仄暗い水1

仄暗い水の底から感想

一度は聞いたことのあるタイトルじゃないでしょうか?湿度高めで有名な映画です。
原作、監督共にあの『リング』を手掛けた名タッグです!

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監督:中田秀夫
原作:鈴木光司
公開:2002年

思っていたよりも昔の作品でした。そういうわけでレビューを書く私も初見というわけではありません。子供の頃に〇〇ロードショーだかで放送され、リビングで母親が見ている遥か後方で陰に隠れつつチラチラ顔を出し、結局雰囲気に負けてギブアップするという辛酸を舐めた忘れられない映画です。初見じゃないと言いながら99%初見でしたね。失礼しました。
この度は前回の雪辱を果たすため、風呂と洗い物を済ませ髪も乾かして極力湿気を排除した最高のコンディションを整えておりますのでまあ大丈夫でしょう。お清め効果を期待して鑑賞のお供はハイボールです。

簡単なあらすじ

離婚調停中の妻・松原淑美が幼い娘を連れて引っ越した先は、どこか陰湿な空気を醸し出す団地。娘と共に生活を立て直そうとする淑美だったが、天井の雨漏りや上の階から響く足音など、次々と不穏な出来事に見舞われる。やがて娘の様子までおかしくなり、団地を出ようと決意するのだったが…。

母子家庭の苦難、そして孤独を抱える子供にスポットを当てた、団地が舞台の悲しいホラー映画でした。
Jホラーの寂寥感と湿っぽさを求める方は必見です!

では読んだら知ったかできるネタバレと感想↓

離婚調停真っ最中の黒木瞳と小日向文世

この映画は、黒木瞳演じる松原淑美(まつばらよしみ)ママとその一人娘、松原郁子(まつばらいくこ)通称いくちゃんを中心に展開します。いや〜それにしても黒木瞳の美人シングルマザー似合いますね。ちょっと幸が薄そうでいい感じです。

淑美ママは離婚調停の最中らしく、一人娘いくちゃんの親権争いに疲弊しているようです。
離婚調停のため面談に訪れたママ。離れた位置に座って煙草をふかすその横顔は…小日向文世!!!!(なんかあんまり今と変わってないような…)スモーカー小日向は旦那さんですね。
この二人のギスギス具合が妙にリアル。
劇中の季節は梅雨〜晩夏くらいで雨の日が多く、更に定期的に絡んでくる親権問題や舞台となる団地のせいで、終始暗晦な空気と閉塞感が漂うタイトル通り「仄暗い」映画です。

調停員との面談も気が重くなります。

「昔、精神科に通っていましたね?」
「娘さんと住む引っ越し先は決まってますか?」

どうやら淑美ママ、かつて精神を病んでいた事があるみたいですね。しかしそれも10年前、もう時効でしょ…と思ってたらやっぱり「その程度なら大丈夫」とのこと。10年も前のいらん情報を告げ口したのは十中八九スモーカー小日向でしょう。嫌がらせにも思えるこの行動から、旦那側も親権を譲る気はないと想像できます。
引っ越し先は急ピッチで探してますと弁明。急いで見つけた引っ越し先がヤバい部屋だということは予想がつきますが、淑美ママの場合は幼稚園をみつけたり仕事を探したりさぞかし大変な立場だろうと思うので悠長なこと言ってられません。加えて娘のいくちゃんは今年6歳。幼稚園、小学校とこの先を考えると、早く安定した生活を送らせてあげたいと思うのは母親として当然ですね。

調停員曰く、「6歳以下の子供の親権は母親に渡る場合が殆ど」だとの事。確かに母親の方が親権争いで有利ってのはよく聞きますよね。実際に調べてみたんですが、母親に問題がなければ、親権を勝ち取るのは8割がた母親らしいです。理由をザックリ説明すると、「フルタイムで働く父親に子供の世話は難しいと判断されるため」、「母親から養育費を貰うのは難しいため」、「既に別居している場合は手元を離れた子供を呼び戻すのが困難なため(大抵は母親が子供を連れているケースが多い)」、など。淑美ママの場合は既にいくちゃんを連れていますし、問題がなければこのまま親権を勝ち取る事ができるってわけです。問題がなければ。

赤い鞄

淑美ママといくちゃんが巡り合った新居こそ、映画の舞台となる曰く付きの団地です。
この団地がもう、これでもかというくらい重苦しい雰囲気を醸し出す七階建ての建物で…外観だけで「なんか嫌な感じ」のする建物ってありますよね?そんな感じ。住み込み管理人のおじいちゃんは頼りにならないし中は暗いし湿気も半端ないので人間よりも霊の方がたくさん住んでいそうです。個人的にはこんないかにもな雰囲気を待っていたのでテンションが上がります。

つくづく思いますが、Jホラーと団地は相性抜群ですよね。私は日本の昔ながらの団地が大好きです。アパートともマンションとも違う、あの独特な雰囲気はなんでしょうか。整然と並べられた単なるコンクリートのカタマリに見えて…それでいて生活感の欠片が絶妙な塩梅でそこかしこに転がっている、ある種の相乗効果のようなものを感じます、人と団地って。ホラー関係なしに団地という形容し難い魅力にやられた人間としては、心躍るようでどこか懐かしいこの感覚をもっと突き詰めていきたいものです。
(私が団地と聞いて真っ先にイメージするのは背の低いコンニャクの密集地なので、この映画で登場する団地は結構大型だと感じました。上で述べた様なノスタルジーを感じるにはちょっとスケールがデカい。個人的に)

話が逸れました。
さて、不動産屋のおっちゃんに連れられて、淑美ママといくちゃんは内見のため305号室までエレベーターで上がります。…と、エレベーターの隅に水溜りができてるじゃありませんか。
神谷さん、拭いておいてって言ったでしょ?」
神谷さん、とは管理人のおじいちゃんの事です。
どう見ても不自然な水溜り…明らかに何かいますね!!
この時、淑美ママの手を不自然な角度で握る子供の手が映りますが、後になって思えば非常に切なくなるシーンです。

ちなみにこの時、監視カメラ越しにエレベーター内を見ていた神谷さん、誰もいなくなった筈のエレベーターの中に子供の影を目撃しています。対して動揺しない神谷さん、ある意味最強かもしれません。

305号室は壁一面重々しい鼠色という点と湿気がスゴいという2点を除けば結構良い感じです。あたらしいお家(仮)に喜ぶいくちゃん。いくちゃんを演じる女の子、演技も上手ですし非常に可愛らしい子供です。天真爛漫を絵に描いたような女の子ですね。大切に育ててあげよう…と見てるこちらの母性まで擽られます。
湿気は梅雨時ですからね…さらりと流す不動産屋のおっちゃん。梅雨時以外もじめじめしてそうな部屋ですが乾燥する冬場はいいんじゃないでしょうか?
ところで不動産屋、この部屋を紹介するのは初めてではないみたいです。こっそりと天井にあるシミを見上げ「やっぱりか…」みたいな表情を浮かべます。確信犯です!

内見に夢中になっているといくちゃんの姿がありません。管理人神谷さんの元へ行ってみると、監視カメラの映像にエレベーターに乗って上がって行くいくちゃんの姿が。

「娘が降りたのは何階ですか?!」
さあ…どこも同じだから

ちったぁ協力しろこのスカタンが!!と言いたい気持ちをグッと堪え、いくちゃんを追う淑美ママ。辿り着いた屋上で目にしたのは、雨上がりの空の下元気にはしゃぐいくちゃんの姿…そして肩にかけた赤いバッグ。屋上で見つけたようです。こんなやつ↓

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愛くるしいウサギのイラストに「ミミコ」って書いてありますね。持ち主の名前でしょうか?『着信アリ』のあの子と関係あるんでしょうか。
ほっとした淑美ママは「落とし物」として赤いバッグを預けますが、現在この団地には子供は住んでいないと。近所の子供の仕業ってことにしましょう(大きな団地なのに子供0って…独り身か高齢の方が多いんですかね?高齢化社会の実態が垣間見えます)。

ところで、今は安全面の問題から屋上なんて簡単には出られませんよね。団地はおろか小学校の屋上も、授業に使うとき以外は施錠されて絶対に出られませんでした。この団地に限って言えば管理人がポンコツなので施錠されていなかったのでしょうが。
そんなわけで映画に度々登場する屋上のシーンは個人的にかなり羨ましいです。私の将来の夢は屋上出入り自由の物件に住むことです。

賑やかな新生活

そんなこんなで305号室で暮らし始める淑美ママといくちゃん。ここの二人、演じているとはいえ本当の親子のようで微笑ましいです。ベッドの上でコチョコチョなんかやったりして。んでコチョコチョしながら見上げた先の天井に、んん…?
例のシミがあります。
直径20センチくらいで結構目立ちますが放置。
更に上の部屋からバタバタと走る音が響いてきます。私たちも気をつけないとね、と目を合わせる親子。ま、賑やかなのはいいことなんじゃないでしょうか。
でもちょっと待ってください。赤いバッグを届けた時「この団地には子供は住んでない」と言ってましたよね?じゃあこの足音って…?淑美ーッ!早く気づいてくれーッ!!

しかしたかがシミ足音ごときに脅かされる淑美ママといくちゃんではありません。天井にシミはあるものの、無事に幼稚園の登校初日を迎えることができました。しかしその朝、またしても異変が。
なんと例のシミから雨漏りしているではありませんか。
それだけじゃありません。
流しの水を口にすると、「ここの水、異常に不味い…」。不審に思いコップを覗き見ると水の中には

黒い髪の毛。

オエ…。
実は先日『ミッドサマー』という映画を見たばかりなのですが、この映画でも「〇〇に毛が混入する」事件がありました。どうやら最近異物混入に縁があるみたいです。次は自分の番かもしれないのでせいぜい食事の際は注意するとしましょう。

その他、エレベーターのボタンにがこびり付いていたりと些細な異変が立て続けに起こりますが、一先ず雨漏りについて管理人の神谷さんに相談してみます。頼む神谷さん、管理人の威信にかけてこの問題を解決してくれ……。

「古い建物ですから。そこかしこにガタがきてますんでね。一応日誌つけときますね
「…………」

日誌つけたら解決するんでしょうか!?!?
ほんとポンコツだな…いくちゃん迷子の時もそうでしたがこの管理人はこの映画において何の役にも立たないことが約束された瞬間です。でもこのポンコツっぷりがいい具合に癒しになっていると思えなくもないので、管理人としてではなく癒し要員として期待するとしましょう。ていうか水道水の件はマジで伝えた方がいいと思います。命に関わることなのでしかるべき業者を手配してもらうべきです。まあこのポンコツなら日誌書いて終わりになりかねませんが…。

焦らしプレイとひょっこりはん

Jホラーの魅力は、幽霊がアタックするまでの入念な下準備にあるのではないでしょうか。霊が登場しないシーンの方が怖い、と言っても過言ではない。一瞬の恐怖ではなく、一つずつ積み上がる嫌な予感…そして積み上がれば積み上がるほど暗がりの中に見えてくる「何か」…この見えそうで見えない焦らしプレイこそJホラーの醍醐味ってなもんです。ジャブがじわじわと効いてくる感じがたまらない。かの有名な『呪怨』なんかは焦らしとは正反対の奥義の椀飯振舞いって感じですが。あれはオムニバス形式をとっているので連続攻撃に見えるだけでしょうか。ただ焦らしプレイと呼ぶには些かハードな気もしますが。

本編へ話を戻します。
「上の階の足音」「天井のシミ」「水道水の髪の毛」「エレベーターの灰」「何でも日誌つけて済ませる管理人」など立て続けに怪現象に見舞われた淑美ママ。更に畳み掛けるように、ゴミ捨て場で例の赤いバッグを発見したり。嫌な予感がしますが、単に管理人の神谷さんが持ち主不明と捨てただけかもしれません。ここはスルーしましょう。

天井のシミもちょいと目を離した隙に、なんと優にインドカレー屋のナンを超える大きさに成長!雨漏りも悪化の一途を辿っております。たまりかねた淑美ママ、上の405号室へ突撃しますが、インターホンを押しても誰か出てくる気配はなし。諦めてエレベーターで下へ降りようとしたその時!

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はい、ひょっこりはん
いやめっちゃ怖いんですが…。なぜか体半分だけだしてこちらをガン見してくる女の子。シャイなのでしょうか、それとも挟まってるんでしょうか…。
自分が同じ目にあったら幽霊よりも「虐待」とか「ネグレクト」とかそっちを疑ってしまいそうです。その時はポンコツ管理人神谷さんではなく児童相談所に電話します。

母と娘と、時々、鞄

そんな日々の中、就職活動中の淑美ママがいくちゃんのお迎えに大大大遅刻します。
実はこの淑美ママ、身勝手な母親のせいで自分も散々寂しい思いをした経験があるんですね。そんな経験があるために、娘に寂しい思いをさせるのは人一倍胸が痛むのでしょう。会社を飛び出しいくちゃんを迎えに行ってしまいます。
就活?知らん。

外は真っ暗。
いったい何時まで面接していたのでしょう(帰宅した時自宅の時計が20時超えてたと思うので19時過ぎくらいでしょうか?夏ならもう少し明るいと思うので20時近くまで待ってたんでしょうか)。幼稚園の門も閉ざされ、中にいくちゃんのいる気配はありません。
焦る淑美ママ。
と、辺りを見回した拍子に電柱に貼られたビラを発見します。「この子を探しています」という文字の下、写真にはいくちゃんと同じ年頃の女の子。7月14日にこの辺りで行方不明になったと…。黒いロングヘアに黄色いレインコートという特徴は405号室のひょっこりはんに当てはまりますが、今の淑美ママはそれどころじゃありません。いくちゃんもこの子のように行方不明になったら?誘拐されてしまったら?事故に巻き込まれてしまったら?

探し回ってるとスーツの男に手を引かれるいくちゃんを発見。いくちゃん!と名を呼び駆け寄ると…手を引くお前はスモーカー小日向!
勝手なことしないで、と激昂しますが「子供を待たせたくせに何が勝手だ」と正論かまされ返す言葉もない淑美ママ。この場はいくちゃんと一緒に帰ることができましたが、親権争いの弱みを握られる形となってしまいましたね。二人の後ろ姿を睨みつける小日向文世がめちゃくちゃ恐ろしいです。
怖い小日向文世って本当に怖いですよね。凄い演技力です。

子供というのは親の感情の変化に敏感なものです。両親の喧嘩、不安、焦燥や怒り、そういった負の感情は例え子供が別の部屋に居たってちゃんと伝わってしまいます。
いくちゃんにも伝わったのでしょう。
スモーカー小日向と別れ、団地へと帰って来る二人。その途中、花火で遊ぶ仲睦まじい家族を目にしたいくちゃんはちょっと寂しそうにその様子を眺めています。淑美ママは少しでも淑美ちゃんの寂しさを埋めようと、私たちも花火をしようと提案。そんな淑美ママを見上げ、いくちゃんはこんな事を言うのです。

「郁子、ママだけで平気だよ」

淑美ママの不安や頑張りも、いくちゃんは全部わかっているんでしょうね。このシーンは見てて泣けました。滅茶苦茶澄んだ真っ黒な瞳でそんなこと言われて、この子にはどんな隠し事も通用しないのだと、これまで一人気負って固くなった心が解けるようにスッと表情が変わる淑美ママ。
そんないくちゃんを「ママもいくちゃんと一緒なら何があっても平気」と強く抱きしめる淑美ママ。何があっても、という言葉に今後待ち受ける苦難に立ち向かう強い意志を感じます。母親としてこの子を守るのだと。

泣けます…。

しかし、待ち受ける苦難はスモーカーだけではありません。

帰宅早々、まさかのママ採用通知に親子揃って大喜び。面接放棄したのに。よっぽど人手がたりなかったのでしょうか。
映画やドラマで死ぬほど雑な面接しても採用される主人公を見るとなんだか勇気が湧いてきます。
晴れやかな気持ちのまま花火をしに屋上へ。
しかし、屋上に着くや否や目の前を横切る黄色いレインコートの子供。気のせい…?と思い視線を落とすとそこには

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恐ろしすぎます。
淑美ママは律儀にごみ捨て場へポイします。いっそのことポンコツ管理人の神谷さんにあげちゃったらいいんじゃないでしょうか。きっと近年話題の鈍感力であらゆる呪いを無効化できると思います。

ナルホドくんの登場とタイタニック号

結局花火をしたのか諦めたのかはわからずじまいですが、その日からいくちゃんの様子がおかしくなります。例えばお風呂で見えないお友達と会話をしたりとか、幼稚園の隠れんぼの最中に黄色いレインコートの子供と出くわしたりとか、その直後に吐いて熱出してぶっ倒れたとか…。

タクシーで駆けつけたママへの園長の物言いがクソすぎてイライラが募ります。
「別に私たちは(強調)何もしていませんよ」「お母さん、離婚なさってるそうですね?親の離婚した子はたまに不安定になるんですよ」
自らの保身のため淑美ママに責任をなすり付ける性根の腐ったオヤジの物言いに画面を叩き割りそうになるのをグッと堪え行く末を見守ります。
でも園長、気になることを言っていました。「最近いくちゃんの独り言が多い」と…。また見えないお友達と会話してるんでしょうか?
更に不吉なアイテムを発見してしまう淑美ママ。園児たちの描いた絵の中に「赤いカバンを持った女の子のイラスト」が。そんな絵が何枚も何枚も…そしてその横には決まって「みつこちゃん、はやくかえってきてね」の文字。これは行方不明になった美津子ちゃんへのメッセージでしょうね。ということは美津子ちゃんはいくちゃんの通う幼稚園の生徒だったということになります。
いろいろ条件が重なってきましたね。オラ…オラワクワクすっぞ!

淑美ママの頭上でモクモクと立ち込める暗雲が目に見えるようです。

(この時気付いたのですが、赤いカバンにかいてあった「MIMIKO」という名前、これは持ち主美津子ちゃんではなくカバンに描かれたうさぎちゃんの事だったんですね)

親権争いでは、案の定「娘のお迎えに毎日遅刻するダメママ」「娘を連れ帰る時に腕を引っ張って肩を脱臼させた鬼ママ」と、スモーカーのでっち上げた情報を引き合いに出されイライラする淑美ママ。流石に脱臼は盛りすぎ
悠々とタバコをふかすスモーカーに詰め寄る淑美ママですが、エレベーターのボタンにこびり付いた煙草の灰も赤いバッグもこいつの嫌がらせに違いない!とヒステリーを起こしてしまいます。調停員の目の前で。

終わった…

いや終わりません。(鞄を)捨てる神あれば救う神ありとはこのことでしょうか。淑美ママに手を差し伸べる弁護士のおじさんが登場します。後にこの弁護士、財産分与のみならず淑美ママを悩ます不可解な現象にまで首を突っ込んでくださるのです。かの有名な逆転裁判の成歩堂龍一弁護士のように怪奇現象から勝訴まで逆転の発想で導いてくれたりするのでしょうか。だといいんですけどね。

一方、天井のシミはもうシミとは呼べないレベルに肥大化。疲れが溜まってうたた寝してしまった淑美ママはそれに気づきません。いくちゃんのベッドに突っ伏して眠るママの頬へ、まるで囁きかけるかのようにゆっくりと雫が流れ落ちていきます。

昨年話題になった『アナと雪の女王2』はご覧になりましたでしょうか。劇中のキーワードに「水には記憶が宿る」というものがあります。
水。
そう、淑美ママへ滴り落ちる水滴には、あの子の記憶が宿っていたのです。

淑美ママは夢の中で、黄色いレインコートの少女を見ます。美津子ちゃんです。
美津子ちゃんは雨の中、ひとりぼっちでお迎えを待っていますが、待てども待てども誰も来ない。やがて一人で幼稚園を後にします。
とぼとぼと歩いて辿り着いた先はこの団地。美津子ちゃんが乗り込んだ先のエレベーターには、作業員らしき格好の男性が2名。ホースなどを持っていることから、水周りの点検を行う作業員だと予想がつきます。エレベーターはそのまま上へ…。

はっとして目覚める淑美ママ。その頃にはベッド全体がびしょ濡れになるほど水漏れが悪化しています。そんな事よりもいくちゃんが消えた
部屋にもいない。屋上にもいない。藁にもすがる思いでスモーカーに電話をかけても「来てない」。

終わった…。

いや終わりません。
上の階の足音から何かを察した淑美ママ。405号室へ特攻します!
ピンポンピンポンピンポン!開けてください!娘が!開けて!開けてくだ…開いとるや〜〜〜ん!
いくちゃん!と飛び込んだ先は、沈没寸前のタイタニック号の船内と見紛うほどの水浸しでした。蛇口という蛇口からは水が溢れ出し天井からもボタボタボタボタ……ザブザブザブザブ…大雨警報が出てもおかしくないレベルの水量…いやこれは下の部屋どころか隣も上も被害を受けているのではないでしょうか!?むしろ水道局が不審に思うのではないでしょうか!?!?揃いも揃って日誌つけて終わりにしたんでしょうか!?!?
いや今は日誌とかどうでもいいです。
タイタニック号の中、一人彷徨う小さな影。いくちゃんは無事でした背後に猛烈に嫌な気配を感じながらいくちゃんを抱いて部屋を後にする淑美ママ。

この団地…ヤバい…!

とうとう調査へ

あんなことがあったんだから流石に引っ越すだろうと思ったのですが、中々難しい状況みたいです。淑美ママも越すつもりで準備を進めていたのですが弁護士に止められます。引っ越せばまた幼稚園が変わる…いくちゃんに負担が掛かる…この母親に任せるのは教育上よろしくない、と判断される…だから親権渡したくなかったらせめて調停が終わるまでここで粘ってくれないか、とは例の弁護士。

この部屋に住み続けたら教育どころか健康上悪いと思うのは私だけでしょうか。

風邪ひく程度ならまだしもあの世へ手を引かれたらたまったもんじゃありません。
やはり淑美ママもタイタニック号の一件から、これはのっぴきならない状況だと悟ったのでしょう。錯乱気味で出て行こうとしています。
そこで冷静な弁護士は問題のある上の階や屋上を調査してみようと持ちかけます。やたら親身になってくれる弁護士ですが、良い人そうに見えても腹の内では己の利益のため言葉巧みにママを誘導しようとしているのでしょうか。
そういえばサイコパスに多い職業トップ3に弁護士とか医者とか入ってた気がします。しかしながらこの弁護士をサイコパス認定してしまうと救いが無くなるので、ここは素直に良い人と思っておくことにしましょう。いやもうこの際サイコパスでもなんでもいいので日誌に書かずにきちんと調べてください。

団地を調査する愉快なメンバー
淑美ママ(がんばれ)
弁護士(良い人だけどサイコパスかもしれない)
不動産屋のおっちゃん(何かと白々しい)
管理人の神谷さん(ポンコツ)

まずは件の405号室から。
ホラーにありがちな「人を連れてきたら何の異常もなく逆にこちらが信用を失う」的展開になるかとおもいきやちゃんと水浸しでした!よかった〜。
この部屋、去年の暮れまで父親が住んでいたとか。美津子ちゃんの父でしょうね。美津子ちゃんが行方不明になったのが7月14日ですから、半年近く一人で住んでいたのでしょうか。
ん?淑美ママたちが越してきたのが夏くらいだから…冬に父親が引っ越してから約半年間405号室はタイタニック状態だったってことですか!?そりゃねーよ。
やっぱりみんなそりゃねーよと思ったのか、ポンコツ管理人神谷さんが矢面に立たされます。弁護士に問い詰められるならまだしも305号室に不信感を抱いたまま親子を入居させた白々しい不動産屋にまで責められるとお前が言うなという気持ちになります(直後に弁護士に異議申し立てられたのでよしとしましょう)。園長といい不動産屋といい、責任逃れのため平気で他人を攻撃する利己的な人間って現実にも居ますよね。

次は屋上。天気がいいので陰鬱な気分が少しは晴れますね。
女の子の影を見たりバッグが落っこちてたりいろんな秘密が隠れていそうな屋上ですが、今日は何も見当たりません。魔法の赤いバッグは近所の子供のせいってことで(弁護士の中で)落ち着きました。子供の影は、車の照明か何かが反射して錯覚したってことで(弁護士の中で)落ち着きました。
他は貯水タンクがあるだけなので調査はこれにて終了。
天井も壁紙を張り替えてもらって一件落着です。絶対にいろいろ腐ってると思うんですが

淑美ママも弁護士様に調べてもらい落ち着いたのか、引き続き同じ部屋に住み続けることになりました。親権争いももうじき決着がつくから頑張りましょう、と。完全に不安が払拭できた感じではありませんが言いくるめられてしまうママ。
人間、言葉の内容よりも言葉を発した人物を重視するものなんでしょうか?この場合は唯一協力してくれる存在かつ「弁護士」という立場から説得されて納得してしまったんですかね。

うーん…「娘のため」という大義名分を隠れ蓑にして「理想の母親でいたい」という己の欲求を満たしていると思えなくもないです。厳しいかもしれませんが、ここまで娘の危機に直面しておいてなお親権を第一に考えるのは「娘のため」とは言えないのではないでしょうか。スモーカーはろくに娘の面倒を見てくれなかった、とは映画の序盤でママがぼやいていた事ですが、娘の命を守るための選択ができないのであれば、旦那に預ける以上に最悪の結果を招く可能性もあります。この選択は本当にいくちゃんのためなのでしょうか。
とモヤモヤしながら鑑賞しておりました。
まあ、確かに引越しには相当労力が必要ですし、疲弊したママの判断も責められるものではありませんね。頼れる存在の登場に気が緩んでしまっても無理ないです。

悲しい事故、そしてクライマックス

新しい職場にも慣れ、いくちゃんもすっかり快復。このまま順調にいけばいいのですが当然順調にはいきません。
ある晩、幼稚園の支度をするためいくちゃんのカバンを開いた淑美ママ。なんとそこには、忘れかけていたアレ

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「オイオイ…俺を忘れてもらっちゃ困るぜ」
うさちゃんのクスクス笑いが聞こえてきそうです。
こういう時こそ冷静に…そうだ、あの弁護士なら話を聞いてくれるかもしれない!と思い電話をかけるも繋がらず焦る淑美ママ。
いくちゃん、そんなママをさらに不安にさせる行動をとります。そう、見えないお友達と赤いバッグを開けようとしているのです!
咄嗟にいくちゃんの手からバッグを奪い去るママ。その瞬間脳裏を過ぎったのは、水底へと沈んでいく赤いバッグ…。

屋上で見た行方不明の女の子、貯水タンク、沈むバッグ。
淑美ママは何かを察し、あろうことかいくちゃんを置いて一人屋上へ向かいます。

…………。
あの…………。
この状況でいくちゃんを一人にすることがどんなに危険か想像できないのでしょうか……ていうか別に今屋上に行かなくてもよくない…?それだったら叔母さん(いくちゃんが倒れた時駆けつけてくれました)の家に一時避難するとか落ち着いたら弁護士調査団を連れて行くとかそもそも女の子一人行方知れずになってるんだからいっそ貯水タンクを警察に調べてもらうとか水道局に見てもらうとか他に考えようはあるじゃん…?そもそも屋上に上がって何をする気なの…?祈祷…?またいくちゃが危ない間に合うって…学習してくれ…。

屋上では貯水タンクから大量に水が漏れ出しています。これは団地全体に被害が及ぶレベルではないでしょうか。この団地にはこの親子以外住んでいないのでしょうか?
タンクの中に美津子ちゃんがいると確信するママ。漏れ出す水に触れると、再び美津子ちゃんの記憶が流れ込んできます。

美津子ちゃんは1人幼稚園から帰った後、この屋上まで上がってきました。作業員の姿は無いので点検はもう済んでいるのでしょう。
高いところが好きな子供って多いですよね。かくいう私は成人しておりますが梯子があったら猿の本能に従いついつい登ってしまいます。美津子ちゃんも例外ではなく、貯水タンクの梯子を登ってしまいました。しかし、不幸なことにタンクの蓋が開けっぱなしになっていたのです。中を覗き込んだ拍子に赤い鞄が落ちてしまい、手を伸ばした美津子ちゃんもバランスを崩し水の中へ…。
タンクに貼られた点検表の日付には、7月14日と記入されていました。
…悲しい事故ですね。孤独に死んでいった幼い少女を思うと胸が痛みます。

ここで思ったんですが。
この記憶が本当ならば、7月14日から今に至るまでずーっと美津子ちゃんの死体がタンクに入っていた訳ですよね?
貯水タンクには、水道の水を一旦貯めてから各住戸に配分する、という役割があります。
つまりこの団地の住人達は、美津子ちゃんの出汁の取れた水を一年以上生活に使っていた事になります。
浄水技術がいくら進歩しているとは言え、これって相当ヤバくないですか?昨日一昨日の話ならまだしも約一年経っているわけですよね?大事件ですよねこれ?!
ま、まあ管理人もポンコツだし…住民の方々も飲まなければ大丈夫〜とかぱやぱや言いながら毎日風呂に入ったり皿を洗ったりしていたんですかね……そんな訳あるかよ。
やはり団地にはこの親子以外住んでないんでしょう。

(この後のカットに映るタンクの蓋が閉まっていた気がしますが、気づいた作業員が後で閉めにもどったのでしょうか?その時にでも亡くなった少女に気づけたらよかったのに…)

淑美ママが美津子ちゃんとシンクロしているちょうどその頃、案の定いくちゃんが大変な目に合っていました。風呂の蛇口から大量の汚水が溢れ出し、止めようとしたいくちゃんは突如浴槽から飛び出した腕に溺死させられそうになります。
真相を知り部屋に戻った淑美ママが目にしたのは、風呂場に倒れるびしょ濡れのいくちゃん…だから言ったじゃ〜ん!!!!
(くどいようで申し訳ないが本当に屋上で何するつもりだったのか。少しは待てなかったのでしょうか?)

兎にも角にも団地から逃げようと、いくちゃんを抱き抱えエレベーターに乗り込むママ。119番した方がよくない?と言いたいのをグッと堪えて見守ります。
エレベーターが閉まるまでにヤベー奴が追ってきたらどうしよう…と戦々恐々見ていたのですが、命からがら逃げてきた305号室から見覚えのある子供が出てきます。

ん…???

いくちゃん…?!?!?!

じゃあ淑美ママが連れてきたのは…

恐る恐る視線を落とすと、そこには腐食し泥人形の様な姿になった美津子ちゃん。(怖かった)
動けない淑美ママの首にしがみつきます。
首を締めるように指が食い込んでいますが、私には漸く現れたお母さんに必死で抱きつく小さな子供のように見えました。一年以上、たった一人で真っ暗な水の中に閉じ込められていたんですから。彼女の孤独は想像もできません。
そんなママに駆け寄るいくちゃん。
「止まりなさい!」
鬼気迫る表情で制止する淑美ママ。
いくちゃんが近づいたら美津子ちゃんが何をするかわかりません。
びくりと立ち止まるいくちゃんから、淑美ママの視線は自分にしがみつく美津子ちゃんへ。その身体を優しく抱きしめてこう言います。

「私がママよ」

淑美ママは娘を守るため、美津子ちゃんと共にいることを選んだのです。
ずっと待っていたママが漸く帰ってきて、憑物が落ちたかのように美津子ちゃんから力が抜けます。
もう大丈夫と、母親の眼差しは最後にいくちゃんへ向けられました。
その様子を見届けたかのようなタイミングでエレベーターの扉が閉じ、最上階へ上昇していきます。いくちゃんが駆けつけると同時にエレベーターの扉が開き中から溢れ出したのは、夥しい量の水だけでした。

そしていくちゃんは

私の両目の貯水タンクも決壊し、ただいくちゃんが健やかに育ってくれる事を祈るのみ…。

場面変わって時はたち、例の幼稚園の前で集まる女子高生達。その中の一人になんと…めちゃくちゃ初々しい水川あさみが!!!!!(いくちゃんです)
眉の角度から時代を感じます。
どうやらいくちゃん、無事に大きくなりお友達と高校生活を満喫しているようです!ああ〜〜〜よかった〜〜〜!!
幼い頃の記憶はあまり無いといくちゃん。その方がいいのかもしれません。母親が自分を守るために地縛霊の女の子に連れて行かれる、そんな記憶と共に成長するのは幼い子供にとって苦痛でしょうから…。

ところであの団地はどうなったか気になりますよね?
あの団地はいい感じの廃墟になっていました。
あの事故が明るみに出たのか経営が行き届かなくなったのか原因は不明ですが、むしろあの時点で存続できていた理由が謎なので驚くことは何もありません。
廃墟になった方が何故か生き生きとして見えるのは、呪いから解放されたからでしょうか。
管理人神谷さんがどうなったのか、それだけが気がかりです。

団地に住んでいた記憶はフワァ〜と残っているようで、いくちゃんはかつての住居305号室へと足を踏み入れます。廃墟いいな〜!
しかし305号室、電話も机もベッドも綺麗にそのまま。淑美ママもひょっこりでてきそう〜…とか思ってたら出てきました。
あの頃のようにおかえり、と迎えてくれるママにうるっときます。
「ママがここに居るなんて聞いてなかった。私も一緒に住みたい」
ママがこの世の人では無いと気づいていないのでしょうか。部屋もあの頃のままですし、空気に飲まれているようにも見えます。にしても、やはり自分を育ててくれた母親の姿は覚えていたんですね。嬉しそうに自分や友達の話をするいくちゃん。ここでスモーカーパパは再婚し、妹もいることが判明。スモーカーがどのように育ててくれたかわかりませんが、わりと父親してそうですね。よかったです。
高校生になった娘を見て感慨深いママ。しかし、一緒にはいられないと寂しそうに告げます。なんで、と言いかけたいくちゃんの後ろで水の滴る音が…。

てっきり成仏してくれたと思い込んでいましたが、違いました。
淑美ママと美津子ちゃんは、二人でこの団地に住み続けていたんです。恐らくこれから先もずっと。

気が付くと周りには誰もいません。
「ママは今も自分を守ってくれている」
あの夏の日を思い出しながら、いくちゃんは団地を後にするのでした。

改めての感想と考察

泣けました。
少女の地縛霊にロックオンされた不運な親子の物語でしたが、そこに悪意は存在せず、ただ母親を求める少女の寂しさが丁度似た境遇の親子に取り憑いてしまった…という。
話の展開上ちょっと無理があるだろと言いたいシーンはありましたが(タイタニックとか貯水タンクとか)ホラー映画の重箱の隅をつつくのは野暮ってもんです。突っ込みまくりましたがそれは置いといて…
焦らしプレイと物語の悲しい背景にも満足です。めちゃいい映画でした!

◾️団地に子供がいない理由
水がクソ不味いから。…って立派な理由になりませんかね。幼稚園が近い好立地なのでこれまで住んだ子供も多いと思うのですが、幼稚園くらいの子供は美津子ちゃんのターゲットにされ、不審に思い引っ越してしまうってのが順当ですかね。
そういえば、淑美ママの前に内見を終えた家族連れの姿が映っていました。彼らは入居を断った様なので、団地の雰囲気から嫌なものを察したのかもしれません。

◾️美津子ちゃんが取り憑いた理由
①いくちゃんと美津子ちゃんの年頃が一致
②(①から)母親の年頃が一致
③例の貯水タンクの配分先に住む
部屋が真下だったことは関係なくもない、とは思うのですが、美津子ちゃん入り貯水タンクの領地内であればどこでも取り憑かれる可能性はあると考えて外しました。
幼稚園に関しても、上3つを満たしてりゃ速攻憑かれると思い除外。しかしこの親子の場合は上3つに加え部屋の位置、幼稚園と全てのチャンネルが合っちゃったんですね。不運
また、冒頭の調停員との面談で淑美ママが過去に鬱病を発症した事が明かされました。その事から、淑美ママがマイナスの感情に引っ張られやすいナーバス一面を持つ事がわかります(同じ症状の方が全員同じ性格とは言いませんが、あくまで典型的な気質の例として挙げました)。そういった淑美ママの気質も関係あるのかもしれません。

◾️いくちゃんにちょっかい出した理由
美津子ちゃんが求めていたのは母親なので、いくちゃんとはフツーに遊んでただけですよね??
特に殺そうはしていなかったと思います。
お風呂で遊んだりお話したりお家に呼んだり隠れんぼしたり…まあ隠れんぼはちょっとやりすぎちゃいましたけど。微笑ましいです。
最後に浴槽に沈めたのは、いくちゃんに成り代わって淑美ママに近づくため、美津子ちゃんが直接いくちゃんに触れる必要があったからじゃないですかね。

◾️エレベーターでの淑美ママの決断について
賛否が分かれそう。
正誤は無いという事を前提に話しますが、私はあの判断はよかったんじゃないかと思います。
あの場面でいくちゃんを選んでしまったら、或いは抵抗してしまったら、恐らく美津子ちゃんはいくちゃんを手に掛けたんじゃないでしょうか。自分の母を奪う邪魔者として。
途中、淑美ママはいくちゃんを守りたいのでなく理想の母親になりたいだけ的な事を言いましたが、最終的には娘の命を優先する決断が出来た。

◾️何故美津子ちゃんは成仏しなかったのか
ラストシーンは母娘の再会で感動させると見せかけて実は非常に怖いシーンじゃないですか?霊の念の強さを思い知らされた場面でもあります。
成仏しない理由を考えるにあたり、美津子ちゃんが該当するであろう地縛霊について調べました。


地縛霊(じばくれい)とは、自分が死んだことを受け入れられなかったり、自分が死んだことを理解できなかったりして、死亡した時にいた土地や建物などから離れずにいるとされる霊のこと。あるいは、その土地に特別な理由を有して宿っているとされる死霊。

参照
『地縛霊』ウィキペディア (Wikipedia): フリー百科事典

成仏するためには死んだ事を理解させる事が必要です。
母親を見つけただけでは、単に執着の対象を手に入れたに過ぎないので成仏できないということでしょう。
なんかこの辺もっと調べてみたくなりました。


いい映画でしたね。乾燥肌の方、泣ける映画を見たい方には是非おすすめです。

今夜は家の蛇口全部閉め直して日誌書いて寝ます。

おわり

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