日々こつこつ小説 〜わらしべ長者になりたくて 第三話
ピピピピッ ピピピピッ ピピピピピピピピ
『うーん。』
頭上のスマホを手探りで掴み寝ぼけ眼で音を止めたゆう。
『あ~。朝か』
大きく深呼吸し、伸びると一瞬目を閉じた。
・・・・・・・・・・・
『ん?』
『!!!』
「やばっ、やっちまった」
ゆうは慌ててベッドから飛び降り、そばに置いてあった服に急ぎ着替えるとそのまま外へ飛び出した。
『遅れる!』
駅までの道は歩いて10分程。ゆうは必死に走った。
『ぎりぎり間に合うか』
改札を抜けて階段を上がろうとすると
「あの、すみません〜!
エレベーターどこかにありますか?」
『えっ?何で?』
慌てている時にまさか自分が声をかけられるなんてゆうは思いもしなかった。
「あ~、あ、あっち!あの奥ですよ!見えるでしょ」
急いでいるゆうは、つっけんどんな受け答えをすると階段を駆け上った。
📢「ドアが閉まります」
ゆうは無事に電車に乗り込むと空いていた席に腰掛けた。
『ふーっ、これで何とか間に合いそうだ』
ようやくホッとしたゆうは、辺りを見回す。
『さっきの人、大丈夫だったかな』
・・・・・・・・
『あ~。』
ゆうはさっきのことを思い出し自分のことが嫌になった。
『何であんな言い方しちゃったんだろう。急いでるからってひどかったな。』
『あ~。ホントに全然だな。徳も何もない。』
『急いでいても、もっと優しく言ってあげれば良かった。迷惑そうに絶対言ってたよ。ごめんなさい』
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