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経済的に豊かになる方法-山崎元×ナヴァル・ラヴィカント

以下、人物名は敬称略とします。


山崎元の教え

私は山崎元の明快な物言いが好きで、著作をよく読んでいた。
山崎元のnoteに以下の一説がある。

お金の稼ぎ方では「株式」に上手く関わることがコツになる。起業でも、ベンチャーへの参加でも、ストック・オプションをくれる会社への転職でもいい。
私の時代は、出世したり専門家になったりして「労働時間を確実に高く売る」のが無難な道だったが、時代は変わった。株式性の報酬が有利だ。
「自分を磨き、リスクを抑えて、確実に稼ぐ」ことを目指す古いパターンよりも、「自分に投資することは同じだが、失敗しても致命的でない程度のリスクを積極的に取って、リスクの対価も受け取る」のが、新しい時代の稼ぎ方のコツだ。リスクに対する働きかけ方が逆方向に変わった。
仕事で株式性のチャンスに恵まれない場合は、インデックスファンドの長期投資が効率のいい株式リスクとの付き合い方になる。これは、凡人でもできるけれども、一見偉そうな他の投資よりも優れている。お金にも働いて貰うといい。

現時点において大金を手にするためには「株式」の力を使うことが重要であるとの指摘は間違いないと思われる(今後もそのような傾向が続くのかは分からないが。)。
しかし、このアドバイスをみた時に、私が考えたのは、成果と確率のバランスである。「一部の大成功があり得る」と「大半の人が成功する」には乖離があり、前者が真だとしても後者が真であるとは限らない。自分の人生をベットする場合、ほんの一握りが大成功するが大半は失敗する賭けに挑むのは分が悪い。なお、ここでは一旦ロマンやモチベーションを棚上げしている。
少なくとも現状のSOについては、10%程度の株を分け合うものであり、シード期に参画しなければそれほどの割合にもならず、当たればラッキーくらいのものであって、大きく儲けられるものではないというのが私の理解である(メルカリのような例外はある。)。

ナヴァル・ラヴィカントの教え

ナヴァル・ラヴィカントも書籍(ページ末尾記載)の中で山崎元と同じことを述べている。

富とは、「君が寝ている間も稼いでくれる資産」
時間を切り売りしていてはリッチになれない、経済的自由を得るには、エクイティ(事業の一部)を所有せよ

しかし、ナヴァル・ラヴィカントは、「富=収入+資産×投資収益率」「収入=説明責任+レバレッジ+特殊知識」という公式のもとで、収入の各要素についてもブレイクダウンしている。

説明責任=自分のブランドを構築+自分の活躍できる場+リスクを取るか?
レバレッジ=カネ+ヒト+知的所有権
特殊知識=簡単に訓練する方法がまだ分かっていないスキル

これをみて、エクイティの所有にも幅があることに気づいた。
山崎元のnoteを読んだ時に私がイメージしたのはスタートアップであり、そのため一握りの大成功とその他死屍累々を思い浮かべたのである。
しかし、ナヴァル・ラヴィカントの上記公式にあるのは自分らしさのプロダクト化とそれをスケールさせるという原則であり、スタートアップで大成功しろ(世界を塗り替えろ)という教えではない(それができれば素晴らしいことは間違いないが。)。

ナヴァル・ラヴィカントはレバレッジについて「事業にレバレッジをもたらすのは、資本、人、そして限界費用ゼロで複製できるプロダクト(コードとメディア)」と述べているのである。
そして、まさに山崎元その人は、自分らしさをプロダクト化し、メディアにのせた人であった。

彼は自分の所得は30年間平均して3000万程度であり「本人は、自分が豊かだとも、貧しいとも思っていなかった。」と述べている(「『癌』になって、考えたこと、感じたこと(4)」)。
確かに大金持ちという金額ではないかもしれない。しかし、彼は収入が偏らないような働き方をしている。それは、「自己承認感」による洗脳を避けるため「世界を2つ以上持て」という教えにも繋がる(「幸福の決定要素は、実は一つだけだった」)。
自由を確保して得る所得として十分に豊かだと思う。

おわりに(教えの実践)

ナヴァル・ラヴィカントを読むことで、山崎元のメッセージを自分なりに整理できたように思うが、その実践はやはり容易ではない。結局、次善策であるインデックスファンドの購入に落ち着いてしまうという結果になるかもしれない。きっと山崎元も自分の労働を株式所有に振ることに踏み切れない人が多いことを見越して次善策を記載しているのだろう。
しかし、豊かに生きたいのであれば、リスクをどこでとるか決定しなくてはいけない。あるいは豊かに生きること以外を選ぶという人生もある。私は未だ道半ばで何も決められていないが、決断を下す時、彼らが背中を押してくれる気がしている。