津波の霊たち: 3・11 死と生の物語 (ハヤカワ文庫NF) リチャード ロイド パリー

津波の霊たち: 3・11 死と生の物語 (ハヤカワ文庫NF)   リチャード ロイド パリー https://www.amazon.co.jp/dp/4150505691/ref=cm_sw_r_tw_dp_C8567ZKKNTV5EEQZMF5S

素晴らしい本に出会えた。上半期でトップ5に入る良本。

本書は東日本大震災で被災した宮城県石巻市立大川小学校が舞台となっている。

著者は被災者や学校・役所といった行政、また遺族の苦悩や葛藤をとても丁寧に取材して記録している。どの立場にも肩入れせず中立の視点で描かれているのがとても良かった。

テレビ・新聞などのマスメディアは絆や復興といった美談記事が多く流れていたが、そのようなものはいかに薄っぺらいものだったか。

遺族の中でも価値観や考え方の違いにより、遺族間での対立・諍いが生々しく描かれていてとても印象に残った。

本を読んで感じたのはタイトルにもなっているが、「津波の霊たち」という題名は違和感を感じてしまった。本書は英訳のGhostを「霊」と訳しているが、個人的には「幻影」や「面影」といった意味合いの方がとてもしっくりくる。

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