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サクラの古墳 後編

サクラの古墳 前編

ここは思ったより広く、
しばらく歩いた場所に小学生が遠足に来ていた。
桜の下、シートを広げてお弁当を食べていた。
行儀のよい大人しい子供たちだった。

さらに左方向に進むと、
バスを停められる大きい駐車場があり、
フェンス付近にも桜が咲き、
花びらが散っていたので、
人影が見えないこともありスマホで撮影した。

次は隣接した公園へ行ってみた。
途中、ふわふわと呼ばれる大型遊具が駐車場にあった。
白いくまのようなデザイン。
空気を送り込んで中へ子供が入って、
飛び跳ねて遊んだりするものだ。
どうやら祝祭日だけ営業しているみたいだ。

公園にも道路沿いに桜や楓、つつじなどの樹木が植えられていた。
少し進むと古民家と古民家カフェがあった。
古民家はただ建っているだけで趣があり絵になる。
観光客が皆カメラやスマホで撮影していた。
古民家カフェはその日休業日だったが、
とてもお洒落なお店だった。

園内は汽車を模した低速バスが運行していて、
要所要所に駅名を記した看板があった。
しばらく歩くと、
小さな広場に子供がまたいで乗る新幹線があった。
こちらも、ふわふわ同様、休業だった。

小道を横切って前へ進むと、
昔の鍵穴のような形状の古墳が見えた。
前方後円墳という形式で、
小高い丘が芝で緑に覆われ、
流線形が丸みを帯びて、
ぬいぐるみのようで少し可愛かった。
周りはお堀になっていて数か所に、
小さな橋があり行き来出来るようになっていた。
古墳の正面には桜が植えてあり、
やはりはらはらと桜の花びらが散って、
左奥の暗い森林とのコントラストで、
幻想的な風景だった。

こんなに間近に古墳を見るのは初めてだと思い、
しばし立ち尽くして眺めた。
先客が古墳を降りてきた後、自分も階段を上った。
お墓の上に乗ってしまっていいものなのか、
という戸惑いがあった。
やや申し訳ない気持ちで上部へ上がると、
白骨のような枯れ木のオブジェがあり、
神聖な場所であるという雰囲気を醸し出していた。
仏教ではなく神道なのかと考えつつ、
手を合わせて拝む。
少し周りを見渡した後、
しずしずと階段を降りた。

公園のさらに奥には庭園があり、
人工的ではあるが、
空想の世界へ来たような印象があった。
数枚写真を撮った後、
疲れもあって入口付近で引き返した。

森林へ向かうと砂利を轢いた遊歩道があり、
歩くたびに揺れる木漏れ日は、
遊んでほしい子供のようだった。
史跡が所々にあり、
好きな人には興味深い場所なのだろうと思った。
場内全て見て回るのは無理そうなので途中で引き返した。
さすがに暑くなっていたので上着を脱いで肩にかけた。
すこし肌寒かったが、
結構歩いていたので体を冷ましたかった。

一度来た道をもどり、再び景色を堪能した。
歩きながら、駐車料金は取られたが、
充分楽しめる場所だと思った。

遠足に来ていた小学生は帰ったようだ。
替わりに、車椅子に乗った団体客が来ていた。

枝が手の届くくらいの高さなので、
桜の暖簾をくぐり進んでいく感じだ。
また中央の広場の周りの出店を見て、
少し賑やかな宴の中に、
自分を舟でゆらゆらと浮かばせるような気持ちで、
通り過ぎてみた。

入場時、右手にあって、
後で見ようと思っていた広大な平地に行ってみる。
シートを敷いて花見を楽しみつつ、
寝転がる人たちが点在していた。
桜と抜けるように晴れた空。
コマーシャルで見たような、
素晴らしい景色。

平地の端に着いて、
敷地外の畑や田んぼ住宅地を見ると、
ここの柵が夢と現実との境界線なのかなと思い、
端から先は見るべきではないなと思った。

帰り際、古い水車小屋を拝見した。
照明のない昔ながらの家屋なので、
暗いのかなと思ったら、
窓から入る日差しで割と明るかった。
こういう所は、
だいたいカビくさく埃だらけで苦手なのだが、
道具も当時のままのようで、
手入れが行き届いているのか、
現在も使用しているような、たたずまいだった。

少し名残惜しいが帰途へ着くことにした。
駐車場に戻り車に乗って水分補給。
駐車場のチケットを見ると、
「チケット代は園内のゴミ掃除に使う」とある。
そういえば、園内はごみ一つ落ちていなかったなと思い返した。
地元に愛されて誇りにされている場所なんだなとつくづく思った。
途中出くわした管理人らしき人も高齢者だったので、
公園に携わる人々が高齢者のようだ。
高齢者パワー恐るべし。

さて、こんなに広大な場所とは思わず、
仮に野良猫が、ねぐらにしていたとしても、
お目にかかるのは至難の業だった。
またしても花見猫は見られなかったが、
満足感の、かなりあった小旅行であった。

というわけで、
今春の花見猫とサクラ探索のお話はおしまいです。

五月の桜の開花と言えば、
北海道、東北ですが、
調べてみると本州の関西あたりまで、
開花している場所があるようです。
お近くの方は五月中旬ぐらいまでに、
行ってみてはいかがでしょうか。
事前の開花情報チェックは必須です。
SNSで検索すると生の情報が分かります。
メジャーなところは花も多いですが、
観光地的喧騒があります。
マイナーなところは花は少ないですが、
短時間で疲れず見て回れます。

ご参考までに。

サクラにまつわるお話|ナミソラフウモ|note

どうぞよろしくお願いします。