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3種の「回転」

久々の投稿。
現世の現実と格闘し続けた1年間だが、ようやくなんとか決着した。

この間、武術の稽古と言えば、ほとんど韓氏意拳の蹲起&前跪しかやってなかった。

ただ、変にいろいろなことをやらなかったおかげで、観えてきたものもあった。
こういう時期も必要だ。

そのうちのひとつが「身体は常に回転している」ということだ。

これは別に新しい発見ではなく、中国武術では古くから「纏絲勁」「螺旋勁」「翻浪勁」などと言われているものだが、これら用語の「“現代的”解釈」と私が今言わんとしている「回転」が同じである保証がなく、混乱の元となりそうなため、これらの用語を使わず、わかりやすい言葉で置き換えて説明する。

すなわち

・縦回転
・水平回転
・時計回転

の3方向の回転だ。

人間は回転によってしか動けない。
A地点からB地点まで、弾丸のようにパンチを飛ばすことはできない。
一見そのように見えても、物理的身体レベルでも、身体の何処かが「回転」しているから突きが出るのである。
ピストンと同じ理屈だ。

物理レベルでも「回転」を見失いがちだが、物理的身体を離れた「回転」こそが、本当は先人が「勁」と呼んでいたものであり、解剖学的身体に慣らされた現代人がさらに見失いがちなものである。

この3種の回転のうち、一番物理に近いのが「縦回転」である。
初心のうちは、正中線が縦に、大きな一輪車のように回転していることを捉えるだけでもだいぶ動きやすくなるだろう。

次に「水平回転」が観えてくる。

これは、身体を安定させさらに円滑に動作するために必要となる。
「水平回転」がジャイロの働きをするわけだ。

例えば蹲起や前跪の際、腰のあたりに「水平回転」を観るようにする。
だいぶやりやすくなるはずだ。

「時計回転」が一番観にくい。
どこにあるかわかりにくい。

しかし、最近「時計回転」の在処を発見した。
丹田だ。
丹田が「時計回転」をしている。

丹田で「時計回転」をしているもの…?

私以上の世代なら、ピンと来る人も多いのではないか。

仮面ライダーだ。😅

ライダーベルトは伊達酔狂ではない。

試しに、站椿の際に、自分の丹田がライダーベルトのように高速回転している様を捉えるようにしてみてほしい。
全身に活力が漲ってきませんか?

丹田が高速で「時計回転」することで、気が前から後ろに抜けるようにする。
「後ろに抜ける」ことをきちんと感じることが重要だ。

時計回転は「動因」と関係するのである。

初期の特撮作品が武術的にバカにできないものを持っているという話は、以前光岡英稔先生もおっしゃっていた。
ゼロから何かを作ろうとするときは、自分自身の身体を拠り所にするしかないため、真剣に作ろうとすればするほど、自ずと身体的に説得力のあるものになる、ということだ。

仮面ライダーは「風の力」で変身するのだが、そもそもなぜ動因を「風」にしたのか。
時代背景もあり、電力や原子力などのエネルギーに危うさを感じたのではないか。
そして風力を使うなら風車が必要だが、なぜ風車を「丹田」の位置に置いたのか。

「そこが一番しっくりくるから」
としか言いようがないのではないか。

こういう「しっくりくる」感性こそが、身体的センスというものである。

最後に中国武術に話を戻すと、この3種の回転は中国武術を行う上でひとつの規範となる。

特に、心意六合拳では、この3種の回転をすべて捉えることが必須と言える。

落ち着いたら、また個別の各拳種の研究を進めたい。

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