見出し画像

8年間の福岡移住生活をふりかえる

2015年11月に東京から福岡に移住して、8年後の2023年12月に大阪に引っ越しをしました。8年間の福岡生活を簡単に振り返ってみようと思います。


住む場所を変える贅沢

前提として、健康でありお金にも困っておらず家族・家庭の問題もなく、どこでも仕事できる環境であり、住む場所を自分で選べるというのは本当に贅沢なことだと感じています。私と夫は、2015年、まだコロナ禍が訪れることなど誰も想定していない時に東京から福岡への移住をしました。周囲からは「仕事もやめて、縁もゆかりもない福岡に行くなんてなぜ?」と言われました。特に気にしてなかっですけどね(事情により「夫の仕事の都合で引っ越しします」と伝えた人はいたけど・・・)

そもそも私自身、住む場所を変えることに一切の抵抗がないし、あまり重く捉えていません。むしろ、かなり軽く考えています。結婚後も国内・海外問わずに出張にも行くし、ふと思い立って一人で海外旅行に行くし、かなり自由なタイプなんだとは思います。
「せっかくその土地でできた知り合いや友達と離れるのはいいの?」と聞かれることも多いですが、私も大人で相手も大人なので、毎日一緒にいるわけでもないし、会いたかったら会いに行けばいいのでは?としか考えていないです。やばい。

一方で心のどこかに「いつ病気になるかわからない」「失業してお金を失うかもしれない」「両親が亡くなったら弟の面倒を見ないといけないかもしれない」「明日には行けなくなる国があるかもしれない」という漠然とした不安を抱えているせいで、どこかに行きたい衝動を抑えられずに生きているのかもしれません。

福岡に引っ越してよかったこと

前置きが長くなりましたが、福岡に引っ越してからは、他の移住者がよく言うように、いわゆる QOL が上がったと思います。

通勤ストレスからの開放

当たり前のように満員の電車に乗って、1時間以上かけて通勤する必要がなくなりました。移住後はクロスバイクを購入して自転車で通勤をしていました。福岡市内の各所には大型の駐輪場があり、だいたい 100円/24時間 くらいで駐輪することができます。道も広くて自転車専用レーンがある道路もあるので私はほとんどの場所を徒歩と自転車で移動していました。シェアサイクルの「チャリチャリ(旧メルチャリ)」も多いので、飲み会の往路はチャリチャリ、復路は公共交通機関、のような使い方もしていました。

家賃が安い

家賃が安いことを「良いこと」と捉えてよいかは複雑ですが、とにかく家賃は安いと思います。東京よりも広くて設備のいい家が、東京の半額以下で借りられる印象です。ちょっと中心地から離れるととんでもなく安いです。最初の家は JA 福岡が管理しているマンションだったのですが、これがかなりの掘り出しものでした。JR の駅徒歩6〜7分(博多からすぐの駅)、2LDK で 90㎡ 近くありました。築年数は15年くらいでしたがリフォームしてあってかなりきれいでした。これで家賃8万円(使わなかったけど駐車場は月2000円ですw)だったのでかなりお得感がありました。
その後に引っ越した家は新築マンションだったので福岡市内では結構高いほうでしたが、それでも広さは十分だし同じ条件を東京で探したら20万円以上するのでは?と感じました。一人暮らし用の家であれば、中心地でも3万円代くらいから借りられると思います。20代後半で一戸建て・注文住宅を購入する人もいてこれは結構びっくりしました。

人が少ない・人混みを避けられる

時々東京に行くと「人が多いな」と感じることが多いですが、福岡では人混みに遭遇することはほとんどありません。流行りのお店も開店直後は行列ですが、そのうち誰も並んでいるのを見なくなります。SNS でバズって店頭から消えたユニクロの人気商品など、福岡では買えるものが多いような気がします。ただ、福岡市は年々結構な勢いで人口が増えているらしいのです。あまりそれを感じたことはないですが。スーパー銭湯とかスポーツジムも混んでなくてよかったです。

エンジニアコミュニティが身近にあった

東京にいた時は SIer で忙殺されていたこともあり、エンジニア勉強会に行くことはほとんどありませんでした。業務後に勉強会に行くにも電車を乗り継がないといけないこともあり、正直言って行く余裕がありませんでした。一方で、福岡の勉強会はほとんどが天神か博多で開催されているので、気軽に参加できました。その流れで PHP コミュニティの方とも仲良くさせてもらい、PHP カンファレンス福岡にも2回ほど登壇しました。最近は PM にロールチェンジしたこともあり少し遠のいてしまいましたが、また PHP カンファレンス福岡が開催される際に福岡に来たいと思います。
また、福岡本社の Web 系企業やスタートアップの勢いもあり、技術者同士の交流も盛んです。福岡を盛り上げていこう!という意識が高い人も多いですし、経験が浅い方がスキルアップしやすい環境も比較的整備されている印象です。
ただし、コロナが流行してリモートワークが中心になってからは福岡市内の採用は苦戦している印象もありました。福岡に住みながらフルリモート勤務が可能な東京の企業に所属し、東京水準の給与をもらうことが可能だからです(福岡の給与水準も上がっているかと思いますが、それでもまだ一部の企業に限られた話なので、地域格差はありそうです)

転職してキャリアアップしてたくさん稼げた

福岡に引っ越して一番よかったことはこれです。東京の SIer で忙殺されていた時は転職を考える余裕がなかったし、家族みたいに仲良くしてくれた上司や先輩を裏切るような気持ちがあって、福岡に移住しなければ退職に踏み切ることもできなかったと思います。でもそこで一度転職を経験し、自分の人生は自分のものだ!自分の働く場所は自分で決めていいんだ!そのために仕事を頑張るし、勉強するのだ!と思い切ることができました。ここでだいぶマインドが変わったと思います。人生のターニングポイントだと言えるかもしれない。そして幸いなことに福岡で何社か経験することができ、無事キャリアアップして、30代後半の日本人女性としては何不自由なく稼げるようになったし、もしこの先なにかを選択するとしても頑張れるだとう、という自信を持つことができました。運がよかったし、周りに助けられただけだとは思います。ただ、この状況に甘えず、もっと自分を追いこまないと!!もっと稼ぐぞ!!と最近ちょっと気合を入れ直しました。

福岡に引っ越してギャップを感じたこと

食事が合わない

これは8年間でどうにもならかったことの1つです。「福岡って美味しいものたくさんあるよね!!」と言われることがあって心苦しいのですが、自分にとって美味しいものにはほとんど出会えませんでした。下調べ無しで入った飲食店でがっかりすることがかなり多かったです。ただこれは好みの問題なので、そう感じているのは私だけかもしれません。でもこれだけは言いたい。東京のご飯は美味しいんですよね。人がたくさんいて、競合がたくさんいるので飲食店のレベルは高いと思います。福岡でも高いお金を払えば美味しいものを食べられすが、それだったら東京のほうがコスパが高いです。外食に期待できないので、夫婦で外食に行く機会がかなり減ってしまったのは、楽しみにしていた分、残念なギャップでした。魚の種類や調理方法も関東とは違います。どちらがいいとかではなく本当に好みの問題だと思います。東京出張に行くたびに好きなお鮨屋さんに行って外食のフラストレーションを晴らしていました。それでも、美味しくて楽しくて大好きで何回か通ったお店もあるので、最後にリンクをつけておきます。

天気が悪い・雨が多い

冷静に考えると日本海側なので当たり前なのですが、冬は寒くて天気が悪い日が多いです。福岡はマンチェスターだと思って過ごしていました。カラッと晴れた気持ちの良い冬の晴れた日が恋しかったです。

免許がないと気軽に県外には遊びには行けない

福岡に引っ越したら九州圏内をたくさん旅行できるだろう、と思っていました。私は免許がないので、どうしても車が必要な時は夫がカーシェアを借りて運転してくれています。県外に遊びに行くときは電車かバスが中心になるのですが、そうなると各県の中心地(例えば博多駅から熊本駅など)には行けても、その先の観光地まで移動するのは結構たいへんです。大変だし時間とお金がかかるので、結局九州内を旅行することはほとんどありませんでした。2年前くらいに鹿児島旅行に行ったのは楽しかったです。福岡市内であれば車がなくても全く困らないのですが、アクティブに旅行して周りたい人はやはり車があったほうがいいのかもしれないなと思いました。どこに行くにも遠かった。

ときどきドキッとする発言に出くわす

これは書き方が難しいですし、8年住んだだけでなにがわかるんだ?と思われることもあるかもしれませんがギャップを感じたこととして書いておきます。男女格差に関することとか、もっとオブラートに包まないで言うと男尊女卑的な発言とかを耳にすることがたまにありました。私の夫は電車の中で中高生の男の子がそういう発言をしているのを聞くことが何回かあって結構衝撃を受けたみたいです。同業種の人たちですら話していると「いや、その質問アウトだからね」というようなこともありました。出張帰りにタクシーに乗ると(正直に話す私も悪いんですが)、旦那さんほったらかして仕事してる、みたいなことを何回も言われました。まぁ、うるせーよ、くらいにしか思ってないんですが。不動産屋、洗濯機やクーラーの設置業者にも「あんたすごい奥さんだね」みたいなこと何回も言われました。なんでやねん、うるせーわ。あと、飲み屋さんで自分より若い女性に相談を受けることが時々あったんですが、やっぱり結婚して早く家庭に入りたいとか、男性に尽くしまくって悩んでいるいるとか、そういう話が多くて、もっと自立しなはれ、と思いました。健康なうちに働きまくってお金を稼ぎなさい!話はそれからだ!ってここまで書いていて、福岡の問題じゃなくて私の感覚の問題かもしれないと思いました。世の中にはいろんな人がいて良くて、誰かの人生や生き方を否定することは私にはできないので。ただ、東京にはたくさんの人がいてエネルギーにあふれているので、若いうちに東京に行ってみるのはおすすめです。

ヨーロッパへのアクセスがいまいち

福岡空港の国際線は、韓国・台湾・タイなどアジア諸国へのアクセスは抜群な一方、ヨーロッパへのアクセスはいまいちです。フィンエアーが飛んでいる時はまだいいのですが、そうでないときは、仁川を経由するか関空または羽田・成田などを経由する必要があります。先日スペインに行きましたが、一度福岡から成田を経由しました。海外、特にヨーロッパによく行く人は地味に不便を感じるかもしれません。
福岡は福岡空港が博多から近いのがいい!とよく言われます。たしかにそれはそうなんですが、福岡から東京もなんだかんだでやっぱり結構遠いです。

大阪への引っ越し。東京に帰らないの?

さて、そんなこんなで大阪に引っ越しました。大義名分は夫の転職です。夫が大阪本社の会社に転職し、出社が必要になったので大阪に引っ越しました。今のところフルリモートで働く私は、時々東京にアクセスさえできればどこでもよかったので、オッケー、と軽い気持ちで引っ越しました。実は過去に半年くらい毎週大阪で働いていた時期があり、大阪には仲の良い友人もいるので楽しみです。あともうここ数年の生活に飽きていたので、環境を変える必要を感じていました。結果的に夫が通勤する生活を取り戻したので、生活にメリハリが生まれた気がします。京都にもたくさん遊びに行きたい。

今のところ東京に帰る予定はないです。東京を離れて見て、東京は本当にいいところだなと感じることができてよかったです。ただ、東京はいいところなんですけど、本当に人が多すぎ!なので私が東京から離れて1人分の枠を空けておきます。

わたしに福岡を語る権利はないっ!

ふりかえると、ふらっと福岡にきて、ふらっと大阪に出て行って、福岡になにも貢献してないし、なんだこいつって思いました。そんなやつに福岡を語る権利はないし、文句いってんじゃないよ、という感じです。

最後に

福岡県、本当にありがとうございました。文句言ったけど、めちゃくちゃいろんな人にお世話になったし、暮らしやすかったし、人生を変えるきっかけになったし、楽しかったです!なぜか私の妹家族も福岡に住んでいるので、またちょくちょく遊びに行きます。

私の好きだった・気に入って何度か行った福岡の飲食店のリスト(基本的にリーズナブルなお店で、中央区と南区がメインです)と、おすすめの歯科・美容院情報を置いておきますね。コメント付きです。コーヒー代にするのでよろしくお願いします。

ここから先は

1,905字

¥ 180

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?