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1980~1990年代のログハウスブーム

 1980~1990年代のログハウスブームを知っていますか?
 実家にある、当時のログハウス雑誌を読んだら面白かったので、ここに紹介していこうと思います。

実家のログハウス雑誌

 父は、ログハウスを建てるつもりはなかったようですが、カントリーテイスト、ナチュラルテイストの家具が多く載っていたので、日曜大工で作る家具の参考に、ログハウス雑誌を買っていたようです。
 そのころの父は、40歳前後の働き盛りで、平日は夜遅くまで残業の日々。土日は家の大工小屋で、のんびりと木を削ったり、組み立てたりして、家具などを作るのが癒しだったようです。
 ログハウスでの生活ように、木や自然に囲まれて、ゆったりと過ごしたいと思っていたのではないでしょうか。

 今、私の手元にあるのは、山と渓谷社の『ウッディライフ』1986年~1990年。 雑誌をめくっていくと・・

1986年 お洒落な洋風ログハウスに移住

 まずは、1986年『ウッディライフ No.23』から。
 ここには、ログハウスを建て、都会から田舎へ移住した人の事例が紹介されています。移住した人の職業は、漫画家、グラフィックデザイナー、ミュージシャン、などキラキラな肩書き。
 「信州にいても東京の心は捨てない」「田舎暮らし、といっても、別荘風の家には、都会的センスが満ちあふれていた。」などの記述があり、自然の中では暮らしたいけど、田舎者にはなりたくない、ダサい農家ではなく、ヨーロッパ風のお洒落な木の家に住みたい、という読者の(?)心情が読み取れます。

1989年 都会と田舎の2重生活

 1989年『ウッディライフ No.37』の特集は「都会と田舎をスイッチして暮らす二重生活者たち」。
 週末だけ、田舎に建てた家に帰る中年夫婦らが紹介されています。本音は、ずっと田舎で農作業などして暮らしたいけど、収入を得るためには、都会で働かなければいけない。ゆくゆくは、田舎暮らし1本にしたいということが書かれています。

1990年 DIYや廃材でローコストに建てる

 1990年『ウッディライフ No.39』の特集は「お金をかけずにリッチに暮らす」。
 「ローコスト」がキーワードになっており、自分たちで施工したり、廃材をリサイクルしたり、小規模なものにしたりと費用を抑え、でも満足度は下げない工夫がされています。

1990年 新築せずに、古民家改修

 1990年『ウッディライフ No.41』の特集は「民家に魅せられて―日本の伝統建築を現代に取り入れて暮らす」。表紙には、尺八、和服のアメリカ出身男性がいます! 1886年に比べると、だいぶ趣きが変わってきました。
 特集で写っている家は、もうログハウスではなく、囲炉裏や蔵のある古民家です。

特集のうつりかわり

 特集のうつりかわりを見てみると

お洒落な洋風ログハウスに移住

生活費確保するため、都会と田舎の2重生活

DIYや廃材でローコストに建てる

新築せずに、古民家改修

 バブル全盛期のキラキラ生活から、だんだん現実的な特集に変わってきているのがわかります。
 そして、都会生活につかれ、田舎暮らしに憧れていたこと。
 始めは洋風文化に憧れていたが、日本民家の良さも見直されてきたこと。
などがうかがい知れます。

火付け役は誰?

 それにしても、このログハウスブームの火付け役は誰だったのでしょうか?
 都会化、工業化生活に疲れてきた当時の人々の心に、ログハウスがぴたりとはまったのだなと思います。
 『ウッディライフ』のスポンサーは、主にログハウスメーカーです。
 ログハウスを建てるのは、地元の工務店や大工ではなく、ログハウス専門の会社になります。
 多くは輸入木材で建てられるので、木材の輸入業者や仲介業者などが主導権を握っているのではないかと推測します。

 日本ログハウス協会のHPを見ると下記のように沿革が書かれています。

昭和61年
 「日本ログハウス協会(主に輸入木材を使用)」「全国ログハウス振興協会(主に国産木材を使用)」が設立
平成13年10月
 ログハウスの発展を図るために両業者団体を合併、「ログハウス協会」となる

一般社団法人 日本ログハウス協会HPより

 このあたりのことを調べてみると、いろいろと面白いことがわかるのかもしれません。
 1989年『ウッディライフ No.37』には、「全国ログハウス・メーカー一覧」が11ページにわたり121社紹介されています。そのうち輸入材(北米・北欧)を扱っているのが64社、国産材を扱っているのが57社です。
 北米などに太いパイプをもつ仲介業者がいたのでしょうか?

 実家にあった古い雑誌を読んで、いろいろと思いをはせてしまいました。
 今のアウトドアブームにも似ているところがあり面白いです。

 また楽しい本をみつけたら、紹介していこうと思います。


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