昭和のこども

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ノート

田舎の香水

四月の下旬

スーパーマーケットの駐車場で
車を降りると、嗅いだことのある臭いに出くわす
「ああ、来たな、近いな」
と確認するように呟く

買い物後、帰りに来た道とは
別の道を走り出すと
近くの畑で赤いトラクターが堆肥散布し
ローラーで土壌を混合していた
大きな作動音と共に
うっすらとした白い湯気が舞う

こどもの頃は
すぐとなりに田んぼがあって
長くて二週間くらい
この臭いとお付き合いするのだが

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サクラと犬とおでんとボク

子供の頃はお花見の何がいいのかさっぱり分からなかった。

こどもの目線で振り返ろうと思う。

昔のお花見は今のように家族、カップル、子供のためというよりは
会社の集まり、大人の男の酒盛り場的な要素が強かったように思う。

今もそうかな?

大人たちのお花見に参加するとビニールシートの端に座らされ
海苔巻きやいなり寿司はもうなく(大人の女性が食べちゃう)
麦茶を水筒でおすそ分け(ジュースなんて買って

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サクラの少年

小学校高学年、新学期、木造校舎、
最上階の古いけれど新しく一年過ごす教室。

クラス替えはなく、とりあえず出席番号順に座り、慣れない机や椅子の高さに馴染めずにいると、ホームルームで一人、満面の笑みを浮かべた女性教師が両手を広げてこう言った。

「みんな、後ろを見てごらん、お山の桜が一望できるだろう。うちのクラスが独り占めだよ」

女子児童は感嘆の声を漏らし、男子児童はへえと味気ない反応を見せた。

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