見出し画像

Q. 日向坂46が選抜制になったことで、これまでの雰囲気は壊れてしまいますか?

個人的な回答:とくに心配しなくても大丈夫だと思います。

で終了なんですが、もし懸念があるとしたらこれかな、と思ってることを3つ書いてみました。

現在、選抜外メンバーの正式な呼称が周知されたわけではないですが、何人かから「アンダー」と表現されているため、この記事でも同じく「アンダー」と称します。


1. 利己的な態度で支配されてしまう

1つ目は、選抜に入ることが目的化して「自分が入れればいい」という利己的な態度が多数派になると、チームの結束が崩れてしまうだろうなということです。

スタッフも含めあくまで「全員で日向坂チーム」だとするならば、選抜とアンダーの関係はスポーツの日本代表チームに似ていると思っています。それは選抜が「スタメン」でアンダーが「サブ」だということです。
クラブだとトップチームと下部チームに分かれたりしますが、それだとちょっと距離が離れてしまいますよね。さらにはトップと下部で監督も違ったりするので、一つのチームとして考えるのはやや難しいです。少し前の四期生と先輩メンバーの関係はこれに近かった気がします。
それよりも、いつでもトップチームの試合に出られる距離感である「サブ」としてアンダーを捉える方が、より一つのチームというイメージに近い気がしています。(さらに言うと、クラブは移籍がありえますが日本代表はそこしかないという点で、大所帯アイドルに近い構造な気がしています)

そんなスタメンとサブという立場の違いはありつつも選手全員に求められる振る舞いが「チームのための利他的な動き」です。一見するとサブはスタメンをサポートしないほうが、なんなら蹴落としたほうが自分が試合に出れて合理的に思えます。しかし、チームが勝てないと意味がありません。自分が拗ねてチームの雰囲気を悪くしたり、他の選手を不当に蹴落としてスタメンを勝ち取っても、チーム力が下がって勝てなくなるかもしれません。

これは日向坂も同じです。スタメンもサブも最大限お互いに敬意を持ってチームとして結束し、日向坂という船そのものの魅力をあげていく必要があります。じゃないとその船に乗ったまま全員で沈んでしまいます。

もちろん、この振る舞いは特にアンダーにとっては心情的にとても難しく悔しいものだと思います。しかし、むしろアンダーにこそ尚更求められるのがこの姿勢です。実際、元男子サッカー日本代表の稲本潤一選手は、チームがうまくまとまらなかったドイツワールドカップを振り返るインタビューでこう話しています。

「自分も含めてみんな、チームを第一に考える意識が足りていなかったかもしれない。それは、日本代表の選手としては恥ずかしいことやけど、当時は若かったんで、(みんな)自分のことばかり考えていた。

 自己犠牲の気持ちを持って『チームを立て直していこう』とする選手、それから、率先して『(選手みんなが)まとまってやろうや』と言う選手も、レギュラー組にも、サブ組にもおらんかった。そもそもこのチームは、そういう人選をしていなかったからね」

(中略)

「そういう存在が、サブ組にいないとダメなんですよ。初戦を失ったあと、『もう1回、盛り上げていこう』とか、試合に出ている選手が言っても、どうしてもサブ組の選手には響かない。(ドイツW杯の時も)ゴンさん(中山)のような存在がいて、(チームを)ビシッと締めてくれたら、『また次に向けてやろうぜ』って、チームがひとつになれたと思う」

ドイツW杯、稲本潤一は選手として我慢すべき一線を越えてしまったp2p3より引用

なのでこの点において、アンダーメンバーの振る舞いがとても重要になってくると思います。

さらに元男子サッカー日本代表の中村俊輔さんは、代表チームについてこう語っています。

「日本代表チームに求められるものは、いつの時代も同じだと思う。チームがひとつになって、(選手個々が)犠牲心とお互いを尊敬する気持ちを持って戦うこと。

『そんなもんいらないでしょ』っていう人もいるけど、チームは人と人とでできているんで、そういう気持ちがないといけない。今の代表も、そうであってほしいと思う」

サッカー人生で最も苦しんだ1カ月。中村俊輔は何を考えていたのか」より

日本代表はチームがひとつになって戦うことが求められています。なぜかというと、全員共通の目的である「勝利」のためです。バラバラになってしまっては勝てないわけですね。

では日向坂はなんのためにチームがひとつになる必要があるのか?それはチームの理念や目標を達成するためです。なのでチームとしてひとつになるには、個人個人がプロとしての矜持を持つことに加えて、チームの理念や目標をちゃんと設定することも大事になると思います。

現状、ファンに向けてはっきりした理念は提示されていませんが、少なくとも今年のスローガンは「Let's_Be_Happy_日向坂46」ですし、「もっとおひさまの輪を広げたい」とよくメンバーが言うように、その対象範囲は今よりもずっと広いんだと思います。となれば、チームとしてみんなが同じ方向を向いて結束しおひさまの輪を広げるためにも、「Let's Be Happy 日向坂46」を常に念頭に置く必要があると思います。チームの誰か一人でもこの言葉に白けてしまえば、途端に白けが伝搬します。白けが伝搬すると、チームのことを考える頭から個人のことを考える頭になってしまい、利他的な態度から遠ざかり、利己的な態度で支配されていきます。

#Lets_Be_Happy_日向坂46 のタグを Xの公式アカウントが最後に使ったのは1月8日の以下のポストです。常に発信し続けて、かつ体現する行動も取り続けて初めて成し得るのがスローガンだと思います。何度か言っただけで終わるのではなく、是非今年一年このスローガンにこだわり続けてほしいなと思います。

とは言っても、今のメンバーを見る限り利己的な態度が支配的になることはないんじゃないかと思うので、そんなに心配はしていません。

2. アンダーがブランド化する

2つ目は、もしアンダーが選抜とは別に独自の価値を持ち始めてしまうとチームの結束が崩れてしまうだろうなということです。

先述の通り、選抜とアンダーの関係はあくまで「スタメン」と「サブ」であり、全員で一つのチームです。常に入れ替えの余地があり、スタメンはサブに負けないようにしないといけませんし、サブは「いつでも行けます」の状態に仕上げておく必要があります。

しかしこれが、「サブはサブだけの価値を出そうぜ」とあまりに独立した動きを見せてしまうと、この構造が崩れて、実質2つの敵対するチームになってしまいます。

よくある議論として「アンダーに何か特別な呼称をつけてほしい」というものがあります。これについては個人的に、あくまで「アンダー」であること、つまりサブであることを明確にした言葉にとどめるほうがいいと思っています。

たとえば日向坂は太陽のイメージがありますから、アンダーは月をモチーフにした名前をつけよう、となったとします。するとその時点で、「月」のイメージを元に様々な解釈が生まれる余地が出てきてしまいます。太陽の選抜に対して、月のアンダーは神秘的だとか、クールだとか高貴だとか本質的だ、みたいなイメージなどですね。こういうものが簡単に連想されてしまいます。

すると「なんか太陽より月のほうがよくね?」みたいな印象になったり、「◯◯ちゃんは選抜なんかより月のほうが合ってるし、より輝くよね」とか「むしろ月こそが日向坂」といった解釈も出てくる可能性があります。この時点でもう、全体で一つのチームではなく、分断した考え方になってしまっています。

全員で一つのチームということは、もし選抜のモチーフが太陽なのであれば、アンダーも含め日向坂全員が太陽モチーフであるということです。あくまで全員同じモチーフの中でスタメンとサブという関係が生まれているだけであって、全員が太陽の輝きを放てることが理想です。もし月となるような対比的な存在があるとするなら、それは日向坂ではない全くの別グループになるはずです。

他にも「上下じゃなく、横並びの2チームに」というような話もありますが、独立した価値を持つ2つのチームは結局分断構造を作っているのと同じに思います。日向坂チーム内で「あちらさん」「こちらさん」みたいになるのは可能な限り避けたほうがいいですし、スタメンとサブ、選抜とアンダーという関係がその限界な気がしています。

なので、あくまで全員で一つのチームであるためにも、アンダーには余計な解釈が生まれないように、特別な名前は持たせず、特別なブランド化もせず、サブの意味を超えない呼称にしたほうがいいと思っています。

ここについてはまだどうなるか分かりませんが、個人的にはあまり突飛なことはしないんじゃないかと勝手に予想しています。なのでそんなに心配していません。

3. 状態に注目してしまい、妬み嫉みに支配される

メンバー個人レベルで見た場合にあり得そうだなと思うのがこれです。

以前の記事で、落ち込むのは「行動」ではなく「状態」に注目してしまうからだということを書きました。

選抜制でいうと「状態」の例は、「自分はアンダーだけどあの子は選抜だ」というようなものです。これはファンも陥りやすい考え方だと思っていて、

「推しメンの方がミーグリ売れてるに何であの子が選抜入ってんの?」
「あの子の完売速度より、推しメンの方が早いですねぇ(皮肉)」

などと感じている人もいるんじゃないかと思います。

選抜入りはミーグリの結果が大きいものの、それ以外にもいくつかの観点から総合的に判断されているように推測されるので、入ったり入らなかったりすることは当然出てきます。選抜のあのメンバーとアンダーのこのメンバーは具体的に何が違うのか?が見えづらいこともあるでしょう。

ただ確実に言えるのは、「選抜のセンターやフロントなど目立つポジションに立ち続けているメンバーがいる」、つまり「入るか入らないか」の次元ではなく「圧倒的な存在」となっているメンバーがいるという事実です。

なので、あの子がどうとか選考基準がどうとか言う前に、そういう存在になってしまえば、悩まなくても勝手に良いポジションに配置されます。

「あの子が入って私は入っていない」という状態に注目するのではなく、「どうしたら自分は圧倒的な存在になれるのか?自分にとっての「圧倒的」とは何か?」を考えて行動することが大事に思います。それは単に選抜に入るうんぬんだけでなく、今後もしエンタメ業界でずっとやっていきたいならどっちみち必要な思考です。ライバルはメンバーだけではありませんし、アイドルだけでもありません。エンタメの海は広大です。

ファンも同じく、状態に注目するのではなく、圧倒的になるための行動を後押しできるように応援するのがいいんじゃないでしょうか。そうすれば妬み嫉みに支配されず、チームの結束を乱すこともなく、健全に成長できると思います。といっても心理的にこれは言うは易く行うは難しですので、メンバーの年齢を考えると結構大変だよなとも思いますが、なんとか「状態」ではなく「行動」に注目してほしいなと願う所存です。

また、特に3期生以上のメンバー(とそのファン)は頭に入れておくと状況が理解しやすいかもしれないことを挙げておくと、それは今時点において、選抜入りや目立つチャンスへの抜擢に関しては四期生がやや有利だと思われることです。

想像してみてほしいのですが、もしあなたがお店の店長だったとして、バイト募集に来た以下の2人のうち、能力がほとんど同じくらいならどちらを採りたいと思うでしょうか?

  • 20歳の人

  • 50歳の人

現実問題として、ほとんどの場合前者が採用される可能性が高いと思います。現時点での能力が同じなら、より柔軟である可能性が高く、より伸びしろがある可能性が高い人がどうしても選ばれがちです。なんなら人によっては50歳の人に対して、「20歳と同じ能力なんて、今まで何してたの?」と感じることもあるでしょう。ましてやその50歳が「自分が今こうなっているのは上司や会社が悪いからだ、社会が悪いからだ」などと妬み嫉みを言っていたら、どう思うでしょうか。

これは採用以外のシーンでも同様で、もし会社内で新たな期待のプロジェクトを発足するとして、「入社したばかりでまだ荒削りだが将来性を感じる20歳」と「勤続30年、最近はほぼ目立った変化のない50歳」がほぼ同じ能力だった場合にどちらにプロジェクトを任せるかというと、たいてい前者が抜擢されます。仮に前者の方がやや能力が劣っていたとしても、経験のために抜擢する可能性も余裕であります。重要なのは、後者がサボっているわけでもなく、後者なりに頑張っていたとしてもこういう決定になりがちだということです。

なので残酷ですがおそらく日向坂においても、「ファンから見て」ではなく「運営スタッフから見て」顕著に人気や実力に差が無いのなら、あらゆる経験の少ない四期生のほうが何かに抜擢されやすいのが現実だと思います。これを覆すにはシンプルにしっかりとした差があることを示す必要がありますし、それには圧倒的な存在になることを考えるのが一番早いです。

もちろん、実際は20歳と50歳のような極端な差もなく、せいぜい数年の差です。20代そこそこなんて一瞬でいくらでも変わる時期なので悲観する必要はなく、「状態」に注目せず「行動」に注力できればいくらでも状況は変わると思います。ファンとしてもそんな「行動」を応援していけるといいなと思います。結局、「何を言ってるか」より「何をやってるか」です。

これについても、先輩たちの姿を見て後輩たちもいろんなことを感じているでしょうし、そんなに心配ないと思っています。

余談:なんで選抜制にしたの?への所感

選抜制に関して、ファンの間でも悲喜こもごもいろんな感情があるかと思います。人は変化に反応するものなので、選抜制になればファンからいろんな反応が出ることは当然運営スタッフも予想していると思います。

じゃあなんでいろんな反応が出ることを分かったうえで選抜制を導入したかというと、なんらかの目的に照らしたときに選抜制のほうがメリットが大きいと判断したからなんだと思います。

世の中ほぼ全てのことがそうですが、パーフェクトなことはほとんど無くて、基本的にベターの組み合わせで出来ています。要は「完璧じゃないけどこっちの方がまだマシだよな」で世の中のだいたいのことは回ってるということです。

それは選抜制も同様で、メリットとして「競争によるメンバーの発奮」や「一定の人数以下に抑えることでパフォーマンスの見栄えがいい」など色々と挙げられる一方で、デメリットや懸念ももちろんあるはずです。両方ある中でその導入の是非を議論する場合に大事なのは、結局「目的」です。目的に照らしたときに、メリット・デメリット双方を勘案してどうするほうがいいのか決定するわけです。逆に言えば目的がないと決定できないとも言えます。

なので、選抜制について単に「こういうメリットがある!」と叫ぶだけでも、「こういうデメリットがある!」と叫ぶだけでも意味がありません。目的次第では、たとえデメリットの「数」が圧倒的に多くても、目的達成に必要なたった1つのメリットを求めて採用する、などもあり得ます。

結果的に日向坂は選抜制を導入しました。それは目的に照らしたときに、選抜制の方が目的を達成できる可能性が高いということなんでしょう。ただそれだけのことだと思います。

とにかく言えるのは、特定の事象だけを見てメリットのみを叫んだり、デメリットのみを叫んだり、その両方を叫んだりしたとしても、目的不在なら全く意味のない議論だということです。そしてその具体的な目的は僕らファンからは見えませんので、「とにかくいい感じに頼むなー!」と願うばかりです。

まとめ

選抜制における、個人的な3つの懸念を述べてきました。ただ冒頭でも書いた通り、それほど心配はしていません。

組織をどういじろうと、結局大事なのは世にどういうインパクトを残すかだと思います。なので 11th 以降の今年の楽曲やライブ・イベントで世界にたくさんハッピーを届けくれよな!という気持ちでいっぱいです。

みんなたのむで~。


ご意見・ご感想などありましたらお気軽にコメント等までお寄せください。お待ちしています。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?