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20代の頃読んで刺激を受けた本

われ広告の鬼とならん―電通を世界企業にした男・吉田秀雄の生涯
                        著:船越健之輔

最後の章で書かれた富士山の登り方。
20代中盤の時、仕事の姿勢や生き方について悩んでいたタイミングで読んで衝撃を受けた下記の文章。そのまま、引用したいと思う。

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富士山を馬鹿にすると飛んだ目に遭う。

大抵のことでは登り着けないという心構えを

最初から確りと持って行って頂きたい。

焦っては息が切れる。

息が切れれば休まねばならぬ。決して休んではならない。

休まないで済む程度に最初から一歩一歩ゆっくりゆっくり同じ歩調で

踏み上げて行かねばならない。一度休んだら、二度休む。

休み癖がついたらもう負けである。

頂上はすぐ手の届きそうな所に見える。

何でもないように見える。

誰にでも朝飯前に登れそうに見える。

何だという気になる。

ところが行けども、行けども汗水たらせど、頂上は一向に近づかない。

不平が出る。

不満が生まれる。馬鹿らしくなる。

果ては捨て鉢になって投げ出す。

六,七合目で落伍する人の多いのはこれだ。

登り始めたら決して頂上を見てはいけない。

常に足元だけを見て倦まず撓まず一歩一歩進み給え。

周囲も見てはいけない。時計も見ぬことだ。

自分を抜いて進む者を見ると、つい釣られてしまう。

時計を見ると焦りが出る。

無念無想、足元だけを見て進んだら、

何時の間にか君は頂上に着いてゐるだろう。

私がそうしたというのではない。

私は何度か登りながら常に失敗してきた。

若し見るならば太陽を仰ぎ給へ。

俺はあそこまで登るのだと。
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飛行機に乗り窓側席でふと富士山が見える度に思い出す、この言葉。

自戒の念で満たしてくれるこのメッセージ。

困難なプロジェクトや状況になった時、叱咤激励してくれる。

決して今の時流に沿った内容ではないが、戦中戦後の日本の中で広告という産業が生まれ巨大化した背景を小説のように読めるので、時間軸でとらえて電通という会社がなぜあんなにも巨大になったのか、他に対するアイデンティティのシェアの強烈さを追体験できるのでオススメしています。

最近情熱が持てないとか、悩んでいる人にはオススメです。
ただ、情熱とかいうと暑苦しさを感じる人は読まないほうが良いです。

個人的にはこの富士山の登り方の言葉は本質的だと思うし、私自身、体験を開発するという、途方もないことを掲げて会社を作っているのでこれくらいの情熱がないとやってはいけないとも思っている。

特に最後の三行は人間味が溢れている。

完璧なんてないけど、上をむいて登ろうよ。


最後までお読みいただきありがとうございます! 今後もキャリアのことや、仕事の中で得たおもしろい学びを発信していきます。お役に立てたらうれしいです^^