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富山県界隈でローカル小劇場劇団を盛んにする。

稽古場としてずっと維持管理している内川Studioを、より盛んに使っていこうというのを心に決めたのだけれども、そもそも劇団血パンダのお客をもっと増やすことを考えねばならない。
そんなわけで、内川Studioに演劇を見に来る人を増やすにはどうしたらいいのかを考えている。
とりあえず、血パンダのやり方を変える気はない。緻密な作品を上演をするだけだ。
毎度「わからない」から「号泣」まで反応のグラデーションを発生させているわけで、「短編小説の集中一気読み」と評する人も居る。こうしたお客に対しての負荷のかけかたを変える気はない。
新型コロナ流行後から加速している舞台上からの情報量を必要以上に多くしていく方法は、今後何らかの形で整理することはあっても、基本的に減ることはない筈。役者の練度もあがっている。

今考えていることを先に述べるとしたら、血パンダは、観劇した人の個人的な体験として受け止められたいし、そういうものを求めている人に、ここにそういうものがありますと伝えていく方法を考えていきたいということだ。

演劇のお客はどこに居るのかと考えた場合、引いた位置に居る人は、すぐに現在類似コンテンツを消費している人々の方を見てしまいがちだが、そもそもの切り口として、そこに有効性はあるだろうか。
富山県内の自ら劇場に足を運ぶ人のマーケットということなら、オーバードホールも氷見の芸術文化館もがんばっていて、これまで富山県で劇場に足を運んでいた人々勢はそれなりに増えてた選択肢の利益は受けているし、新たな劇場に行こうと考える人の掘り起こしもできている筈。
これは、有名人がそれなりのことをしているのが見たい人たちだ。
そんな人が、小劇場で有名でもない人を見て「わからない」から「号泣」までのリトマス紙にさらされるなんて、そもそも興味を持つポイントが違っていると考えた方がはやい。
「演劇そのものが好きかもしれない」という理由で、地元の劇団を見てみる気にさせるには、地元の劇団の観劇体験が、それなりの水準のものだという認識が既にあるか、本人の好奇心ややむにやまれぬものを刺激する必要があるものと思う。前者はさておき、刺激を与えていく方法は考えねばならない。
シネコンで上映される様な映画とミニシアター系の映画という比較で、ミニシアター系が好きな層を呼び込めないかと考えることもあるが、そのハードルもなかなか高いものと思う。事前情報の量や、既に見た人からの情報量を考えれば、こんなテイストですと示したり、「誰かの味見済み」の安全性、見たことを共有できる可能性のある人の人数という点で、足元にも及ばない。

「ここに知的刺激がありますよ」というのも、結局のところあまり効果がなかった気がしている。
実際、美術館などで見る側にまわれば、血パンダの公演を見るよりも、比較的安全に知的好奇心を刺激することが可能だ。
そこまでして、見る側にある程度の負荷をかける演劇をやる意味はなんだといえば、他の方法で同じことができないし、こうして生でしかできないことを発見してしまったからというのがある。表現形式としての準備期間の長さと可搬性の低さは本当に呪わしい。

血パンダの役者たちは既に、段取りよりもどうやって場の要素になるかにフォーカスする様になっている。劇団全体を見たときに、本番への集中の持っていき方は、周辺の劇団よりも、音楽の奏者に近いものになっている様だ。

活路をどこに求めたものだろうか。
事前情報の量や作品を見たことを共有できる人の少なさからハードルは高いと見てはいるが、やはりミニシアター系の映画が好きな人の中には、血パンダの公演に馴染む人の割合が多いかもしれない。同じく、淡々と読書をしている読書好きにも、一度血パンダを見てみてほしい。
演劇特有の気恥ずかしさを警戒するだろうか。大丈夫。血パンダは全くそれを警戒する必要がないことは保証できる。なめらかにセリフっぽく色々口走る人間は誰一人登場しないし、妙なぎこちなさでまごまごしている人を見ることもない。

公演を見に来て、あなたの個人的な体験として、うっかり見てしまったなにかの断片と対峙してほしい。それは日常ではなく、フィクションに違いないのだ。あなたのなにかが言い当てられたり、心のどこかに触れることがあれば、少なくともそこにひっかかる人間が、あなたの他にも居て、演劇を作っているということだ。

内川Studioでの直近の演劇公演は1月のシアターサイン。
こちらは血パンダ本隊ではなく、石川と富山の同世代の女優のユニットだ。時間があると聞いて、意地汚く台本を書いてしまった。おそるべき精度で、台本で書いたことを越えてきている。
公演の詳細はこちらのURLから。
https://www.theater-sign.net/2023/12/blog-post.html

続いて2月には血パンダの公演も控えている。
『辞書に立項されている、どうしようもなくごちゃごちゃしていて、どうにもならないうえに、とてもうるさい音を出すだけのものを表す全ての語彙についてのまとめ』
とにかく長いタイトルの演劇にしたかった。こちらは近日チケット販売を開始する。

あまりないタイプの演劇あります。近隣で広げていきたい。

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