中園くんがまた新しい絵を見せてくれた。

(水田紗弥子 | Little Barrelキュレーター)

中園くんがまた新しい絵を見せてくれた。塗りの美しさ、風景のような人物とレイヤーの複雑さ、彼自身が自転車で疾走しているイメージそのままの流れていくような背景や、たくさんの目、目、目。そう思うと洞窟壁画のような作品もあり、中園孔二像が常に更新されていく。ドローイングも、ドローイングメモも、リカちゃん人形も、意外性がつぎつぎに登場する展示だった。

少し個人的なことを。
今回の展示はとにかく映像が良く、リラックスして飄々と語っている彼が本当にそこにいるようで、数年前のことなのだが懐かしくなった。
この映像の撮影には私も立ち会っていた。アサヒ・アートスクエアでAlterspaceという仮設のアートスペースを企画して、そのなかのひとつの企画(中村土光くんの「考え中」)で行なった、1日限りの奇跡のような展示だった。
中園くんはそのとき、きらきらした目で絵に反射させたいと言って、天井から歯科用の小さな鏡を吊るした。その絵にきれいに反射したブルーのちらちらした光を思い出す。魔法みたいに、できあがった絵もどんどん変化させ、そして楽しんでいたんだと思う。