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もう一歩たりとも譲歩しない

母に激怒する夢を見た。目覚める直前に見ていたため、目が覚めても心臓がばくばく、呼吸は乱れ、今にも夢の続きで叫び出しそうだった。

一瞬、ここがどこだかわからなくなった。

自分の家。母が侵略できない安全地帯。あの人は勝手に入ってこれない。気軽にこれる距離でもない。横を見ると同じ格好で寝ている旦那と子供たち。

大丈夫。よかった。胸をなでおろす。私は最近になってようやく、安全地帯を手に入れた。

いつも同じ欺瞞を

思えば、いつも母は被害者ポジションをとった。相対的にいつも私は加害者で、母のを困らせ、言う事を聞かない親不孝な娘に成り下がった。

母に何を言われても理不尽しか感じなかった。

よくわからないことをわめき散らしているのが、街で見かけた知らない人ならいい。無視できる。だが、おかしなことを言う人が母という立場で、自分の人生に鎮座してきたらどうだろう。

無視をすれば怒鳴られ、詰られ、人格を否定される。私のために素晴らしい話をしてくれてありがとう、感謝しますと言う態度を示すまで、おかしな人から逃れられないのだ。

今考えてみても、

母の言うことはたいていが、自分の気分や憂さ晴らしのために私にあたっているだけだった。

それを「躾」「あんたのため」と無理やり合理化しようとするから、私はかなり早い段階からおかしさに気付いていたと思う。

言う通りにしないと、決まって言われた。

「感謝が足りない」「我慢が足りない」

つまり、親に対しもっと感謝し従順になれと言うこと。私はこれが本当に嫌だった。

こんな風に書くとさぞかし確固たる決意で親と対峙していたように聞こえるが、実際は30歳を過ぎても親を庇い続け、洗脳され続けてきた。自分の心理的成長を諦めて。

洗脳が解けた今、唖然としている。

いつも嘆き悲劇のヒロインで、守るべき存在だったはずの母は、私を傷つけ、操作し、搾取するとんでもない加害者だった。

何十年とかけ私を洗脳することに人生をかけてきた母。99.9%洗脳を完了された私だが、必死に守り抜いた0.01%の部分があった。そこを母は目ざとく見つけ、暴き、

あんたはおかしい

我慢が足りない

感謝が足りない

と言葉でさらに畳み掛け、侵食しようとしてきた。

でも、たった0.01%の私のカケラを、守り通すことができた。

そのおかげで今私は、息ができている。

再生の人生を

母と離れてはじめて、

この0.01%の私が息を吹き返し、枯れていた残りの自分にも潤いを与え、本来の自分を作り直し、全身の彩りを取り戻しつつある。

再生だ。

親に傷つけられ、あらゆるものを奪われ、蛹のように硬い殻に自らを覆い雨風をしのぐしか、生きるすべがなかった。

きっと家庭が戦場ではなかった人には、何を言っているのかさっぱりわからない話だろう。

でもたしかに存在する。

家庭が戦場のように過酷で、危険地帯で、いつ飛んでくるかわからない銃弾を必死に避けるような毎日を過ごす子供がいること。そこではあらゆる卑劣な行為が、「躾」と正当化される。外から見ると「普通の家庭」であることが多いから、誰にも気付いてもらえない。

30歳を過ぎ、ようやく蛹から還った私。これからは自分と、自分が大切にしたい人のためだけに生きていく。

もう、母のために一歩たりとも譲歩しない。

夢で見た私の毅然とした態度からは、

そんな確固たる決意を感じ頼もしくなった。

誰にも支配されず、自分のために生きていいのだ。

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