきます。村でこれまでお世話になった皆様に「ありがとう」を伝えることができる場になればと考えています。

どうぞよろしくお願いいたします。

「第15回 南砺利賀そば祭り」 実施要項
(主催:南砺利賀そばまつり実行委員会)
日程  平成31年2月8、9、10日の3日間開催。
時間  10時~19時迄(※但し、最終日は15時迄)
会場  利賀国際キャンプ場周辺
協力金 500円(高校生以上) 

あ、あと大学時代に私が所属していた牛島ゼミのサイトはこちら!

そのゼミの中のプロジェクト「利賀プロジェクト(通称トガプロ)」のFacebookページはこちらです!応援よろしくお願いします。


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