平均年収は嘘をつかないが、詐欺師は平均年収を使う

同じテストをA高校、B高校で行いました。
平均点はA高校が60点、B高校が80点でした。

さて、どちらの高校の成績が良かったのかといいますと
「60点のA高校」です。

????

となる人もいるかと思われます。
実はテストは同じでも配点が両校で異なっていました。
A高校では100点満点ですが、B高校では200点満点でした。

こう言われると騙された!と憤慨する方もおられます。
いえ、怒って当然です。

ですが、テストと言われると無意識的に100点満点と想像しますよね。
実際に両校とも平均点は100点以内ですし・・・

この例え話から、平均点だけを比べても、追加情報が無ければ情報を正確に判断することできないということです。

で、本題です。

テストと違って世の中の平均値は上限が無いものも多いですよね。
寿命、売上高、人口・・・・

そして、「年収」

やたらと平均年収を取り上げる記事やニュースや動画ってめちゃくちゃ多いですよね。
他国を引き合いに出したり、バブル期と比べたり、十数年上昇していないなど、この話題に関しては枚挙にいとまがありません。

しかし本当に、単純に、平均年収という数字のみで議論を進めることは正しい行為なのでしょうか?

時代や景気によって労働者の人数が変われば平均年収も増減します。
元気な高齢者世代の労働者を増やしたり再就職が容易になる国策を行えば、単に低賃金労働者が増えるだけなので平均年収は下がります。

また年収は下限は0円ですが上限はありません。
数千万円~数億円という人もいます。
富裕層に優遇措置を取る国ほど富豪が集まり、平均年収は上がります。

よって年収の平均値だけではあまりにも情報量が少ないことが分かります。
より正確な事情を知るためには他にも様々な数値やデータを引き出す必要がありますよね?

ですが世の中の平均年収界隈はそんな事お構いなし。

センセーショナルな話題になるならどんな数字でも使ってやれ!
お!平均年収下がってるやん!使ったろ!
これで不安煽って金融商品売りまくるぞ!

みたいな勢いが感じられます。
「平均年収」はあくまで「全員の年収÷労働者数」です。
そこには歴史も文化もお国柄も政策も景気も経済規模も人口比率もありません。

この記事の冒頭で示した高校の平均点の話題で後出しだ!詐欺だ!と激昂する人は多いでしょうが、平均年収の計算方法や情報の少なさに疑問を持つ人は案外多くない気がします。

平均年収は数字としては正しい値ですが、あらゆる数値の1つに過ぎません。

平均値のみ示され、それと他国・他人を比べることに大した意味はないことを察して頂けたら幸いです。