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元動物看護士の体験談①

2か所の動物病院で動物看護士として15年間勤務した、私の体験をお話しします。
始めに、元動物看護「士」としているかについて説明します。それは、国家資格の動物看護師の資格を得ていないからです。

15年前、動物看護士・動物看護師・アニマルヘルステクニシャン・VTという複数の用語が使われていました。当時、国家資格ではありません。
そして、国家資格のない者に「師」を使うべきではないという世論がありました。なので、インターネットの世界で「師」を名乗ると炎上するサイトが沢山あったのです。
ですので、私は「士」を使うことにしています。
ちなみに、私が動物看護士を辞めてから3年後に国家資格になりました。


今回は、動物看護士の仕事で大変だった以下のことを話します。

1 心身の負荷
2 コミュニケーション力が必要
3 拘束時間が長い
4 給与が低い
5 病院が閉院することもある

1 心身の負荷

長時間の立ち仕事や大型犬の持ち上げです。私は、柴犬を持ち上げた時にぎっくり腰をしたことがありました。
また、病院で待合中、処置中、処置後に亡くなってしまうこと。動物病院からの帰宅直後やその翌日に亡くなることもありました。世の中には、「絶対に大丈夫」はありません。本当に前触れもなく亡くなることがありました。
そして、「病院に連れて行って高い治療費を払ったにもかかわらず亡くなった。お金を返せ」と言われる飼い主さんもおりました。つまり、クレーム処理業務もあります。
また、安楽死の処置を獣医師が行う為の補助もあります。
毎日のことではないですが、突然起こる心身の不可はありました。

2 コミュニケーション力が必要

当時、人とのコミュニケーションが苦手だから動物関係の仕事がしたい。と考えていた方も多くおりました。履歴書や動物専門学校への進学希望理由に記載する人もいるくらいです。
動物病院では、コミュニケーション力は必要です。
飼い主さん相手だけでなく、獣医師や他の動物看護師とコミュニケーションがとれないと円滑に検査、治療、処置など様々なことが滞ります。
滞ると、まぁ…いわゆるパワハラですね。先生もイライラされるので、ちょっとしたことで、あたってきますね。
動物病院は、比較的パワハラが多い職場だと思います。最低限以下のスタッフで診察しているので、皆さん余裕がありません。

3 拘束時間が長い

勤務時間ではなく、拘束時間が長かったです。
9:00~12:00 16:00~20:00 (月~金)
9:00~12:00 16:00~19:00 (土)
休日 日・祝日
が基本でした。

ただ、11:58分・19:55分でも来院されれば終わるまで残業です。
手術がある日は、午後は14:00~勤務でした。手術は多い月で2日に1回のペースでした。
最大12:00~16:00の4時間休憩がありましたが、日によって1時間・2時間休憩もありました。自宅が片道30分ほどかかる場所にある病院でした。
なので、2時間の休憩だと移動1時間、休憩1時間(お昼ご飯調達、作る時間込み)です。その時は、ゆっくり休むことが出来ないので病院の控室で休憩、仮眠をしていました。控室はくつろぎにくく疲れは取れにくかったですね。
ちなみに当時、スマホは販売されていない時代です。

夜中までの残業もありました。
19:45頃にかなり状態がよくないミニチュア・シュナウザーと飼い主さんが来院され、そこから血液検査、レントゲン、エコー検査をして手術に入ったことがあります。仕事が終わったのが夜中の1:00でしたね。

2件目の動物病院は、
8:30~12:00 15:30~19:00
休日 月曜日のみ
手術は午前の診察が終わり次第開始し、終わったら休憩時間でした。

さすがに休みが少ないとのことで火曜日の午前中は出勤しなくてよいとなりました。のちに、金曜日午前中→金曜日休みになり週休2日になりました。
開業して2か月の動物病院でしたのので、1年目の来院数は少なかったです。しかし3年目以降は、午前は12:30頃まで診察。その後手術して13:30頃に終わる。21:00に診察が終わるのが常態化していました。
手術は平日毎日です。
土日は来院数が増えるので、午前は13:30頃まで 午後は21:30頃迄残業も毎回もありました。日によっては、昼休憩がなくノンストップで仕事をする日もありました。

4 給与が低い

給与が低かったです。1年目の給与は16万円でした。しかも国民健康保険の動物病院です。つまり、給与16万円から国民健康保険、市・県税、国民年金を個別に支払います。実質13万円以下となりますね。残業で1、2万程度は増える月もあったりはしました。
10年程努めて、給与が20万程にはなりましたけど。
動物病院の中には社会保険がある職場もあります。ここ数年で増えてきました。しかし、国民健康保険の動物病院が多いです。

5 病院が閉院することもある

その日は、前触れなく突然訪れまた。1つ目の動物病院は70代の院長獣医師と40代息子獣医師の二人の個人病院です。1階が動物病院で、2階3階が自宅です。
ある日、朝いつも通り出勤すると「息子が起きてこないから部屋を覗いたら吐血して息をしていない、これから救急車がくるから病院を閉めてくれ」と院長の奥さんに言われました。
前日も、いつものように仕事をしていたのですが、翌日突然亡くなりました。
葬儀後、院長から「後を継ぐ人が亡くなってしまったので1年後に廃業するので、就職先をみつけてくれ」と言われ仕事が無くなることが決まりました。

2つ目の動物病院の存在は、1つ目の動物病院での出来事の3か月前に知りました。
突然の廃業宣告の後、1つ目の動物病院から15分程度の距離でしたので、求人募集をしていないか尋ねました。結果、今のスッタフが、1週間後に辞めることになっている。困っているから直ぐに来てくれといわれ採用となりました。
1つ目の動物病院から流れてきた患者さんも来院されることもあり、順調に仕事をしておりました。
しかし朝7時30頃、院長の親戚から夜中に息をしていない状態でみつかった。救急車で運ばれたけどダメだった。…と。
この時も、前日までいつもと同じように仕事をしていました。
獣医師一人の動物病院でしたので、1カ月間の事後処理後、会社都合退職になりました。
動物病院は個人病院が多いです。なので、開業医が何らかの理由で診察が出来なくなれば、動物病院は廃業してしまいます。つまり、スタッフは職を失います。


大変だったことから今思うこと


動物看護士での仕事で良かったことも当然あります。自分にとっての憧れの職業でしたので。しかし、いろいろな後悔もあります。
今一番の後悔は、職業とは別に稼ぐ力を身につけなかったことです。私が勤めていた職場は比較的緩く働きやすい環境でした。患者さんが来院されていない時は、本を読んだり、スマホを触ることもできました。
積み重ねれば時間はあったのに、投資や副業など稼ぐ力を身につけなかったのです。
例えば、仮想通貨の口座開設はしたもの、ほったらかしでした。もし、あの時に10万でも投資しておれば、2024年3月現在の価値で考えると何百万にもなっていました。
あの時、稼ぐ力を身につけなかった自分をぶん殴りたいです。