見出し画像

手を

人生はむなしい。

その思いこそが、ここ最近、ずっと頭のど真ん中にあるものだ。

恋人や友達と素敵な時間を過ごしても、これは自分の身に余る幸せだと分かるから少し悲しくなるし、小説や漫画を読んだり、映像作品を観たりして心の奥底から揺さぶられるような感情に出会っても、それは結局、あくまでも誰かの人生を傍観しているだけだから、たとえ紙やカメラの奥にいるその人が世界を救っても、自分自身は何も変わらないと知っている。

おまえはちゃんと人並みに幸せだよ、幸せだってことにしておこうよ、自分にそう言い聞かせてみるけれど、それで気が楽になるならば、これまでどれだけ生きやすかったことか。

食べること、眠ることがどんどん下手になって、最近はどんなに頑張っても2日フルタイムで働くと発熱したり、下痢になる。最悪だ。

数年前、最果タヒさん原作の映画「夜空はいつでも最高密度の青色だ」で、主人公の男が年金や光熱費の請求書に埋もれていく演出があって、思わず胸が詰まったのを覚えている。

今日ドラッグストアに行ったら、生理用品もわけが分からないくらい値上がりしていて泣きそうになった。つぶれて、つぶれて、その上からまたぎゅうぎゅう押されて、どうやって生きたらいい。

読みたくて読みたくてたまらなくて、たくさん迷って買った本たちも、結局ぜんぜん読めていなくていつまでもテーブルの上に詰んである。

ドラマや映画もあんまり観られない。今期はドラマが不作なのが不幸中の幸い。

今日はドラマ「ブラッシュアップライフ」と、毎週なんとか観ている「マツコ会議」だけ観て、あとはずーっとイヤホンでハイスクール・バンバンのアカペラや、以前の記事で紹介した世代メドレーを聴いて、しゅびしゅび泣いていた。


今の自分が地獄に向かっているのはこれまでの人生のツケが回ってきたのだろうから仕方ないとして、もっと手が、せめて手が大きかったら。愛したいものを見つけて、それをひとつも取りこぼさないほど大きかったら。

自分自身に何もないから、わたしはありったけの愛すべき宝物を、未来まで連れて生きている。それらが失われないよう守るのと同時に、それを見つけて愛した自分を守るために。

ただ、ちいさな声を退けて良くない方向にばかり向かう国を見ていたら、もうこれ以上、這いずり回ってまで生きていたくないとも思う。心の底から。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?