なみなみ

地方紙の記者となり、地域情報誌の編集長として誌面や商品開発の企画に携わる。2018年に10年勤めた新聞社を辞め、現在はウェブ媒体の編集者。「企画でメシを食っていく」4期生。

真の美食家は「辺境メシ」もおいしく食べる

この前テレビを見ていたら、プロデューサーのナスDが苔を食べていた。
木や地面に生えている苔をちぎってそのままムシャムシャ。
「甘い!水がいいから甘いなぁ」
自生している苔を平然とそのまま食べる姿にはなんとも言えない迫力があって、まぶしかった。究極の美食家だと思った。

その映像を見ながら、私はノンフィクション作家の高野秀行さんのことを思い出していた。
高野さんは辺境を訪ね、現地の人が食べているヘン

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卵とじそばという絶景。それは菜の花畑と富士山のよう。

春はあけぼの、そして卵。
わたしは春に食べる卵が一番おいしいと感じる。

実際、卵の旬は春らしい。

「春 卵 旬」で検索すると、「鶏始乳(にわとりはじめてとやにつく)」なんて言葉を見つけた。気象や植物の変化を示す七十二候の言葉で、春の訪れを感じた鶏が卵を産み始める頃を意味するそう。自然な状態の鶏は、日照時間が長くなるにつれて産卵率が上がるため、春から夏にかけてたくさん産むという。

スーパーで買

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先入観というスパイスを最後にかけるか、かけないか。

おいしいカニやウニを食べながら、ときどき人は勇敢な先人たちを褒め称える。
「最初にこれを食べた人ってすごいよね。こんなグロテスクな見た目なのに」と。
本当に、とわたしは何度だって感心し、貪欲な先祖に感謝する。
 

赤く茹で上がったズワイガニを見て、「わぁ!おいしそう!」と思うのは、食べたことがあり、おいしいことを知っているから。
「おいしそう」という感覚は、自分の経験から立ち上るものなのだ。

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「おいしいね」言葉だって鮮度が命だ

鎌倉に住む3歳と6歳の姪は、じいじとばあばの住む富山県が大好き。

食べ物がおいしいからだそう。やんちゃな3歳の妹の方が「富山はバナナがおいしいからね」と言う。思いがけない食べ物に、「え、そうなの!?」と聞き返すと、すまし顔の6歳の姉も「そうだよ。富山はバナナがおいしいんだよ」と自信たっぷりに答える。

「おいしい」の基準は人それぞれ。
だからこそ、誰かがそう言い切る瞬間は愛おしい。「きっとあなた

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耳からよだれが出そうなシンプルな言葉

食いしん坊だと思う。

食べるのはもちろん、目や耳で味わう「語られるごはん」も大好き。人が話すある食べもの、外国文学やエッセイに出てくる料理は、どれもまばゆい。それがカエルの食べるちょうちょのサンドイッチでも。想像力というスパイスの効果は大きい。

昨年まで地方新聞社で記者、編集者をしていた。

ローカルマガジンを作っていたとき、レシピコーナーの取材が何より楽しかった。料理上手な主婦らに旬の食材を

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世界をはんぶんこすると

「やってしまった…」。
目が覚めて、いつもの起床時刻の午前7時を指す時計に愕然とする。その日の正午に提出しなきゃいけない企画書を書いていたはずなのに、ベッドで寝ていたなんて。

「企画メシ」の9月8日は「コラムの企画」で、文筆家の鈴木涼美さんからこんなお題が出た。「ある月刊誌であなたのコラム連載(全12回)が決まりました。連載タイトルと1回目の本文(800文字以内)を書いてください」。私は、読んで

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