大腸がんの話。絶飲食。

即入院となりましたがすぐに手術というわけには行きません。
腹腔鏡手術とはいえ腸をいじるとなるとまずは体の中を空っぽにしなければならないのです。

即入院の診断を受けたその瞬間から絶飲食が始まりました。

絶飲食とは読んで字のごとく一切の飲食を禁じられる事です。
水分&栄養分は点滴で取ることに。自分の場合術前術後合わせて10日ほど絶飲食となり、その間は口から物を食べたり飲んだりする事が一切出来ませんでした。

自分はあまり空腹に苦痛を感じるタイプではありませんでしたが、それでも3~4日絶飲食が続くと特に夕食時は結構堪えるようになってきます。

ご存知の通りだいぶ良くなったとはいえ病院食というものは基本的にそれほど美味しい物ではありません。それでもまったく飲み食いできない状態が数日続くとなんとも魅力的に見えてくるから不思議です。

幸いベッドに寝たきりな状態ではありませんでしたから、食事の時間に漂う香りが辛くなってきた頃には食事の時間帯が近づいてくると病室を離れるようにしていました。

人よりも苦労することは少なかったと思いますが、一度だけうっかりTVのラーメン番組を目にしてしまったときは驚きました。

見るのをやめれば良いのに目が離せなくなり、大好物であるラーメンが画面一杯に写った時には涎が漫画のごとく湧き出る羽目に。

無事に手術が終わり絶飲食が解除になった時に初めて口にしたのはほとんどお米の入っていない粥とジャガイモの冷製スープでしたが、今まで食べてきたどんな豪勢な料理より美味しく感じたのは言うまでもありません。

手術前には手術に向けて色々検査を受けるのですが、絶飲食を数日続けてある程度腸が綺麗になった時点で大腸カメラ検査で初めて自分の大腸の中を目視する事になりました。

そこで目にしたのは正に度肝を抜かれるほどに成長した我が腫瘍だったのです。

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