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AIに立ち向かう海外の賢い広告クリエイティブ事例3選

ChatGPTのような生成AIの普及により、身近な存在になったAI。今年はAI元年と呼ばれるだけあって、様々な企業がパッケージデザインやマーケティング施策にAIを活用する事例も増えてきた。
今の世の中のAI活用事例を見てみると、主に生成AIに試案を作ってもらい人がそれを仕上げるケースが多いように感じる。AIの活用方法やAIによるアウトプットについては様々な意見があるが、AIと共存するために人間としての知恵を磨く必要があることは間違いない。

商品のパッケージデザインに生成AIにを活用した伊藤園の『お~いお茶 カテキン緑茶』

AIをツールとして活用する事例が増えるこのご時世だけど、別の角度からAIを活用した事例を3つ紹介したい。ある意味、人間の知恵を用いてAI時代に真っ向勝負に挑むクリエイティブなのではないかと思う。

AI Freeなオレンジジュース

アメリカのオレンジジュースブランド「トロピカーナ」は2024年1月に自らの商品名「Tropicana」からAとIという文字を消して「Tropcn」というラベルがついた限定パッケージを発売した。

AIを直接的に活用している事例ではく、むしろ全面的にAI Freeを謳っている。AI=人工的なものとして、それを完全排除した自社商品の強み(オレンジ100%)をアピールする。AIに対して人々が持つ漠然としたネガティブなイメージを上手く活用した事例のように感じた。
この商品が数々のAIで溢れる「CES2024」会場で配布されていたのもまたエモい。

AIも認める絶対的なブランド力

AIにケチャップの画像を作らせるとどうなるだろうか?
以下の映像ではAIに様々なケチャップの画像を作らせている。その結果はほとんど似ている形で、とあるブランドを連想させる。

それは、ケチャップでお馴染みのハインズだ。
「AIですらケチャップはハインズであることを知っている」「ケチャップはハインズであるべき」というメッセージを伝えている。

これは2022年7年と生成AIブームが本格的に到来する前の映像だけど、ただクリエイティブを作らせるのではなく、AIの特性をよく理解し逆利用している。一般的に知られているイメージを組み合わせてアウトプットを作る「AIの限界」を自社商品のブランド力を証明するツールとして活用するのが素晴らしい。

AI vs 子供

アメリカの子供向け軽食・スナックブランド「ランチャブル (Lunchable)」が今年3月に公開した映像は、まさにAI時代をどう生きるかについて、示唆している。

映像はA.I vs K.I (Kids Imagination) をテーマに、子どもの想像力について表現している。AIと子供に「プレッツェル(正確にはDunkablesという商品)」を題材に絵を描かせ、それを比べる構成になっている。AIが描いた絵は「食べ物」というカテゴリーを脱することはできなかった反面、子供が描いた絵はうさぎだったり、太陽だったりドラゴンなど、物語に溢れている。
つまり、子供の想像力こそ無限な可能性を秘めていることを物語っている。

映像では子供にフォーカスを当てているが、すべての人に当てはまることではないだろうか。


そういえば、ChatGPTのGPTはどういう意味なのかご存知だろうか。
GPTはGenerative Pretrained Transformerの略で、事前に学習された生成型変換装置を意味する。言い換えると、既存のものを組み替える装置に過ぎないとも言える。

データの量ではAIに勝つことはできないけれど、その豊富なデータをどう活用するか、それを活用してどういう新しいものを作るかは、人の手にかかっている。

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