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【インタビュー記事】「迷える大学生たちへ」

「自分の生き方は『コレでいい!』って思っている人は、そばで見ていても気持ちがいい。そんな人達が世の中に増えたら、もっとみんな幸せになるんじゃないかなって」

そう話すのは、大学生などのキャリア支援を行う「Community Careers(コミュニティ キャリアズ)」の代表理事、山下実里さん。

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普段は島根県雲南市で、大学生のインターンシップやコミュニティ運営を行い、大学生と企業をつなぐ活動をしている。

そんな彼女のキャリア支援のきっかけは、大学時代に感じたある違和感。

「就活の時にみんなが同じ悩みを抱えたり、そもそも、大学自体が就職対策のための組織として動いているような気がして、それをとても疑問に思った」

周りの学生を見ると、”就活”がこの世の全てかのように一喜一憂していた。

「でも、本当に学生が備えないといけないのは、目先の就活対策ではなくて、その人自身が、”生き生きと暮らせる”ような力が必要だと思っている」

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生き生きと暮らすということを、彼女はとある学生の姿から学んだ。
在学当時、彼女は出席率の低い学生に向けた授業をサポートしていた。

「参加した子の中にめっちゃ面白い子がいて、とにかく自分が好きなことを突き詰めていた。それはそれで生き方として、ありなんじゃないか!って気付かされた。大学内の授業が全てではないというか」

「まあ、単位はあまり取れていなかったけどね」と、笑いながら言う。

そうして辿り着いたのが「一人一人の生き方を尊重する」というキャリア支援につながる考えである。

「自分がどうありたいか、どういうキャリアを歩みたいかに対して、不安を抱えている学生は多い。そんな子達の窓口になりたい」

「例えば、学生と地域の人と繋がるとか、専門的なノウハウを持ってる人から教わるとか。私は島根で、人と人を繋げて、大学の外に飛び出す機会を提供している」

大学の授業やサークル活動、部活などで得る経験も、もちろん有意義なものだ。
けれども、学外での活動や同世代だけでない関わりが、その人の生き方をさらに広げて豊かにしてくれる。

「大学側の課題としてまだ表面化はしていないが」と前置きをしつつ、彼女はこう続ける。

「一般的に高校までは地域社会で育てていく風潮がある。でも、大学に入った途端、学生達は地域から一旦は離れ、”ほったらかし”の孤立した状態となる。大学を卒業してから、社会の中で揉まれたらいい、みたいな感覚がある」

大学入学後に出てくるキャリアに対しての悩みは、誰にも拾われず、そのまま卒業まで置き去りになっていく。

「だからこそ、学生一人で同じことを悩み続けるんじゃなくて、悩んだ瞬間に駆け込める窓口があった方がいいなって」

就活を目前にして、社会とつながるのではなく、大学1、2年生のころから、社会や地域とつながることで、”就活が人生の全て”ではない生き方が見えてくる。

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最後に、彼女が大学生と関わるときに大切にしていることを教えてくれた。

「まずは、その子がどういう考えで、どういうことを思っているか、問いを投げることから始めている。最初から自分の意見を主張することはない。」

その人の生き方を尊重する。これはまさに、彼女が大学時代に感じたことである。
相手と対話していくことで、疑問や悩みを分解し、答えになりそうなものを一緒に見つけていく。

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筆者自身は、いわゆる”就活”をして就職をした。

自分がどうありたいかを、本当に考えられていたかと問われると、多分違う。
生き生きと暮らすためには自分には何が必要なのか、自分がどうありたいか、なんて分からなかった。

今まで見てきた世界の中から、最適な答えっぽいものを選んだ。
そして、”就活”という道しか知らなかったのも、事実。

でも、そんな一人の学生の小さな世界を、大きく広げてくれる存在はありがたい。
今、これを読んでいる人生に迷っている学生は、彼女のもとを訪ねてみるといいかもしれない。


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山下実里さん
Twitter:@y_minori0927

取材・文/なかむらゆき
Twitter:@nakayuki17

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