大腸がんの話。告知と死生観。

自分は無神論者です。全ての信仰を否定する気は毛頭ありませんし、よほどアレな教義でない限り信仰に打ち込んでいる人色眼鏡で見たりする事もありませんし信仰ゆえの真摯な生活態度にはリスペクトも感じます。

それでも個人的には来世も生まれ変わりもまったく信用していないので、今こうして存在している自分も水面に浮かぶ粟粒のごとく無から生まれ無に帰るものだと思っています。

時が経てば必ずやって来る「死」に対して自分の中ではとうに決着がついており、どうやらそれが近いと自覚してもうろたえる事は無いだろうと思う反面
そうは言ってもリアルに実感したら取り乱しちゃうのかな?という不安があったことは否定できません。

担当医には検査の面談時に自分は既に50を過ぎて子供も独立しており、現在の自分の体がだいぶ洒落にならない事を自覚している事や外科処置を最優先する提案に異を唱えるつもりがない事、そしていかなる結果も受け入れる覚悟が出来ていることを伝えてあります。

コイツはまぁパニックになる事は無いだろうと判断していただけたのか最近の告知の傾向なのか自分への告知は隠すことなく明確に伝えて頂く事が出来ました。

手術前の判断で腫瘍は100%悪性のものであり所謂大腸がんの可能性が高く、同時に大腸に出来た悪性リンパ腫の可能性もあるという事。

大腸がんであれば腫瘍の大きさからリンパ節まで転移していると思われるものの多臓器への転移まで進行していなければ手術で取りきることは可能であるが、悪性リンパ腫だった場合には腫瘍の大きさからすでに相当の転移が予想される為、余命宣告が出る事も覚悟して欲しいとのことでした。

手術後に摘出した腫瘍を検査してみない事には大腸がんであるのか悪性リンパ腫であるのかの判定は出来ないとの事でしたから100%の告知は術後にはなるものの、現時点での告知に関しては動揺することなく受け入れる事が出来て一安心。

懸念していた「いざとなったらオタついちゃうんじゃない?」的な事は無く、「体力に自信はあったけど…やっぱり歳をとると限界が見えてくるものなんだなぁ」とむしろ今までの自分の体に感謝する位の冷静さを保てた事はちょっぴり自慢だったりします(笑)

手術後に確定した自分の病状は「大腸がんステージ3B」でした。

幸いにも悪性リンパ腫ではなくリンパ節への転移はあったもののほぼ取りきれただろうとの事で余命宣告という事態は避ける事が出来て一安心です。

ちなみに自分の状態での5年生存率は70%強との事でしたからなかなかの安心感と言えるでしょう。罰当たりな自分は「カード4枚に髑髏マークがひとつか…なら絶対引かねぇな!」と妙にポジティブに受け止めていました。

とはいえ癌に罹患したという事でこれから治療と再発の不安を抱える事になるわけですが、不安と同じ位の「ほっとした」感も持っています。

この先生きてきた時間よりは死ぬまでの時間のほうが短い訳ですから「死因はわからないがいつか必ず死ぬ」よりは「あんたはたぶん高い確率で癌由来の何かで死ぬ」と言われる方が自分としては気が楽な訳です。

そんな風に冷静に告知を受け入れる事はできましたが手術ともなると予想外に色々起きるのがお約束。

術後には色々初めての体験をさせて頂く事になるのでした。

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